アマニ油をプレゼント

 

認知症Cafést Online編集スタッフのSです。

アマニ油をプレゼント

異動により単身赴任することになったスタッフMの壮行会がありました。

(関連記事:生活環境が変わる季節

 

私が幹事役を拝命しましたが、Mがかつてツイートで亜麻仁油デビューをするとつぶやいていたことを思い出し、アマニ油を入手して、プレゼントすることと致しました。

(関連記事:亜麻仁油 or エゴマ油

注:この記事で、「アマニ」を漢字で書くか、片仮名で書くかで特別な違いはありません。Mはツイートで「亜麻仁」と漢字で書き、私が入手した商品名では「アマニ」と片仮名でした。その違いに対応しています。そこを統一することはしませんでした。

復習!アマニ油の特徴

  • アマニ油はオメガ3脂肪酸に分類されるαリノレン酸を豊富に含んでいる。オメガ3脂肪酸は現代人に不足しがちと言われている。一方、食生活の欧米化やインスタント食品の普及によりオメガ6脂肪酸を過剰に摂りすぎていると言われている。(大豆油やコーン油に含まれるリノール酸がオメガ6脂肪酸に分類される。)
  • αリノレン酸は体内に入るとEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)へ変換され、血液をサラサラにする働きがある。EPADHAもオメガ3脂肪酸に分類され、青魚に多く含まれている。)
  • オメガ6脂肪酸を過剰摂取するとアレルギー症状の炎症が起きやすいのに対して、オメガ3脂肪酸はアレルギー性疾患を緩和する働きがある。
  • 抗酸化作用を持つリグナンを含み、コレステロール値の抑制や内臓脂肪の減少など、肥満を改善させる効果がある。
  • 食物繊維の補給にもなる。
  • これらの豊富な栄養価(α-リノレン酸、リグナン、食物繊維など)から「スーパーフード」としても知られる。

 

MCTサプリメントゼリーもプレゼント

すっかりCaféstにかぶれてしまっておりますが、MCT(中鎖脂肪酸)サプリメントゼリーもプレゼントしました。そうしましたら、「これ、認知機能に良いんだよね」とMはすかさず反応しました。
あたまの健康チェックの普及に励み、認知症予防についてインプットしていたMならではのコメントと思いました。

注:靴下もプレゼントしています。一般的なプレゼントも渡しているということを少しだけ主張させていただきます(笑)。

復習!MCT(中鎖脂肪酸)の特徴

  • 中鎖脂肪酸はケトン体を産生しやすい。
  • ケトン体は、ブドウ糖(炭水化物が分解して得られる)と並ぶ脳やカラダのエネルギー源である。
  • アルツハイマー病予防のプログラムであるリコード法では、ブドウ糖(炭水化物)の摂取を最小限にして、ケトン体の産生を促進していく(ケトーシス)重要性が説かれる。

 

最後に

先日、帰省したら、70代の母が「健康に良いと聞いて、アマニ油を使っている」と言っておりました。母が健康への意識が特別に高いとは思わないですが、年齢相応の心身の機能低下の真っただ中にあります。その中でおのずと介護予防や健康への情報には敏感になり、貪欲に吸収していると思います。母の事例は一事例にすきないですが、社会にもこのように浸透しているのではないかと思いました。

 

MCTサプリメントゼリーは私の中で、父の日のプレゼントの有力候補になっています。まず、私が試してみます!

 

 

 

 

認知症✖映画 Part3 「長いお別れ」

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのUです。

スタッフUによる映画の紹介シリーズ

昨年10月のPart1(「認知症✖映画」)、今年3月のPart2( 「認知症✖映画 Part2 「ぼけますから、よろしくお願いします」)に続き今回は、公開前の作品を紹介したいと思います。

『長いお別れ』

中野量太郎監督待望の『長いお別れ』です。原作は直木賞作家・中島京子の実体験をもとに描き出した感動作。

 

認知症となった父に向き合うことになった母娘の7年間を、時にユーモラスに、時に優しく描き出しており、原作小説は、第10回中央公論文芸賞、第5回日本医療小説大賞を受賞しているそうです。

 

5月31日(金)から全国ロードショーです。

追記

近視であり最近老眼も気になり始めた筆者の気になる本。

「1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる!ガボール・アイ」

視力ではなく、脳機能を活性化させることで画像処理能力を鍛えるそうです。
なんだか認知機能にも効きそうですね。

 

 

 

 

☆☆イベント情報☆☆ やさか町オレンジカフェ

 

こんにちは、認知症Cafést Onlineイベント情報担当スタッフのSです。
ここでは地域での認知症関連のイベント情報をご案内します。

 

今回は『やさか町オレンジカフェ』のご案内です。
このカフェは認知症の人や介護をするご家族の居場所となるとともに、医療・介護の専門職と、お茶を飲みながらお悩み事などのご相談に応じます。

 

 

 

やさか町オレンジカフェ

 

開催日
4月27日(土) 13時30分~15時30分
場所
セントケア八坂東 小規模多機能
静岡県静岡市清水区八坂東二丁目7-1
料金
無料(飲み物付き)
『美姿勢体操』と懇談が今回のカフェの内容です。
どなたでもお気軽にお立ち寄りください!

問い合わせ先

セントケア八坂東(TEL: 054-371-5960)

 

 

介護の現場から~MMRメソッドの実践風景~

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのKです。
本日は、グループホーム東戸塚(セントケアホーム東戸塚)で毎月1回行われているMMRメソッドについてです。

MMRメソッドとは

MMRメソッドはグループホームに入居されている方とボランティアの先生が、一緒に 歌ったり体を動かしながら、1時間ほど行う回想法プログラムです。

 

回想法とは昔の記憶を想起し、話したり、相手の回想を聞いたりする体験により、 脳が活性化されて集中力、活動性、自発性の向上、認知症の症状の改善または進行遅延に効果があるとされているものです。

 

今日は、グループホームに入居されている皆さんで声を出して、昔の童謡を歌ったり、お手製のマラカスで振りながら踊ったりされていました。
皆様とても真剣な眼差しで行っています。また椅子から立ちながら行うことによって筋力も維持されます。

MMRメソッドの効果

  • 童謡をみんなで歌うときに、歌詞の内容を実際に体験した思い出と一緒に振り替えることで昔の風景をイメージすることができます。
  • 普段の穏やかな生活の中において、少し普段とは違うプログラムを行うことによって、脳の活性化につながる刺激のあるイベントは認知症予防や認知症状の進行遅延につながります。

 

今後も地域で行われているイベント情報などを紹介していきたいと思います。

Cafést編集スタッフSの小言

Kから原稿を受け取ったSです。MMRは何の略かなと思って調べて検索してみたのですが、分からなかったです。しかし、回想は英語で“Reminiscence”と言うことを知りました。ですから、Rは回想の英語から来ているかなと思います。あとMは“Music”(音楽)かなと思っています。あと1つのMは?“Memory”(記憶)?すべて仮説です。

 

 

☆☆イベント情報☆☆ てんのうだいおれんじカフェ(我孫子)

 

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのSです。
地域での認知症関連のイベント情報をご案内します。

 

千葉県我孫子で開催される『てんのうだいおれんじカフェ』のご案内です。「みんなで地域を支え合える住みよいまち作り」がこのオレンジカフェのコンセプトです。毎月第4水曜日に開催しています。

 

 

 

てんのうだい おれんじカフェ

 

開催日
平成31年4月24日(水) 17時~20時
場所
セントケア我孫子デイサービス(千葉県我孫子市天王台4-5-1 シャトー天王台1F)
内容
「認知症の人の気持ち」~思いを理解してかかわる~
講師
社会福祉法人瑞邦会 特別養護老人ホーム 久遠苑 施設長 渡辺 慎 氏(講演は17時15分~18時半)
料金
500円(軽食、飲み物付き)
持ち物
上履き

 

どなたでもお気軽にお立ち寄りください!
お好きな時間に、お一人でも、グループでもお気軽にご参加ください。
(18時半~食事会)

問い合わせ先

田中/090-3427-7466
セントケア我孫子デイサービス/04-7181-7580

 

 

 

 

インタビュー「おれんじカフェにかける思い」―地域の集いの場となるまで―(第2回)

 

てんのうだいおれんじカフェの発起人であり、運営のリーダーを担っておられる田中信子さんへのインタビュー記事の第2回目です。
第1回目はこちら(↓)をクリックしてご確認ください。

インタビュー「おれんじカフェにかける思い」―地域の集いの場となるまで―(第1回)

 

1回目インタビューの要旨

厚生労働省より出された新オレンジプラン(認知症施策総合戦略)を受けて、ときは認知症カフェ(オレンジカフェ)を呼んでいると思った。もともと、地域貢献をしたいという気持ちがあった。認知症サポーター養成講座の講師役であるキャラバンメイトであったことから、平成27年(2015年)12月開催の第1回目のオレンジカフェは、認知症サポーター養成講座を企画した。エリアの全域に一軒一軒チラシを入れるなど周知活動を行った。どのくらい来るか予想がつかなかったが、蓋を開けてみると38人来られ、地域の人の関心の高さを実感した。月1回第4水曜と決めて、継続開催してきた。

 

市役所や地域包括支援センターの反応

「市も新オレンジプランを受けて、認知症カフェの実績をつくっていきたいと考えていたようです。平成28年(2016年)2月末に市の方から、市の委託事業としてカフェを実施して欲しいと依頼がありました。てんのうだいおれんじカフェでの参加者の声や反応が市役所に届いたのだと思います。それで、平成27(2015年)12月から翌3月までは私たちの自主事業としておれんじカフェを開催してきましたが、4月よりは市の委託事業という位置づけにもなりました。」

 

「一年経ってから聞いた話なのですが、地域包括支援センター(編集者注:我孫子市では高齢者なんでも相談室という名称で呼ばれている。)の室長会議で、セントケアは営利法人だから集客(お金儲け)のためにオレンジカフェをやっているんだろうと批判があったそうです。しかし、そのときも、別の室長が前々から私が地域のために何かをやりたいと言っていたと擁護してくれたと聞きました。絵空事ではない私の思いを理解してくださっていたのです。」

プログラムの構成と進化

「おれんじカフェを始めたばかりの頃は、17時から20時までの3時間のうち、18時半からの食事を挟み、その前と後で2部のプログラム構成としました。食事の後もプログラムを用意しなければ場がシーンとしてしまう状態でした。」

 

「市の委託事業となりましたので、補助金を出す関係で役所からもプログラムの提出が求められました。それで、認知症や介護や予防をテーマに、静と動(編集者注:講義を聞くなどの静と介護予防体操などの動)のバランスを考えながらプログラムを組みました。」

 

「最近は、食事の前の最初の90分はプログラムを組んでいますが、ご飯を食べたあとは、そのテーブルで参加者の皆さんが話し合う光景が見られるようになりました。横のつながりができたということですね。ですから、その時間は私たちからするとある意味ほったらかしなのですが、良い雰囲気の場が出来ているんです。」

 

日付 実施内容
4月24日 認知症の人の気持ち(講演)
5月22日 ハーバリューム(創作作り)
6月26日 食と口の勉強会
7月24日 ロコモシンドローム予防(体操)

注:てんのうだいオレンジカフェ(2019年度)の年間計画の中から1部(4月~7月)掲載しました。

人が人を呼び、輪が広がっている

「今度は○○さんを誘ってみましょうよと参加者から言ってくれます。人が人を呼び、輪が広がっていると思います。」

 

「参加のために特に予約を取っていません。オレンジカフェの帰りに来月のチラシを配ったり、市役所、地域包括支援センター、ボランティアセンターにチラシを置かせていただいたりしていますが、第1回目のときの開催の周知のように地域に手配りをすることはしていません。それでも、リピーターの人が増え、口コミで参加者が広がっていると思います。それは嬉しいことです。」

介護相談の場としての役割

1年目は認知症カフェ(オレンジカフェ)として介護相談という旗を立てていろいろ試行錯誤してみたのですが、相談はなかなかありませんでした。旗を立てることで、介護相談の押し売りのような印象を与え、かえって壁をつくることになっていたかもしれないと思います。ですので、あるときから看板を掲げることをせずに、相談を希望して訪ねてこられたら応えることにしようと方針を変えました。」

 

「つい先日のおれんじカフェでの話ですが、19時過ぎに飛び込んでこられた方がいました。ご家族を介護されている方で、話を聞いてもらいたいと言われました。相談を受けてくれる場と耳にして訪ねてこられたそうです。話を一通りお聞きしましたら、来月もまた来たいと言ってくださいました。介護相談をしてもらえる場になってきたと感じています。」

 

「自分の親が少し変だなと思ったときに誰に相談するかと言えば、まず身の回りでそういうことを知っている人に相談をし、どこの機関に行けば良いか探りを入れたりすると思います。直接、病院や地域包括支援センターに行くことができる人はそういないと思います。てんのうだいおれんじカフェは一番垣根の低い場所です。いつでも声をかけてください、来てくださいと思っています。認知症の方も、そうでない方も、また、元気な方も、つらい方も誰でも自由にいらっしゃいという場所ですね。」

地域の潜在ニーズへの対応―認知症カフェとしての深堀とそれを超えた機能―

「認知症という括りでやっているものの、この場でできたつながりは大事にしたいと思っており、ご縁のなかからこの場を使いたいという申し出があった際は受けてきました。」

 

「最近、一人暮らしの男性の参加が増えています。みんなでご飯を食べると楽しいと言われています。ご家族とお住まいでもご家族の帰りが遅くて、結局は一人で食事をお食べになり、そのままお休みになってしまわれる方からも同様に、一か月に一度みんなでわいわい食べられるのが楽しいと聞いています。」

 

「認知症のことをもっと分かってもらいたい、もっと啓蒙していきたい、深堀していきたいと思って進めてきましたが、もう1つ、(認知症という括りを超えて)来てくれた人々の心を潤していて、何をさておいても行きたいと思える場所になっているという手応えを感じています。石の上に3年と言いますが当たっていると思います。3年継続してきてようやく軌道に乗ってきたと思っています。」

今後の目標

「てんのうだいおれんじカフェの活動を中心にしながら、認知症サポーターを増やしていきたいと思っています。サポーターを組織化して、サポーターの活躍できる場をつくりたいと思います。」

 

「最初はセントケアのデイサービスの職員にカフェを手伝ってもらっていましたが、現在は認知症サポーター養成講座を受講した地域のボランティアの方々が受付や会場のセッティングや後片付けなどサポートしてくれています。また、おれんじカフェの参加者自身が(受け手であることに留まらず)お茶出しなどを進んで申し出て手伝ってくれたりしています。自分たちで自由に行ってくださっています。今後はオレンジカフェのグループ(参加者やボランティア)でもっと何か貢献できることはないか、もう一歩スキルアップできることはないかと考えていきたいです。」

 

「いずれはてんのうだいおれんじカフェのグループで組織化して、地域の人たちのためのパトロール隊や見守り隊のようなことが出来ないかと思ったりしています。また、デイサービスなどの介護施設でボランティアに来てもらうことが出来ないかと思います。仕事をしたいと思う人が出てきても良いですね。可能性は大きく広がっていると感じています。オレンジカフェをよりどころとしてくれる人を増やし、みんなで安心して暮らせるまちづくりにつなげていきたいです。体力の続く限りライフワークにしていきたいと思っています。」

(第2回終わり)

注:田中さんのインタビューは今回で完結です。下の写真に写っている看板は田中さんが作成されたそうです。

 

 

編集スタッフより

「地域貢献をしたいという思いにブレはない。一貫してきた。」と田中さんは言われました。この言葉の重みと確かさを感じています。思いを語るのみならず、力強く行動に移される方です。「おれんじカフェのことを知ってもらいたいし、広めたい。」と言われ、前回の記事もまわりに積極的に紹介されていました。口コミながらそのパワーでじわじわと読者を増やしています。このことを踏まえまして、認知症Caféstとしても田中さんのインタビュー記事の積極的なシェアを希望致します。まっすぐな思いが誰かに届き、地域づくりにつながることを願っております。

 

(インタビュー・文:星野 周也)

 

外国人労働者受け入れと認知症

 

 

こんにちは。
認知症Cafest-online 編集スタッフのマツです。

 

新元号への切り替えも目前ですが、今月1日からもう1つ、社会にとって大きな制度の変更がありました。
それは単純労働分野における外国人労働者の受け入れです。
建設、介護、宿泊といった業種を中心に、私たちの生活の中に外国から来られた方がより一層増えることになります。
認知症との関連では、もちろん介護の現場に外国の方がスタッフとして参加されることになるわけですが、本記事ではまた別の視点からこの問題について取り上げたいと思います。

外国人労働者を取り巻く諸問題

今までにも外国の方は留学生のアルバイトの他、外国人技能実習生という制度のもと、日本国内で働いていました(注:昨年6月の時点で約28万人)。

しかし技能実習生にとって、日本は本当に住みやすい社会だったのでしょうか。
少し検索しただけでも、以下のような問題がみつかりました。おそらくこれらは、彼らが直面している問題の本の一握りなのでしょう。

  • 最低賃金を大幅に下回る低賃金や、賃金の未払い
  • 労基法を無視した長時間労働
  • 実習生の失踪、および政府によるその調査のずさんさ
  • 都合の悪い実習生に対する強制帰国

本論からは外れるため個別の詳細な解説は省きますが、参考記事内の以下の一文がすべてを物語っています。

「強制帰国」という不正は、技能実習生の権利を無理やり奪い、また日本社会が、外国人実習生をただの安い労働力としてしか扱わず、一人の人間として、生活者として受け入れていないことの象徴だろう。

DIAMOND online

 

原因の一端は日本文化に

このような問題はなぜ起きるのでしょうか。
ここから先は、外国人と同じく日本社会ではマイノリティーである障碍者としての筆者の見解です。

このような問題の背景には低賃金の労働力なしでは立ち行かない産業界の構造的な課題もあるのでしょうが、以下のような日本文化の特徴が影響しているとも考えられます。

 

協調性・同質性を重視し、共有できないものを排除する

日本は言語・共通の知識・体験・価値観・ロジック・嗜好性などについて、高いレベルで共有していることが前提のハイコンテクスト文化であり、阿吽の呼吸や察することが好まれます。できて当然・わかって当然ということが日常的であり、TVなどで「あるある」というのがもてはやされるのも、それだけ共通の体験や知識があることが前提になっているからです。
外国人などのマイノリティーとはその共有がしづらいため、どうしても居心地悪い、面倒くさい、うざいというように感じてしまい、存在を遠ざけてしまったり、同じ人として見られなくなっているのでしょう。

 

身分や上下関係を重視し、自分より下の存在を作ることで自分の位置を確認し、安心感を得る

自分が神からどう評価されているか、神の意向に沿っているかという絶対的な価値観ではなく、日本では他人からどう評価されているかが重視され、他人との比較の中で自分の意思決定をする相対的な価値観が重んじられてきました。
そして身分や上下関係の中で、自分より低い位置にいる人に目を向けることで、「あいつよりはまし」というように自分の位置を確認してきました。村八分や江戸時代のエタ・非人の制度があったのも、このような状態の現れと言えます。

上記のようにマイノリティーとは高いレベルで価値観を共有することが難しく、知らないこと・できないことが多いマイノリティーは「ダメなやつ」となり、そのようなマイノリティーを下に見下すことで「自分はえらい、大丈夫だ」というように安心感を得ているという側面があるのでしょう。

 

恥を嫌い、失敗や間違いなどのマイナスな面を許容できない

上記と関連しますが、知ってて当然・できて当然の文化の中では、できないことや知らないことは恥とされ、さげすみの対象となります。
できないことや失敗の多いマイノリティーに対しては、失敗という行為だけでなく、やがてその存在自体が恥となり、許容されないものとしてとらえられてしまっていると思います。

 

マイノリティーが暮らしやすい社会とは

さて、ここまで筆者は外国人労働者が直面している問題を取り上げ、その背景には日本文化が持つ特徴が影響しているかもしれないとお伝えしてきました。
これは日本文化がマイノリティーに対するときに生じてしまう問題ですから、外国人労働者以外のマイノリティー~障碍者や認知症とともに生きる方々(認知症当事者)~も、当然同じ問題に直面しているわけです。
そういう意味で、もし日本が外国人労働者にとって暮らしやすい社会になれば、認知症当事者の方々にとっても当然暮らしやすい社会となるでしょう。

では外国人労働者や障碍者、認知症当事者などのマイノリティーにとって暮らしやすい社会とは、どんな社会なのでしょうか。

 

人それぞれの違いを尊重する社会

言語・共通の知識・体験・価値観・ロジック・嗜好性などがそれぞれ違うことが前提のローコンテクスト社会では、言葉を尽くして説明すること、相手がわかるまで伝えることが求められます。
これは一見とても面倒に思われがちですが、各個人の特徴や違いが重視され、違って当然・違っててもいいというムードが生まれます。
今の日本の社会のように、無理をして全体の空気を読んだり、言いたいことを我慢したり、わからないのにわかったふりをする必要がなくなります。

 

知らないこと・できないことが前提となる社会

上記とも関連しますが、ローコンテクスト文化の社会では個人の違いや特徴にフォーカスが当たり、共通の価値観や知識などがないことが前提となります。
そのため、説明なしに当初から求められるレベルは低くてもかまわなくなり、「なんでこんな簡単なことができないんだ」と言われることがなくなります。

できないこと・知らないことにフォーカスがあたるのではなく、できること・知ってることにフォーカスが当たるため、非常にポジティブな社会であるといえるでしょう。

認知症の方々も、全てのことができないわけではありません。できないこともあり、その程度や内容も日々変わるでしょうが、まだできることは自分でしたい、誰かの役に立ちたいという思いがあります。
そのような思いにフォーカスし、社会の一員として暮らしていける社会は、人的な意味でとてもサスティナブルな社会だといえます。

 

まとめ~外国人労働者の受け入れがもたらす可能性~

いかがでしたでしょうか。
今月1日からの制度変更を受けて、外国人労働者の数は確実に増加します。また高齢化の進行とともに、認知症の患者数も確実に増加します。
あえてマイノリティーの視点で書きますが、マジョリティーの皆さんの好むと好まざるとにかかわらず、これからの日本ではこのような大きな社会のパラダイムシフトが必要不可欠です。

そしてこの変化はマイノリティーのためのものではなく、マジョリティーの人たちにとっても大きなメリットを齎します。ある程度の失敗や間違いが許容され、だれかの顔色を窺わなくてもいい社会というのは、きっとマジョリティーの皆さんにとっても暮らしやすい社会のはずです。

そしてそのような社会というのは、認知症当事者にとっても活躍の可能性がある社会です。
外国人労働者の受け入れは、そのような社会への変化に向けた大きな1歩になることでしょう。

 

認知症と筋トレ

 

こんにちは。
認知症Cafést編集員のクロです。
本日は、認知症と筋トレについてご紹介いたします。

運動は脳の働きを活性化させる

運動が認知症予防につながると期待されることから、「筋トレ」を生活の中に取り入れる動きが高まっているそうです。

運動をすることで、血液の循環が高まり、脳にも血液がたくさん送られやすくなり、脳の働きが活性化するそうです。また、脳は普段筋肉に対して信号を送る役割があり、筋トレによる体力向上は脳のトレーニングにもつながるそうです。

筋トレのポイント

「認知症予防」の筋トレを行うときは、鍛える部位に意識を集中させることがポイントなのだとか。きちんと意識しながら鍛えることで、脳も刺激されるため効果が期待できるようです。

春を迎えて―継続こそ力なり―

まずは、簡単な筋トレから始めていくこと、毎日継続していくことが大切になりますね。継続していくことで、基礎体力のアップにも繋がっていくのではないかと思います。
春を迎えた今、新たに始めることの一つにいかがでしょうか。

<参考>

筋トレで【認知症】を予防! 家でもできる筋トレ方法とは? | 有料老人ホームの検索・比較サイト「MY介護の広場 老人ホームを探す」より

 

 

認知症とともに暮らせる社会に向けて―認知症国会勉強会に参加して―

 

こんにちは。Cafést編集スタッフのSです。

認知症国会勉強会に参加

3月27日、認知症国会勉強会に参加しました。

 

衆議院議員の鈴木隼人氏が主催の勉強会です。鈴木氏の秘書が事務局を務める全国認知症予防ネットワーク(←リンクあり)に弊社も加盟しております。そのご縁で勉強会のご案内を受けています。
もともと、弊社側の担当は編集スタッフのMでしたが、Mの異動・地元への単身赴任(関連記事「生活環境が変わる季節」)に伴い、今回は4名が参加しました。

議事

講師
東京都健康長寿医療センター研究部長 粟田主一(あわたしゅいち)氏
テーマ
認知症と共に希望と尊厳をもって暮らせる長寿社会を目指して
時間
3月27日(水)16:30~18:00
45分の講義のあと、45分の意見交換を行いました。

注:会場は衆議院第2議員会館 地下1階 第1会議室でした。

講義内容のメモ

粟田先生の講義は老年精神医学雑誌第30巻 pp.238-244に掲載される論文(編集者注:2019年4月5日現在、抄録等の情報はまだオンライン化されておりません。論文は勉強会当日は紙で配布されました。)と、粟田先生がご所属の東京都健康長寿医療センターが東京都から受託して高島平団地(板橋区)で行った「認知症とともに暮らせる社会に向けた地域ケアモデル事業」に基づくものでした。

老年精神医学雑誌掲載論文から―題は「超高齢期の認知症の疫学と社会状況」―

 

  • 21世紀の前半に認知症高齢者数は増加の一途を辿るが、増加するのは85歳以上の認知症高齢者である。
  • 85歳以上の認知症高齢者は、(65歳以上の認知症高齢者のうち)2020年の段階では53%であるが、2065年には73%に達する。つまり、認知症高齢者の大半は85歳以上の超高齢期を生きる高齢者である。
  • 85歳以上の高齢者を対象とした認知症の要因―認知症のなりやすさ・なりにくさに関わる要因―の研究を概観してみると、他の年代と大きくは変わらない。
  • 他の年代と異なる点の1つは、80歳以降に診断された高血圧症は認知機能低下に対して保護的である。また、超高齢期(85歳以上)では糖尿病が認知症のリスク要因となる影響力は弱まる。
  • 85歳以上の超高齢者では、認知症の要因についての知見は、認知症の発症予防の観点からではなく、認知機能低下に対するレジリエンス(編集者注:レジリエンスは回復、元の状態に近づけると解釈するのが良いと思います。)の要因として理解することが現実的。

 

認知症とともに暮らせる社会に向けた地域ケアモデル事業の結果から―東京都受託研究事業(平成28年度~29年度)― (注1)(注2)

  • 高島平地区の70歳以上高齢者を対象とした生活実態調査から、認知機能の低下を認める人が、そうでない人と比べて、身体的・精神的な健康状態が悪く、社会的交流の頻度が少なく、年収100万円未満の人が多かった。つまり、身体面・精神面・社会面で複合的に課題が発生している。しかも、このこと―複合的に支援ニーズが存在すること―が認知機能の低下が認められる比較的初期の段階で生じている。
  • 認知症とともに暮らせる社会を創出するためにはコーディネーションとネットワーキングが必要。コーディネーションは本人の視点に立って、必要な社会支援を統合的に調整することであり、ネットワーキングは社会支援を相互に提供できる地域づくりである。
  • ネットワーキングを推進するために地域の拠点「高島平ココからステーション」(←フェイスブックページへのリンクあり)を設置した。この地域の拠点は、6か月の研究期間内で下記の機能―(1)居場所としての拠点、(2)相談に応需する機能、(3)差別や偏見を解消し、住民同士の互助をつくりだす機能、(4)地域社会のさまざまな組織・団体との連携を推進する機能、(5)人材を育成する機能―を実際に発揮し得ることを確認した。

 

注: <参考>注1の事業報告書(概要版)より「高島平ココからステーション」のパンフレットの画像を取得しました。文字が小さくて読みにくいかもしれないですが、ココからステーションについては、 「認知症があっても、障害があっても希望をもって暮らせるまちを目指して、みなさんと一緒に、安心や楽しさが集まる場所に育てて行きたいと思っています。」と記されております。

参加メンバーの感想

  1. 先日行われた“認知症国会勉強会”に参加して改めて感じたのは、認知症とは単なる病理学的な側面だけでなく、心身の不調、経済的な困窮、社会的な孤立などのさまざまな課題が密接に絡み合った複合的な課題であるということでした。特に社会的な孤立という面では、一昔前なら同居している家族が何気なくおこなっていた見守り、安否確認、金銭の管理、書類の管理といったことが実はとても重要であるものの、核家族化・独居が増えた今日ではそういう生活支援が受けられず、また介護保険のサービスからも漏れてしまっていることなどがわかりました。個人的に両親の介護をしていたときにもこのようなことを感じていたため、そのときの歯がゆさが研究報告を拝聴して確信に変わった、という気がしました。「1億総活躍社会」と言われていますが、「1億総活躍」ならば、生活支援のような目に見えないことを担っている人の役割にもフォーカスを当ててGDP換算したほうがいいのではないかと思いつつ、企業が(介護保険を超えて)このような生活支援に入り込むにはどうすればいいかについて、悶々と考えています。(マツ)
  2. フレイルの実態を聞く事が出来た良い機会となりました。フレイルは特に大都市の課題だけでは無く、全地域の課題ではないかと感じています。コーディネーションとネットワーキングについては、継続して行っていくための財源確保が難しいのではないかと思われました。どうしたら継続してできる仕組みとなるかについて、考えながら聞いておりました。(ムッシュ)
  3. 今回の勉強会では、認知症高齢者の現在の社会状況や生活実態を踏まえ、『希望と尊厳をもって暮らせる長寿社会をめざす』という内容でした。本人の視点に立って生活の継続に必要な社会支援を統合的に調整するコーディネーターの具体的な援助方法や成功事例の紹介を通じて、現在の課題に対してのアプローチ方法を学ぶことが出来ました。これらの取り組みは一つの事業所だけで進めて行くのではなく、医療、介護、役所、自治体、地域などの連携が今まで以上に求められていく事と思います。また、今後は課題解決に向けて財源の確保の問題や、実際の現場の現状との乖離に対してどう機能させていくかなども進めて行く事が重要だと感じました。(K)
  4. ネットワーキングの推進に資する地域の拠点づくりの観点では、認知症に関連するネットワークという立ち位置を超えて、子ども食堂など、地域のさまざまなコミュニティを束ねていくことで、真に地域に必要とされ、選ばれる場となるであろうと思います。児童、障害者、高齢者など多世代の居場所となれるような多機能性を兼ね備えることで、地域住民、一般市民からの納得感も増すであろうと思います。一方、認知症の方を支えるという意味では、粟田先生が「規範的統合」の理念を掲げられ、「予防を意識した集まりだと、認知機能低下のない方々が認知症の方への差別的な言動が見られることがある」と言われたことを心に留めたいと思います。同時に、認知症の本人との交流の場の中で、次第に偏見や差別が解消されるとも報告書(注1)で書かれている点が重要と思います。認知症の本人や家族などニーズを抱える当事者の方々の居場所を確保できているかを問うことを忘れてはなるまいと思います。(S)

<参考>

 

 

 

スピリチュアル?―祖母の十三回忌法要を前に―

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのUです。

“おばあちゃん子”

個人的な話になりますが、私は自他ともに認める“おばあちゃん子”でした。
祖母は亡くなる前の2~3年は車いす生活になり認知症が進み、家族の事もほとんど理解ができないと周りから聞いており、もしかしたら私の事も分からないかもと考えると、怖くて会いに行けませんでした。

意を決して会いに行く―スピリチュアル?―

いよいよ退院はできないだろうと聞き、意を決して、会いに行きました。
眠っている祖母に声掛けを躊躇していましたが、付き添っていた叔母が「Uが来てくれたよ」と声をかけると、私を見て「Uか、あなたずいぶんと老けちゃったね~あはは」と笑顔が見られました。久しぶりでしたからね(笑)。

そろそろ十三回忌

ほどなくして亡くなりましたが、普段は声をかけてもほとんど反応がなかったらしく、両親と叔母二人、看護師さんまでも驚いておりました。

 

そろそろ十三回忌法要だなぁ・・・。祖母が恋しいUでした。

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