カリフォルニアでのブレデセン博士の講演―脳を救う複合アプローチとしてのリコード法―

 

本日、ブレデセン博士がテレビ番組(『世界一受けたい授業』)に出演されると聞いております。

 

先月1023日に、米国カリフォルニア州のパームデザートで行われた脳の健康に関するシンポジウムで、ブレデセン博士が講演をされたようです。

 

そのときの講演の内容について記している記事を今回はご紹介したいと思います。(注:ご紹介する英文記事のタイトルをもとに、このカフェストの記事にて「脳を救う複合アプロ―チ」―単一の原因・単一のアプローチではなく、複数の原因・複合アプローチとご理解ください―と題に入れました。)

記事へのリンク

A Holistic Approach to Saving Brains | Desert Health

ブレデセン博士に関する昨日の認知症Caféstの記事

ブレデセン博士監修の「リコード法」サプリメントが日本上陸

記事の導入部分―アメリカでのアルツハイマー病の罹患状況

ブレデセン博士の講演を伝える前の、記事の導入部分で、アメリカでのアルツハイマー病の罹患状況が書かれています

 

・アルツハイマー病はがん、心臓病に次いで、第3位の死因となっている。

・550万のアメリカ人がアルツハイマ―病に罹患している。

・この罹患数は、治療法が見つからなければ2050年までに3倍になると予測される。

 

ブレデセン博士の講演―アルツハイマー病やリコード法について―

ブレデセン博士の講演内容を見てみましょう。

(注:ブレデセン博士の著書『アルツハイマー病 真実と終焉“認知症1150万人”時代の革命的治療プログラム』を読まれている方ならば、今回の講演も、そこで書かれていることに基づいていると分かることでしょう。)

 

伝統的な西洋医学とリコード法の違い

 

・伝統的な西洋医学は、認知機能の低下やアルツハイマー病を引き起こす一つの要因を探ろうとする。

・リコード法では、少なくとも36の要因が脳の健康にとって重要と特定されている。

 

リコード法は脳の機能をどう捉えているか?

 

・単純化すれば、脳の現在の機能は、脳が傷づく出来事と、(傷つかずに)脳を維持していく出来事とを足し合わせた状態である。

・脳の機能を促進するものが睡眠、運動、栄養、酸素、ホルモン

・脳にダメージを与えるので緩和すべきものがトラウマ、ストレス、炎症、毒素(有害物質)

・脳の機能を促進するアプロ―チと脳へのダメージを緩和するアプローチをどう組み合わせるのが良いかは個人差がある(→個々人の状態や特徴に合わせてリコード法も計画される)。

 

現在の医者に対するブレデセン博士の懸念とリコード法での対応

 

・医者側がアルツハイマ―病の治療法がないと考えているため、利用可能な検査を行っていないことをブレデセン博士は懸念されている。

・リコード法は脳の機能に寄与しているすべてのものの詳細を明らかにする検査から開始する(検査はcognoscopyと命名されている)。 

 

リコード法での検査についてのこの記事でのブレデセン博士(注:このイベントを主催したBrossfield氏の発言かもしれません。このどちらかです。)のコメントです。

 

血液を流れているビタミンCのレベルを知りたい。亜鉛レベルはどうか。炎症やウィルスに反応するサイトカインがあるのかどうかなど。

 

記事の後半―電気刺激や磁気刺激の効果―

このイベントではブレデセン博士の講演以外にも、「テクノロジー(この記事では特に電気刺激や磁気刺激)による認知機能の低下に対する効果」の特集もあったようで、記事の後半はそれについて書かれています。

 

私には難解で、誤解もあるかもしれませんが、簡単にご紹介します。

電気刺激や磁気刺激の脳の機能に対する効果

 

 

・過去には脳に外科手術を施して、電流を流す線を脳内に設置して、刺激をすることで、パーキンソン病などの症状を改善した事例がある。これは体への侵襲性が高いという課題があった。

・また、rRMSという磁気刺激によりうつ病(抑うつ)の状態が改善されたという事例がある。しかし、脳の1つの領域へのアプローチに留まるという限界があった。

 

MeRT(Magnetic e-resonance therapy)―論者としてErik Won氏―

(注:MeRTは訳が分かりませんでした。Mageneticは「磁気の」、resonanceは「共鳴」と言った意味です。)

(注:Erik Won氏はMeRTという技術を開発したWave Neuroscience, Incという会社のPresident-参照記事へのリンク-であり、このイベントに論者として参加されています。)

 

電磁波の刺激を与えるデバイスを頭のまわりに置き、デバイスが頭のまわりを移動しながら刺激を与える。刺激は指のタッピングのように感じられる程度。つまり、侵襲性が低い。

・脳の1つの領域ではなく、広範囲の領域の機能を改善できる。これにより、アプローチの個別化を可能にする。

・ストレスに対処する感情の力をつけさせる。事例として、希死念慮のある友人の自殺を防ぎ、MBAを取得するなど生き生きとした人間に変容させた。

 

終わりに

ブレデセン博士のテレビ出演の情報を受けて、Google翻訳の力を大いに借りて、10/23のシンポジウムを伝える英文記事について紹介させていただきました。

 

脳機能を維持するためのライフスタイルを説く「リコード法」と、最新のテクノロジーを活用した「脳への電気や磁気による刺激」は対局にあるもののように感じられました。しかし、「個人化(個人の状態に応じた対応)」は共通の点と思いました。主催者側(Brossfield氏)には掛け合わせれば効果を発揮するとの仮説や思いもあるようでした。

 

後者の領域についてはまだまだ勉強が足りないと感じました。今後さらにフォローしていければと思います。

 

(文:星野 周也)

 

 

 

絵本の読み聞かせが認知症予防に!

 

こんにちは、編集スタッフのmimiです。

 

わたしにはもうすぐ2歳を迎える息子がおり、地域の子育て支援センターに大変お世話になっています。支援センターでは毎月ボランティアさんによる絵本の読み聞かせやパネルシアター(人形等を使った寸劇のようなもの)が開催されていて、子育てが一段落した親御様世代~シニア世代の方が、趣向を凝らして楽しませてくれる姿が印象的でした。

 

絵本の読み聞かせが認知症予防に効果がある!という研究結果が新聞で発表されていましたので、ご紹介いたします。

 

◎どんな研究?

絵本の読み聞かせを高齢者が行うことで認知症予防に役立つ可能性があることが、東京都健康長寿医療センター研究所(都長寿研、板橋区)の鈴木宏幸研究員(38)らの研究で分かった。読み聞かせの実践で、脳の機能が活性化。記憶や空間学習能力をつかさどる脳の器官である海馬の萎縮率を抑制でき、認知機能の低下に一定の歯止めがかけられたという。

引用元:2019年11月20日東京新聞 『読み聞かせで認知症予防 都長寿研が研究 脳の「海馬」萎縮抑制に効果か』(以下同)

 

鈴木宏幸研究員の在籍するチームは「社会参加と社会貢献研究」というテーマのもと、高齢者のウェルビーイングや多世代共創社会の在り方について、数十年にわたる長期縦断研究を含む複数の活動をしています。

 

今回の研究は、世代間交流とボランティアの可能性を探る研究の一部ですが、なんと2004年から開始しすでに15年続いています。同センターの藤原義則研究部長が始めた絵本の読み聞かせプログラムからスタートし、効果検証後、2010年から本格的に研究講座を開講。講座受講者と非受講者で比較したところ、海馬の萎縮率の抑制、記憶保持率の向上という結果が得られたそうです。

 

◎肝は、「活動を続けたくなる」ことではないか

記事の最後に、読み聞かせ活動に参加しているシニアの声がありました。

帰り際には子どもたちとハイタッチを繰り返し、「また来てね」と声もかかった。「これは社会参加。介護予防を実感します」と斎藤さん。伊藤さんは「子どもたちからパワーをもらい、自分が若くなった気がする」と話していた。

 

認知症予防に限らず、健康習慣を作るためには“やっていて楽しい”“誰かの役に立つ”という、自分の体のため、というだけではないポジティブな要因が不可欠です。

わたし自身が子どもを持って実感したのは、子どもという存在が周りに与えるパワーが想像以上に大きいということ。子どもの無条件の笑顔や笑い声が元気を与え、さらには周りの大人同士が世代を超えて結びつくきっかけになります。

 

 

20世紀後半、大家族から核家族へ移行した社会構造。 
21世紀を迎えて約20年。再び地域がゆるやかにつながろうとしています。

 

楽しく笑顔で社会とつながることが、認知症予防になる。
一つの手段として、「絵本の読み聞かせ」活動、ぜひ参加されてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

ブレデセン博士監修の「リコード法」サプリメントが日本上陸

 

「リコード法」―米国発のアルツハイマー病予防のプログラム―を開発したブレデセン博士監修の認知機能支援サプリメント(注:以降、本記事では「リコード法」サプリメントと略する)が、日本語で購入できるサイトが出来たとの情報を得ましたので、共有します。

「リコード法」サプリメントの日本語購入サイトのURL

https://www.recodejp.com/

 

注:画像は上記URLより取得しました。

ブレデセン博士が「世界一受けたい授業」に出演予定

また、今週の土曜日(11月30日)に、ブレデセン博士がテレビ番組「世界一受けたい授業」に出演するという情報を得ました。

「リコード法」に関する当サイトの記事はアクセス数が多い

認知症Caféstにおいて、リコード法に関する以下の記事はよくアクセスされており、世の人の関心の高さを感じておりますので、私たちとしてもインプットを重ねていきたいテーマです。

 

米国発アルツハイマー病予防法のリコード法と食事① 概論

米国発アルツハイマー病予防法のリコード法と食事② オリジナルから日本版へ

リコード法!?~アルツハイマー病 真実と終焉~

コメント①―サプリメントの効果をどう考えるか?―

サプリメントの効果を語るには、現段階では慎重でありたいと思います。ネットでアクセスして確認できることは限られておりました(2019年11月27日時点)。

 

そもそも、上記の「リコード法」サプリメントの日本語購入サイトに書かれているとおり、
リコード法は、以下の特徴を有するものです。

 

・アルツハイマー病の原因は36の要因によるものであると解明し、個人の症状に応じて対策をとることができるオーダーメイド型治療プログラム

・主な原因物質である「アミロイドβ」の除去という従来の治療法ではなく、複数ある「アミロイドβ」の産生原因への対策というアプローチを基にした専用プログラム

 

リコード法は、(少なくとも)「36の要因」があり、「複数の原因へのアプローチ」をするものですので、それらを網羅する一つのサプリメントがあるとは思えません。

 

実際に、「リコード法」サプリメントの商品一覧のページには11個のサプリメントが掲載されており、その1つ1つに「認知機能向上」、「抗炎症反応を促進」、「血糖値安定」、「解毒作用」など端的に機能がラベル化して提示されています。ですから、今の自分に何の機能が必要なのかを知り、該当のサプリメントに当たらなければならないのではないかと思います。

コメント②―在野でリコード法を熱心に研究している人たちの声―

在野で熱心に研究している人たちの声が貴重な情報収集源

グーグル検索をしてみてもアクセスできる情報が限られているなかで、在野(注:大学などの公的な研究機関の所属ではないという程度の意味で使用しています。)でリコード法を熱心に研究(勉強、情報収集)して、フェイスブックやブログで発信されている方々がおり、貴重な情報収集源になっております。

 

このリコード法サプリメントの購入サイトのことも、「リコード部(リコード法実践)」というフェイスブックのプライベートグループのページより情報を得ました。

 

その他、サプリメントの効果の検討にあたっては以下のサイトも参考にしました。

 

Alzhaker(若年性アルツハイマー病の母を持つアラフォー男性のブログ。大量の医学論文等を読み込み、進行を初期にとどめているという。サイトでは情報系闘病ブログと自らを位置付けられている。「アルツハッカー」で検索できる。)

BFLクリニックのホームページ(リコード法を専門とするクリニック)

これらのサイトやSNSではサプリメントの効果はどう語られているか?

リコード法認定医の齊藤信子氏(上記で挙げた「BFLクリニック」院長)は、「リコード法の基本検査を行って、それぞれ個人に適した予防法を行うのが、本当のリコード法」と言われております。

 

そのうえで、

 

サプリメントはそのごく一部であって、主として食事や運動、ストレス対処、睡眠の改善、そしてホルモン状態の改善などがとても大切なのです。サプリメントはそれらの次に来るものだと、診療してつくづく実感しています。

 

と言われています。

 

Alzhakerという情報系闘病ブログでは、
リコード法の本来のプログラムは、

 

1.リコード法の検査を行う

2.認知症リスク因子を特定

3.リスク因子、検査値に応じた治療を行う

4.追跡調査と治療の最適化を繰り返す

 

としたうえで、「(何もしないくらいならば)まずはサプリメント摂取を」という趣旨の発言もされています。
「(サプリメントは)スターターキット」と言われていますが、効果を実感して、モチベーションを持っていただいたうえで、リコード法の本格的な始動につなげていただきたいというのがその趣旨です。

 

「まずはサプリメント摂取」、「スターターキットとしてのサプリメント」という観点での手順は以下のように書かれております。

 

1.すべての認知症発症リスク要因へ応急処置をする。

2.一定の改善によってやる気を取り戻す。

3.やる気が維持されている間に、患者と介護者がリコード法を学ぶ。

 

この手順には、「これらのサプリメントを始めた後、必ず後から検査を行って必要なものを加えるもしくは不要なものを削るという手続きを行ってほしい」という注意書きがついておりますが、ここは重要な点と思います。

注:「アルサプ認知症回復プログラム アルツハッカー・リコード法サプリメント概要 | Alzhaker」に基づき、まとめました。

 

齊藤信子氏の見解と、Alzhakerというブログの見解で共通しているのが、「検査に基づき、個人に適したサプリを選ぶ」という点です。「サプリ」は「治療」に置き換えても同じことであろうと思います(「個人に適した治療を選ぶ」)。

コメント③―忘れてはならない「ケトフレックス12/3(トウェルブスリー)」―

SNS(「リコード部(リコード法実践)」)では、

 

ケトフレックス12/3の食事、ライフスタイルを実践した上でのサプリメントと思っています。

 

との投稿もありました。
確かにそうではないでしょうか。忘れてはならないのが「ケトフレックス12/3(トウェルブスリー)」です。

 

米国発アルツハイマー病予防法のリコード法と食事① 概論」に一度、まとめてますのでご確認いただきたいですが、こちらでも、「ケトフレックス12/3」のキーワードを中心に復習致します。

③-1「ケトフレックス12/3」のケト(ケトーシス)

・ケトーシスは脂肪の分解

・ケトーシスを促進する(炭水化物ではなく脂肪をエネルギー源とする)ためには、「低炭水化物食」が必要

③-2「ケトフレックス12/3」のフレックス

・フレックスは緩やかな菜食主義(flexitarian diet)

・ブレデセン博士は「深緑から鮮やかな黄色やオレンジなど、できるだけ彩り鮮やかな野菜」を進めている

③-3「ケトフレックス12/3」の12/3(トウェルブスリー)

・12/3は空腹時間

・夕食から次の日の朝食まで12時間空けることと、夕食から就寝まで3時間空ける

終わりに

アクセスできる情報は限られていると申し上げたものの、ネット上では、誠実に情報収集して、発信されている方々がいらっしゃいます。
「お墨付き」の情報が限られている(というのは言い過ぎかもしれないですが…)状況で、試行錯誤のインプット及びアウトプットを倦まず弛まず(たゆまず)継続されていると思います。大きなヒントや示唆にあふれています。勇気ももらえます。

 

読者の方におかれましては、これらの情報を手掛かりにしつつ、納得や腑に落ちる状態を目指して、インプットを進めていただきたく思っています。(終)

 

(文:星野 周也)

 

【イベント出展】「あたまの健康チェック」と「POM アシタノカラダ 河内晩柑ジュース」(11/22まで)

 

本日は認知症Cafést Online編集スタッフのKが、Editors Tweetをお届けします!

 「あたまの健康チェック」をカラダ改善プロジェクトにブース出展

今回は、「あたまの健康チェック」のイベント出展情報をお伝えいたします。
1120日(水)~1122日(金)に東京ビッグサイトにてカラダ改善プロジェクト(←リンクあり)にブース出展しております。

カラダ改善プロジェクトの趣旨

上記のリンクからホームページにたどると、このプロジェクトの趣旨は次のように書かれています。

 

超高齢化社会を迎えた課題先進国の日本。
国民の健康寿命の延長や健康リテラシーの向上、予防医療の発展を通じて高騰する医療費の適正化を推進することを目的に6つの展示会を開催します。

 

POM アシタノカラダ 河内晩柑(かわちばんかん)ジュース

本日(20日)は初日でしたが、沢山の方にお越しいただいております。

 

今回のイベントでは、ポンジュースでおなじみの えひめ飲料様の「POM アシタノカラダ 河内晩柑ジュース」(←リンクあり)もお配りしております。

※数量に限りがございますのでお早めに!
※河内晩柑(かわちばんかん)は柑橘(かんきつ)類の一種です。外観から和製グループフルーツと称されます。5月に開花してから、越冬をして、翌年の8月や9月まで実がついているという特徴があります。

 

この河内晩柑ジュースは機能性表示食品を取得しており、そちらのエビデンス取得のために、「あたまの健康チェック」をアウトカムスケールとして利用していただいております。
認知機能の一部である記憶力の維持があるかどうかを確認する調査で、「あたまの健康チェック」が使われたということですね。

 

皆様のお越しを心よりお待ちしております。

 

 

 

☆☆イベント情報☆☆ てんのうだいおれんじカフェ(11/27、我孫子)

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのSです。
地域での認知症関連のイベント情報をご案内します。

 

千葉県我孫子で開催される『てんのうだいおれんじカフェ』のご案内です。
「みんなで地域を支え合える住みよいまち作り」がこのオレンジカフェのコンセプトです。毎月第4水曜日に開催しています。
今月は「ロコモシンドロームを予防しよう」というテーマで、プログラムが開催されます。

 

 

てんのうだい おれんじカフェ(11/27、我孫子)

 

開催日
令和元年11月27日(水) 17時~20時
プログラム 17時15分~18時30分
食事 18時30分~
場所
セントケア我孫子デイサービス(千葉県我孫子市天王台4-5-1 シャトー天王台1F)
内容
「ロコモシンドロームを予防しよう」~いつまでも元気で生活するために~
講師
轟 幸治 氏(匠マッサージ 鍼灸あんまマッサージ師)
料金
実費(軽食・飲み物代500円)
持ち物
上履き

 

どなたでもお気軽にお立ち寄りください!
お好きな時間に、お一人でも、グループでもお気軽にご参加ください。

 

オレンジカフェのお手伝いをしてくれる方も募集中です!

 

問い合わせ先

田中直通/090-3427-7466
セントケア我孫子デイサービス/04-7181-7580

 

 

 

 

企業における認知症サポーターの活用と展開

 

ここ数年、企業が認知症対策に本腰を入れてきています。その一環として、社員に認知症サポーターの資格を取得させるといった動きが、徐々に広がりを見せています。

日本企業での認知症サポーターの活用の事例

①みずほ信託の事例

こちらの記事「みずほ信託、全社員の3分の1・1200人が認知症サポーターに 」(日経ビジネス 2019年9月13日付)からの紹介です。

 

これによれば、みずほ信託銀行の全社員の3分の1にあたる約1200人が認知症サポーター養成講座を受講したそうです。この1200人には、全役員も含まれていると言います。同行は今年の9月3日には「認知症サポート信託」―病院から「認知症」と診断書が出されるまでは顧客本人が自由に預金を管理できるが、認知症の診断が出た後、あらかじめ手続き代理人に指定していた家族らが介護などに必要な資金を引き出せるように切り替わるのが特徴―の販売も開始しています。

 

社員の3分の1が認知症サポーターとなったことについて、同行の飯盛徹夫社長の考えも記事では示されています。

 

認知症患者が保有する金融資産は2030年に215兆円となり、家計金融資産全体の約1割に及ぶとの試算もある。巨額の預金が凍結されることになりかねず、認知症への対応にどう取り組むかが、我が国の大きな課題だ。我々としても商品を売るだけでなく、顧客に本気で寄り添いたいと考えた。

 

②イオンやイトーヨーカド堂の事例

こちらの記事『認知症対策、イオン、ヨーカ堂が育てた「大規模サポーター」の効果』(日経ビジネス2019年9月24日付)からの紹介です。

 

この記事によれば、イオンは2007年から店舗で認知症対策に乗り出し、7万5000人以上に認知症サポーター養成講座を実施してきました。(注:しかし、記事からは、7万5000人が従業員のみの数字なのか、地域の人を含むのかは厳密には定かではない。
イトーヨーカ堂も2015年から資格取得のため社内研修を実施し、8500人を超える従業員が認知症サポーターになっている(≒認知症サポーター養成講座を受講した)とのことです。

 

背景にあるのは、言うまでもないことかもしれませんが、多くの高齢者が毎日、スーパーマーケットを訪れることにあります。

 

この記事では、次の事例が紹介されています。

 

認知症サポーターの資格を持つスーパーの店員が、買い物のときにトラブルを起こしてしまう高齢のお客様をみて認知症を疑い、地域の包括支援センターに連絡したことで、お客様が無事に介護保険のサービスを受けられるようになった。

 

この記事では、イオンが認知症対策に取り組む狙いについて以下のようにまとめられています。

 

イオンは高齢者が買い物をできるだけ長く続けられるようにし、家族も安心するような安全な空間を提供したいという。認知症を知り、サポートできる従業員をその要と位置付けている。CSR(企業の社会的責任)の観点からの取り組みだが、地域の課題で頼られる存在になれば、ビジネスにもプラスに働くはずだ。

 

③大京の事例

これから紹介する大京の事例の出典はこちらです。平成31年3月8日(金)に行われた第1回認知症バリアフリーに関する懇談会の資料になります。

 

資料8 株式会社大京ご提出資料|厚生労働省のホームページ(ホーム>政策について>審議会・研究会等>老健局が実施する検討会等>第1回「認知症バリアフリーに関する懇談会 資料)

 

大京グループは、「不動産開発事業」、「不動産管理事業」、「不動産流通事業」を展開しています。
2007年からマンションに勤務する全管理員の認知症サポーター養成講座受講をスタートし、現在ではほぼすべての管理員・社員が認知症サポーター(2019年現在累計約13,000人)になっているとのことです。

 

導入の背景は以下のように記されています。

 

 

・社会全体の高齢化に比例し、マンション居住者の高齢化も進展。

・マンションに勤務する管理員から、認知症を患われた方への対応について多くの事例や相談を受けるようになり、認知症サポーター養成の取り組みに参画。

・大京グループの取り組みがきっかけとなり、マンション業界でも受講が普及(2018年12月31日現在で、業界全体サポーター数 約74,000人)

 

さきほど、認知症サポーターであるスーパーの店員が認知症の疑いのあるお客様に気づいたという事例を紹介しましたが、同様に、大京グループでも認知症サポーターの管理員が、高齢のマンション住民で、「物を盗られたなどの訴え(が見られる)」、「郵便受けが溢れている」、「自宅を間違える」など異常を察知したら、警察や家族に連絡し、解決へつなげる取り組みを行っています。

認知症サポーターとは

そもそも、認知症サポーターとはどのような資格でしょうか。
今更感もありますが、おさらいしてみましょう。

認知症サポーターとは

認知症サポーターは、地域の中で、認知症の正しい理解と普及、見守りや手助けなどを目的とした資格です。90分ほどの講座を受講するだけで、幅広い人が取得できます。
講座を受講して認知症サポーターになると、その目印としてオレンジリングというブレスレットをもらえます。
講座は各自治体や企業で実施しています。受講希望の場合は、各自治体へお問い合わせください。

認知症サポーターの取り組みは、世界的にも評価されている

認知症サポーターの取り組みは、世界的にも高く評価されています。

 

以下は、認知症サポーターキャラバンのサイトからの引用です。

国際アルツハイマー病協会(ADI)の2012年版 報告書 (64ページ) において認知症への偏見をなくす日本の国家的な取り組みとして「認知症サポーターキャラバン」事業が高く評価されました。

 

英国では、日本を手本としdementia friendsと名付けた英国版・認知症サポーター制度を開始しています。

 

コメント①ー企業と認知症―

認知症とともに生きられる方々に対しては、保護や隔離から共生へと流れが変わってきています。しかし同時に、振り込め詐欺、下車駅がわからなくなるなど、認知症とともに生きられる方々が直面するトラブルも多くなりました。

 

また、企業にとってもこのようなトラブルの防止は、企業が受ける損害の事前回避という意味でとても重要なはずです。購入代金の不払い、電車の通常運行の妨げなど、企業として回避すべきリスクは無数にあるはずです。
特にGMS(総合スーパー)、金融機関、公共交通機関と言った分野の企業にとって、認知症とともに生きる方々への対応は、重要な課題となっているわけです。

コメント②―認知症サポーターは架け橋となるような存在―

いかがでしたでしょうか。
認知症サポーターは、認知症とともに生きる方々にとっても企業にとっても、重要な役割を担ていえるといえるのではないでしょうか。

 

ダイバーシティ(多様性)がますます重要視されている昨今、認知症に限らず、外国人や障碍者など、多様な人々と接する機会はますます増えることでしょう。
認知症サポーターのように、このような人たちとの架け橋となるような存在が、今の社会に求められていると強く感じています。
(文:マツ&S)

 

 

 

オランダの認知症村「ホフヴェイ」が保障する認知症の人の社会生活

 

はじめに―TEDでホフヴェイ―

オランダの認知症村「ホフヴェイ」に関する以下のカフェストの記事はよくアクセスされています。

 

オランダ・ホフヴェイ(Hogeweyk)に学ぶ、認知症ケア

TED

TED(←リンクあり)をご存知でしょうか。
「広める価値のあるアイデア」をシェアするという精神で、講演の動画を無料配信しています。1984年に米国で始まり、今は、世界中に、TEDの精神に基づく非営利のコミュニティが広がっています。

 

今年の3月に、1992年頃からプロジェクトリーダーとして、現在の「ホフヴェイ」を作り上げてきたイボンヌ(Yvonne van Amerongen)さんの講演がTEDより配信されました。(注:講演自体は2018年11月のもののようです。)

 

それをもとに、「ホフヴェイ」が保障する認知症の人の社会生活について紹介します。

TEDでのイボンヌさんの講演の配信

The “dementia village” that’s redifining elder care | TED

 

 

「ホフヴェイ」の復習―価値観の似た者同士で暮らすシェアハウスの集まり―

イボンヌさんによれば、「ホフヴェイ」には、27軒の家があり、それぞれの家には、6~7人の認知症が進んだ人が暮らしています。常時、介護や支援を必要としてる人たちです。

 

オランダ・ホフヴェイ(Hogeweyk)に学ぶ、認知症ケア」で紹介したとおり、オランダの認知症村「ホフヴェイ」の大きな特徴は、価値観の似た者同士で1つの家に住まうという点にあると思います。

 

イボンヌさんは、「ホフヴェイ」に暮らす認知症の人の家族に、「この方にとって大事なものは何ですか?」、「この方の生活はどのようなものですか?」など尋ねると言います。
そして、認知症の人を、価値観やライフスタイルが近い者同士のグループに分けます。

 

TEDでの講演では、あるライフスタイルのグループが次のように紹介されています。

 

他人との交流において礼儀を重視する。他人とは一定の距離を保つ。起きる時間も寝る時間も遅い。クラシック音楽がよく流れている。献立では伝統的なオランダ料理よりもフランス料理が多い。

 

また、別のライフタイルのグループとして、
「小さな手工業や農業に従事してきて、早寝早起きをするグループ」や、「旅行、人との交流、異文化、アートや音楽に興味があるグループ」が紹介されています。

 

よって、「ホフヴェイ」では、価値観の似た者同士6、7名で暮らすシェアハウスが27軒建っていると理解できます。

「ホフヴェイ」が保障する認知症の人の社会生活

「ホフヴェイ」が保障するものは、(これまで紹介してきた)価値観の似た者同士の共同生活にとどまらないとイボンヌさんは言います。
「人間は社会的動物であり、
社会生活(ソーシャルライフ)が必要」との考えに立ち、27軒の建物の外に、レストラン、スーパーマーケット、パブ、クラブルーム、街路、路地、劇場などを整えており、一つの街(“dementia village”)になっています。

 

イボンヌさんのお話では、認知症の人の社会生活や社交に関する幾つかの事例が紹介されています。

 

 

・毎日のように素敵な女性を探し求めて外出して、丁寧に口説き、パブで踊る「毎日がお祭り」の男性

・レストランで友人とワインを飲み、ランチやディナーを共にする人々

・公園を散歩し、日当たりの良いベンチに座る女性

 

 

また、イボンヌさんがオフィスの窓から見たという「ホフヴェイ」での光景が印象的です。イボンヌさんが会話を試みると、会話が成り立たないとそれぞれ感じられる、認知症の二人の女性なのですが、その二人が通りですれ違うときに、身振り手振りを交えて、楽しそうに会話をしていたと言われています。

 

私見ではありますが、介護施設と言われれば、介護が提供されている老人ホームなどの建物をイメージするのではないかと思います。それも棟の建物をイメージするのではないかと思います。それに対して、「ホフヴェイ」は27棟の建物(シェアハウス)とレストランやスーパーマーケットの商業施設等からなる1つのエリアです。このエリア全体が介護を提供している場であると考えてよいと思います。

 

そして、このように1つの街のようなつくりにすることで、認知症の人の社会生活を保障していると理解できます(注:ホフヴェイの広さは1.5ヘクタール。参考ですが、甲子園球場のグランド部分の広さが1.3ヘクタールなので、それよりやや広いサイズということになります。)

スタッフは認知症の人の街の暮らしを成り立たせるエキストラ

別の記事注1)になりますが、イボンヌさんが、「ホフヴェイ」でのスタッフの役割に関して、次のように言われています。

 

認知症の人は、これまでと同じ暮らしを繰り返すことに何より安心を覚えます。『ホフヴェイ』では、認知症の人が失くしてしまった能力をスタッフがさりげなく補うことで、自分らしい暮らしをストレスなく続けることができる点が特長です。

 

街の造りが、認知症の人の“どう振る舞えばいいの?”という疑問にヒントを与えます。それまで暮らしてきたのと同じようにしていればいいのです。ただ、認知症の患者さんは普通と違う行動をするので、専門家が常にサポートします。例えばここのスーパーマーケットでは、住人がレジでお金を支払うことを忘れても、登録されたナンバーで記録し、まとめて精算できるシステムを採用しています。普通のスーパーなら事件になりますが、みんな顔見知りですし、誰からも責められることはありません。スタッフがさりげなくサポートするので、失敗経験にならないのです。

 

このお話を聞きますと、ここのスーパーマーケットは嘘とまこと、フィクションとリアルが織り交ざった場所のようであり、スタッフはフィクションを成り立たせるエキストラのような役割を担っていることが分かります。

フェイクの建造物が認知症の人の安全を守る

こちらの記事(注2)では、ホフヴェイの方式がオランダやドイツに広まっている様子が描かれています。(注:「ホフヴェイ」はオランダの首都アムステルダムに近い場所にあります。)

 

以下は、この記事で紹介されている、ドイツのデュッセルドルフでの事例になります。

 

フェイク(にせもの)のバス停がある。混乱状態にある認知症の人がどこかへ行きたいと思い、このバス停に忍耐強く並ぶ傾向がある。しかし、実際にはこのフェイクのバス停にバスが来ることはない。折を見て、介護者が認知症の人に声をかけ、住まいへ案内する。

 

要するに、バスが来ることのないフェイクのバス停が、混乱状態にある認知症の人に、(待てばバスが来るだろうと思うがゆえに)その場で忍耐強く待つということをさせて、結果として、気持ちを落ち着かせたのではないかと思います。

 

この事例からも、虚実がないまぜとなった社会が、認知症の人の混乱や不安を軽減させる仕掛けとなっているのだと学ばされます。(終)

 

(文:星野 周也)

 

 

☆☆イベント情報☆☆ やさか町オレンジカフェ(11/15)

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのSです。

静岡での認知症関連のイベント情報

今回は静岡で開催される『やさか町オレンジカフェ』のご案内です。
このカフェは認知症の人や介護をするご家族の居場所となるとともに、医療・介護の専門職と、お茶を飲みながらお悩み事などのご相談に応じます。

 

 

 

やさか町オレンジカフェ

 

開催日
11月15日(金) 13時30分~15時30分
場所
セントケア八坂東 小規模多機能
静岡県静岡市清水区八坂東二丁目7-1
内容
『インフルエンザ対策』と懇談
料金
無料(飲み物付き)
どなたでもお気軽にお立ち寄りください!

問い合わせ先

セントケア八坂東(TEL: 054-371-5960)

 

 

☆☆イベント情報☆☆ オレンジカフェふじみん(11/13、ふじみ野)

 

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのSです。
ここでは地域での認知症関連のイベント情報をご案内します。

 

今回は『オレンジカフェふじみん』(埼玉県ふじみ野市)のご案内です。

 

 

オレンジカフェふじみん

 

開催日
11月13日(水) 14時~16時
場所
福祉の街 グループホーム鶴ケ岡(埼玉県ふじみ野市鶴ケ岡3-19-84)
参加費
100円
問い合わせ先
高齢者あんしん相談センターつるがまい(TEL:049-256-6061)
注:高齢者あんしん相談センターはふじみ野市での地域包括支援センターの名称です。

 

どなたでもお気軽にお立ち寄りください!

 

オレンジカフェふじみんは、認知症になっても住み慣れた地域で安心して過ごせるよう、認知症の方やその家族、地域住民などが集い、交流する場です。
コーヒーやお茶を楽しみながら、日々の悩みを相談したり、顔なじみの関係を築きながら、気軽に安心して過ごせる場所を一緒につくっています。

 

是非一度、足を運んでいただければ幸いです。

 

 

フランス発認知症ケア「ユマニチュード」の定量化を試みているレポートから②―「マルチモーダル」とは何か?―

 

フランス発認知症ケアの「ユマニチュード」の実践をビデオで撮ってその特徴を数値で示すことを試みたケースレポートの一部を10月月初に、ご紹介しました。
残りを本日、ご紹介します。キーワードは「マルチモーダル」です。

ユマニチュードに関するケースレポートの前回の記事

フランス発認知症ケア「ユマニチュード」の定量化を試みているレポートから―BPSDの削減に寄与―

ケースレポートへのリンク

Miwako Honda, Mio Ito, Shogo Ishikawa, Yoichi Takebayshi, and Lawrence Tierney Jr, “Reduction of Behavioral Psychological Symptoms of Dementia by Multimodal Comprehensive Care for Vulnerable Geriatric Patients in an Acute Care Hospital: A Case Series”, Case Reports in Medicine, 2016. | Hindawi Publishing Corporation

前回の記事での主要な結果

急性期病院に入院している介護拒否が見られる認知症患者3名に対し、従来型のケアを行い、それに引き続きユマニチュードのケアを行いました。一連の状況をビデオで撮影し、比較しました。

3事例を平均した結果は以下の通り(下表)です。

 

単位

従来型のケア ユマニチュード
全体 227.2 228.1
見る 0.6 12.5
話す 15.7 54.8
触れる 0.1 44.5
攻撃的言動 38.6 0.1

注:この表はレポートにもとづき、編集スタッフで作成

 

この表から読み取れることは以下の通りですが、ポイントは、1回あたりの関わりで、「見る」、「話す」、「触れる」のそれぞれに対し、従来型のケアに比べ、ユマニチュードにおいて多くの割合の時間がかけられていたという点にあります。

 

・従来型のケアは全体で227.2秒かかり、ユマニチュードでは228.1秒かかった。

・従来型のケアでかかった全体の時間(227.2秒)のうち、「見る」には0.6%、「話す」には15.7%、「触れる」には0.1%の時間がかけられていた。一方、ユマニチュードでは全体の時間(228.1秒)のうち、「見る」に12.5%、「話す」に54.8%、「触れる」に44.5%の時間がかけられていた。

・従来型のケアの時間では38.6%の時間で患者に攻撃的な言動が見られたのに対し、ユマニチュードでは0.1%の時間で攻撃的な言動が見られた。

 

今回ご紹介する「マルチモーダル」を示す結果

このビデオ分析では、「見る」、「話す」、「触れる」が同時に患者に施されていたかも評価されています。「マルチモーダル」という言葉を先行して提示して、ここまで引き延ばしてきましたが、3つのうち2つ、すなわち、「見る」と「話す」、「見る」と「触れる」、「話す」と「触れる」の2つを同時に行っている、また、「見る」と「話す」と「触れる」の3つ全てを同時に行っているということが「マルチモーダル」で指し示していることになります。

 

この観点で、従来型のケアとユマニチュードを比較した結果を下表では示しています。

同時に行って
いる数
従来型のケア % ユマニチュード %
事例1 事例2 事例1 事例2
76.3 69.2 13.8 21.5
23.1 29.7 35.2 42.3
0.5 1.1 32.7 35.4
0.1 0 19.7 0.8

注:この表はレポートに基づき、編集スタッフで作成。3つの事例のうち2つの事例を抜粋した。

 

この表から読み取れることは以下の通りですが、ポイントは、従来型のケアに比べ、ユマニチュードで、「見る」、「話す」、「触れる」の働きかけを同時に行っているという点にあります。ユマニチュードでマルチモーダルな働きかけがなされていると言い換えられます。

 

・事例1では、従来型のケアを行っていた時間のうち76.3%は、「見る」、「話す」、「触れる」を同時に行っている数は0であった。つまり、76.3%の時間、いずれも行っていなかった。同時に行っている数が1、すなわち、「見る」、「話す」、「触れる」のどれかを行っていた時間が23.1%であった。「見る」、「話す」、「触れる」のうち2つを同時に行っていた時間が0.5%、3つのすべてを同時に行っていた時間が0.1%であった。事例2で、従来型のケアを行っていた時間の内訳については同様に、同時に行っていた数(以下、適宜「同時の数」とも記す)が0の時間は69.2%、同時の数が1の時間は29.2%、同時の数が2の時間は1.1%、同時の数が3の時間は0%だった。

・事例1では、ユマニチュードを行っていた時間のうち、「見る」、「話す」、「触れる」のどれも行っていなかった時間が13.8%、同時の数が1の時間は35.2%、同時の数が2の時間は32.7%、同時の数が3の時間は19.7%であった。事例2で、ユマニチュードを行っていた時間の内訳については同様に、同時の数が0の時間は21.5%、同時の数が1の時間は42.3%、同時の数が2の時間は35.4%、同時の数が3の時間は0.8%であった。

 

コメント1 結果のまとめ―前回の結果と合わせてユマニチュードを総合的に理解―

前回の結果からは、ユマニチュードにおいて、従来型のケアと比べて、1回あたりの関わりで、より「見る」ことに時間をかけていて、「話す」ことや「触れる」ことににおいてもより時間がかけられていることが分かりました。
さらに、今回の結果から、ユマニチュードでは、「見る」、「話す」、「触れる」がバラバラに行われているのではなく、「見る」ことをしながら「話す」、「話す」ことをしながら「触れる」など、「見る」、「話す」、「触れる」が同時に行われていることが分かりました。

コメント2 「マルチモーダル」と人工知能(AI)

「マルチモーダル」は人工知能(AI)―人間の知的能力を人間に代わってコンピューター上で実現させる技術―をめぐる議論のなかでは、画像と音声など、複数の異なる情報を組み合わせて情報処理をすることを言います。複数の情報を組み合わせることで、情報処理の精度が上がります。例えば、人間においても、周囲に騒音があるような音声が聞き取りにくい環境下で、話し手の口の動き(視覚/画像)を声(聴覚/音声)と同時に読み取ることにより、正確に音声を聞き取ることができます。(注1~3)

 

状況認識が難しくなった認知症患者にとっても、「見る」ことをしながら「話す」、「話す」ことをしながら「触れる」など、複数の働きかけを同時に受けることは、状況判断―この状況が安心してよい状況なのかどうか、自分が大事に接してもらえているかどうか等―の助けとなっていると考えられます。
このことは、介護をする側から見れば、認知症の方に対して、どうすれば「あなたを大事に思っている」ということが伝わるかのヒントとなることでしょう。

コメント3 介護技術の客観的評価

このレポートでは、ビデオ分析により、従来型のケアとユマニチュードの違いを数量的に表現することができていました。
「見る」、「話す」、「触れる」にどれくらいの時間がかけられているか、これらを組み合わせて同時に行うことにどれくらいの時間がかけられているか。このように観点を決めて従来型のケアとユマニチュードのぞれぞれで数値化したときに、2つの間に違いが現れたということでした。有意義な知見と思います。

 

ビデオ分析での評価は、介護技術の客観的評価の可能性を開くものと言えるでしょう。
関連事例の紹介となりますが、今年の7月、京都大学から、「ユマニチュードの技術」をAIで評価する手法を開発したという研究成果の発表(注4)がありました。
内容は以下の通りです。

 

・介護場面で、介護者が頭部にカメラを装着して、ビデオ撮影する。

・(ビデオ撮影による)映像に対して画像認識などの技術で、介護者と被介護者の間のアイコンタクト成立頻度、顔(介護者)と顔(被介護者)の間の距離(以下、適宜「顔間距離」と記す)などを調べる。

・その結果、初心者/中級者/熟練者の間でアイコンタクト成立頻度や顔間距離などの間に大きな差が見いだされた。

 

この成果に基づき、介護技術を学ぼうとする学習者が、頭部にカメラを装着して介護を行うと、アイコンタクト成立頻度や顔間距離などに基づき、スキルレベルの推定ができるとのことです。
ということは、熟練者と差があった場合、差を埋める努力の方向性が、感覚を超えて客観的に語ることができるのであろうと期待を込めながら思います。

コメント4 コーチングAI

AIによる介護技術の客観的評価(コメント3)に関連して、さらに、AIによる指導・教育(コーチングAI)という事例を最後に紹介します。

 

技術を教えるということは、介護の現場で、指導者(先輩)が学習者(後輩)を対面で指導するというのが従来の形でした。「教える」ということを、ビデオ撮影による映像(動画)とAIの技術を組み合わせて指導者がなしでも実現させようというコーチングAIの開発も既に始められています。

 

株式会社エクサウィザーズ(←リンクあり)がコーチングAIの開発を進めています。それは既に開発済のリモートコーチングを前提としたものです。
リモートコーチングでは、学習者が自身の実践動画を撮影し、アプリで動画を送付します。指導者は、アドバイスをしたい場面で、動画にコメントを返信します。コメントは音声でもできますし、赤ペン先生のように動画に直接、助言を書き込むこと(テキスト)でもできます。
そして、指導動画のデータを集めて解析することで、失敗や間違いをパターン化でき、人ではなく、AIがアドバイスできるようになる(コーチングAI)ということです。(注5~6

 

教えるということが、「対面での指導」から「遠隔での指導」へ(リモートコーチング)と進化し、さらに(「指導者による指導」から)「AIによる指導」へ(コーチングAI)と進化していく流れが見て取れるかと思います。
コメント3と4により、学習者の自己学習も、指導者による指導もAIにより変わっていくという気運の胎動を感じていただければ幸いです。

 

(文:星野 周也)

 

 

 

脳の老化を防ぐ習慣

 

 

 

こんにちは。認知症Cafést Online編集スタッフのUです。

脳の健康寿命

人生100年時代、「健康寿命」というキーワードは、私たちにとって必須なものになりました。ただ、健康寿命と一言で言っても、いわゆる「体の健康寿命」ばかりに意識が向きがちで、「脳の健康寿命」について意識している人はそんなに多くないようです。

 

現代は、食事、パソコン・スマホ、運動量など、昔に比べて生活環境が大きく変わってきています。それに伴い、脳への負担も変化してきています。

脳の老化を防ぎ、健康寿命を延ばすための習慣

私も何かを記録するにも、昔ならメモを手書きでとっていたものを、今ならスマホの写真で資料やホワイトボードに書かれているものを記録したり、音声を録音したりするだけで済みます。

 

そこで簡単に実践できる習慣として、脳波研究の第一人者飛松省三氏の新書である脳が若返る15の習慣』(←Amazonへのリンクあり)にある「モノは、親指と、人差し指以外の指でつまむ」を実践しようかと思います。あえて人差し指を使わずに「親指と小指」、「親指と薬指」、「親指と中指」を使う運動を取り入れて「脳の健康寿命」を少しでも延ばそうと思います。