オジー・オズボーンがパーキンソン病を告白

 

こんにちは。認知症Cafést Online編集スタッフのマツです。

オジー・オズボーン

先週のニュースで、オジー・オズボーンがパーキンソン病を告白という記事を見かけて、正直ショックを受けてしまいました。

 

記事によれば「メタル界の帝王」と呼ばれるオズボーンさんは、自宅で転倒して首の手術を受け、昨年2月にパーキンソン病と診断された。手術の影響で腕のしびれや、脚が冷たくなるなどの症状を抱えておられるとのことです。

 

パーキンソン病とレビー小体型認知症

パーキンソン病は認知症ではありませんが、その症状からレビー小体型認知症と混同されやすいです。
どちらも同じレビー小体という物質が原因であり、レビー小体の現れる位置によってパーキンソン病やレビー小体型認知症という違いになるようです。
また、物忘れなどの認知機能に障害があるか否かという違いもあります。
詳細は以前の記事「レビー小体型認知症とは」にまとめてあります。

 

普段は認知症や高齢・介護といった分野に気持ちが向かないという方、特にハードロック・ヘビーメタルファンの方、この機会にぜひ認知症や高齢・介護のことを身近に感じていただきたいです。

 

太極拳による認知機能の改善効果―動くことが薬になる―

 

ハーバードメディカルスクール(注:以下、適宜、HBSと略します)のフェイスブックをフォローしていますが、先日、太極拳(tai chi)が認知機能を改善させるという記事(“A sharper mind: tai chi can improve cognitive function”)がシェアされておりまして、内容を確認して、簡単にまとめてみました。
ハーバードメディカルスクールからは時折、太極拳についての発信がありますので、気になっておりました。

「動くことが薬」、「動く医薬」と英語で表現される太極拳

太極拳は、HBSの別の記事(“The health benefits of tai chi)によると、“medication in motionと今後、表現されるようになるのではないかと指摘されています。

 

直訳すると、「動くことのなかでの薬」ですが、「動くことが薬」(注:「動く医薬」と訳している文章も見つけています。)という表現が合っているように思います。

(注:“meditaion in motion”―「動くことのなかでの瞑想」―という表現が実際に太極拳に対してしばしば使用されているとのことです。これにならって、“medication in motion”という表現も今後、普及するであろうというのがHBSの記事での話の流れです。)

 

太極拳は中国の武道に起源を持つ運動ですが、さまざまな病気の治療や予防効果があることが知られるようになったために、“medication in motion”(「動くことが薬」、「動く医薬」)という言葉が着想されたようです。

 

太極拳による認知機能の改善効果

認知機能の改善効果①―実行機能を改善させる―

A sharper mind: tai chi can improve cognitive function”によりますと、
太極拳と認知機能の結果に関する20個の研究の結果を統合して統計解析(注:メタアナリシス)したところ、認知機能の低下が認められていない人たちにおいて、太極拳により、認知機能のうち実行機能を改善させているとの結果が得られました。

 

実行機能は、マルチタスク(同時に複数の課題や作業に対処する)を遂行したり、時間を管理したりする能力です。
マルチタスクについては、例えば(注:カフェスト編集スタッフによる例示)、ある時間で、ご飯をつくり(炊飯)ながら、みそ汁をつくり、おかずを何品かつくるという場面をイメージしてください。同時に複数の課題(ご飯、みそ汁、おかず)に対処していることになります。

 

それぞれの課題に対処するために、「ご飯をつくる」、「みそ汁をつくる」、「おかずを何品かつくる」というそれぞれの手順を頭に入れ、段取りを考えて、それぞれ(ごはん、みそ汁、おかず)の工程を短時間で切り替えながら進めていくと思います。意識はしていないかもしれませんが、あえて分解してみると、「頭(脳)を使う高度なこと」として浮かび上がってくるのではないかと思います。
上記の状況における「段取り」が実行機能を端的に理解する際のイメージと思います。

認知機能の改善効果②―認知症への進行を遅らせる―

続いて、上記の解析―太極拳と認知機能の結果に関する20個の研究の結果を統合した統計解析―の結果、軽度認知障害(MCI)のある人々において、太極拳が他の運動よりも、認知症への進行(移行)を遅らせていたということです。

太極拳の健康効果

太極拳の健康効果①―認知機能に対する効果の機序―

太極拳の健康効果を考えるにあたっては、脳の機能や発達に関する知見の変化を踏まえる必要があります。

 

20年前までは、脳は人生の早い時期においてのみ、細胞を産み出すと考えられていた。しかし、生涯にわたり、脳が可塑性を持ち、新しい細胞を発達させたり、新しい細胞間のつながりをつくったり、細胞のサイズを増大させたりすることが分かってきている。

出典:“A sharper mind: tai chi can improve cognitive function

 

別の書籍(『在宅医療カレッジ 地域共生社会を支える多職種の学び21講』)では、レビー小体病当事者として紹介されている樋口直美さんが同様のことを言われています。

 

認知症の場合、脳って、医学的には壊れる一方といままではいわれてきました。
でも、脳って、そんな単純なものじゃないんですよね。どこかの部位が壊れたら、別のどこかが発達したりするんです。壊れる一方じゃないことが脳科学の進歩でわかってきました。

 

この脳の変化―新しい細胞を発達させる、新しい細胞間のつながりをつくる、細胞のサイズを増大させる―が認知機能を改善させると考えられており、太極拳や他のいくつかの運動は、この機序による改善を促すものであるようです。

太極拳の健康効果②―その他の心身に対する効果―

太極拳には筋力強化、柔軟性やバランス能力の向上などの効果もあります。その動きにスピードが伴うなどすれば、有酸素運動が持つ効果も持ちえると言われています。

 

太極拳の効果に関して、武術太極拳元日本代表の市来崎大祐さんの次の言葉が伝わると思いました(出典記事へのリンク)。それは太極拳の特徴も伝えてくれているからと思います。(注:もっとも、100%の分かりやすさかと言うとそうではないですが、伝わる文章だと思いました。)

 

通常の筋力トレーニングでは鍛えにくい、瞬発力などに使うエキセントリックトレーニング(速筋強化)は、太極拳や日本舞踊のような中腰になる姿勢が効果的とされます。また、速筋は30代になると急激に衰えていくので、このトレーニングを使った太極拳は基礎代謝の向上にも効果的です。

 

ストレッチやヨガの場合、一つの方向に伸ばす運動が多いですが、太極拳の動きは3Dムービング。さらに陰陽マークに象徴されているような、ワンポーズで終わらず循環しながら、常に動き続けるのが太極拳の大きな特徴といえます。太極拳は円の運動、腰の回転もありいろいろな方向に3次元に動くので、全身をまんべんなく動かすことができて、体への負担も少ない。一方向で止める動きの場合、とくに高齢者には負荷が大きくなりますが、人間の関節は円運動ができる仕組みになっているので、呼吸とともに軽負荷で少しずつゆっくり動き続けることで、負荷をかけずに運動を行うことができます。

 

上記の引用部分以外でも、「体重移動を伴った流れるような動き」、「呼吸と共に力を抜き、自分に意識を向ける」、「さまざまな動きをつなげる(ワンポーズではなくムーブメント)」、「脂肪を燃焼する有酸素運動と、糖質を燃焼する瞬発的な動きを両方兼ね備える」など太極拳のキーワードと思われるものを当該記事から拾い上げると、太極拳の健康効果の背景が浮かび上がってくると感じます。

編集スタッフのコメント―動くことが薬になる―

太極拳、その名前は以前から見聞きしていましたが、詳しくは知らず、今回の記事執筆を通して奥行が垣間見え、関心が深まりました。

 

私はマラソン、ジョギングが趣味です。職場が皇居に近いので、勤務の前や後に、皇居を1~3周走ります。長く続けていきたい趣味です。
マラソン、ジョギングで、持久力強化、体重コントロールなどの効果を期待していますが、筋力強化や柔軟性の向上の取り組みは足りていないのではないかと思っています。

 

なので、そのための取り組みとして太極拳はリストには入りました。認知機能を改善させる効果もあるという点は興味深いですし、「動くことが薬になる」という含意を持つ“medication in motion”という英語表現に妙味も覚えます。
ともあれ、いろいろな候補を探して、自分に合った運動を見つけていきたいと思っています。

 

(文:星野 周也)

 

 

バギースメソッド② バギース先生の「Health 2.0 Asia – Japan 2017」での講演録

 

先週(2020/01/14)、「歩行からの認知症のリスク判定」に関する、アルベルト・アインシュタイン医学校(アメリカ)のバギース先生の研究を紹介しました。

(記事へのリンク → 「バギースメソッド① MCRとは何か?―認知症のリスクを捉えるのはMCIだけではない―」

 

このバギース先生が、2017年12月に日本の渋谷で「Health 2.0 Asia – Japan 2017」というイベントで講演されております。このときの先生の講演のご様子に関する情報(以下、講演録と略)を入手しましたので、今回ご紹介したいと思います。

講演録入手の経緯

この「Health 2.0 Asia – Japan 2017」のサイトには、このカンファレンスはメドピア株式会社が米国の“Health 2.0 LLC”とのパートナーシップのもと運営していますと記されています。

 

ここに記載されているメドピア株式会社(東京都中央区)が開設されていたメディアのサイトにて、このときのバギース先生の講演の講演録が紹介されていました。それを印刷(PDF化)して手元に持っておりました。

 

私たちの記事においても参考サイトとしてご紹介させていただきたいと思っていたところ、このサイトが閉じられており、その記事にアクセスできないことに気づいたため、メドピア株式会社に問い合わせをしました。
そこで、記事(画像2枚を含む)の転載の許諾を得ました。

 

これまで、私たち(Cafést編集スタッフ側)は、アルベルト・アインシュタイン医学校のサイトや、先生が関わる研究論文にアクセスして、先生の議論の理解を進めてきましたが、2017年の渋谷での講演は、研究者以外のビジネスパーソンや起業家、学生に向けたものであり、アカデミックな議論が一般向けの言葉に翻訳されて、分かりやすく伝えられていると感じて、貴重と思いました。

 

文面の転載及び画像の提供(利用)のお願いを受諾していただき、ありがとうございました。

転載部分の出典

メドピア株式会社より提供

 

Health 2.0 Asia – Japan 2017
2017年12月5日keynote(→プログラムへのリンク)より

プログラム掲載の演題:「認知症のリスクを予測する:科学・医療・技術」(Joe Verghese)

 

講演のご様子を伝えるもともとの記事のタイトルは、『世界の認知症研究からみる、「認知症予防」の最新トレンド―ジョー・バギース医学博士』でした。(Text By 梶川奈津子 / Edit By オバラミツフミ / Photos By 松平伊織 と記名されています。)

注:もともとの記事には松平さまにもリンクがついていましたが、現在、該当のページがなかったため、ここではリンクを外しています。

バギース先生の「Health 2.0 Asia – Japan 2017」での講演録(以下、転載部分)

注:バギース先生の当日のお写真です。メドピア株式会社より画像利用の許諾を得ました。

 

2017年12⽉5⽇から6⽇にかけて渋⾕ヒカリエで⾏われた、世界最⼤規模かつ最もアクティブなグローバル・カンファレンス「Health 2.0 Asia – Japan 2017」。

 

本記事では、ニューヨークの医科⼤学で20年間、認知症をはじめとした⽼齢学を研究するJoe Verghese⽒を迎えたキーノート「認知症のリスクを予測する:科学・医療・技術」をダイジェストでお届けします。

 

70歳以上人口において、2番目に多数を占める障害疾患といわれる「認知症」。超高齢社会の日本では、今後も患者がますます増えることが予想されます。認知症は、数年をかけて徐々に発症に⾄るケースがほとんど。Joe⽒は、だからこそ「⽇頃から⾝体の⼩さな変化を捉え、発症リスクを特定しておくことが⼤事だ」といいます。

 

20年にわたり世界の症例と向き合ってきたJoe Verghese⽒が、最新の研究結果を踏まえながら、認知症の効果的な予防法を語ります。

患者の教養を問わない“万国共通”の認知症検査法「PMIS」

Joe Verghese(以下、Joe): 私は、ニューヨークの医科⼤学で20年間「⽼齢学」の研究をしています。主に⾼齢者の多岐にわたる問題をテーマに、たとえば認知症やフレイル(虚弱、⽼衰)、転倒の問題などを扱ってきました。また、研究で得た知⾒を医療現場に活かし、認知症を特定する検査法などを開発しています。

 

私は検査法を開発するときに、⼤事にしていることが3つあります。まず、すべての患者に適⽤できるよう費⽤を安価に抑えること。そして、トレーニングを受けた⼈でさえあれば、たとえ医師でなくとも誰もが実施できること。最後に、患者の教育レベル(⾔語・数学能⼒)を問わず、誰もが受診可能であること。

 

こうした考えに⾄った経緯には、私が数年前にインドで認知症の研究を始めた頃があります。当時出会った患者は、教育機会に恵まれない⽅がほとんどでした。彼らの識字⼒を前提条件とした検査法を考案する必要があったのです。そこで開発したのが、「画像記銘⼒障害スクリーニング(Picture Memory Impairment Screen、以下PMIS)」という写真を使⽤した検査法です。

 

事前にさまざまな写真を⽤意し、患者には、お題に従って該当する写真を選んでもらいます。たとえば「交通⼿段はどれですか︖」と質問をし、該当する写真を指してもらう。そして数分後に、「先ほど⾒た写真を思い出せるかどうか」を確認します。

 

その検査を繰り返し、連続して3つ以上の写真を思い出せなかった場合は、認知症のリスクがあるといえます。検査の精度も⾼く、10⼈中9⼈は正しく症状を特定することができるのです。

 

ちなみに、PMIS以外の主な検査⽅法として、「ミニメンタルステート調査(MMSE)」が⼀般的に知られています。しかしMMSEは、図形描画や⽂章を書く作業が伴うため、患者の教育レベルが低い場合には症状を特定しづらい懸念があります。また、予測率が約60%と精度があまり⾼くありません。

「物忘れ」と「歩行速度の低下」が気になり始めたら、まずは認知症を疑ってみるべき

注:メドピア株式会社より画像利用の許諾を得ました。

 

Joe:認知症の⼤半は、数年単位の時間をかけ、徐々に発症に⾄るケースがほとんどです。なので、特に⾼齢者は⽇頃から⾝体の⼩さな変化を捉え、認知症のリスクを特定しておくことが⼤事です。

 

直近10~15年の研究では、認知症の前兆とされる症例が明らかになっています。たとえば、認知症の自覚症状がなく、日常生活に支障はない方の場合でも、「軽度認知障害(MCI)」になっている可能性があります。

 

また、認知症が発症していない⾼齢者の⽅でも、物忘れが激しく、かつ歩⾏速度が遅くなった場合には「運動認知リスク症候群(MCR)」であると考えられます。こちらは発症例が多く、以前17ヶ国・2万6,000⼈の成⼈を対象に⾏った調査では、10⼈のうち約1⼈がこの運動認知リスク症候群であることが判明しました。

 

また東京でも同様に、認知症リスクに関する研究を⾏ったことがあります。認知症患者の介護に1年以上携わった⽅(看護師やセラピストなど)を対象に、⾼齢者の転倒についてヒアリングをしました。そこで判明したことは、やはり「認知症を患う⾼齢者は、歩⾏中に転倒するリスクが⾼い」ということ。全員のケアをしていたら、莫⼤な費⽤がかかります。

 

しかし、認知症を患ったすべての⾼齢者が転倒するとは限りません。転倒リスクが⾼い患者のみをターゲットにし、かつ彼らの転倒を防⽌するコストを削減すれば、結果的に⼤幅な介護費⽤が節減できるということになります。こうした結果を受け、私は数ある認知症の前兆のなかで、特に⾼齢者の歩⾏機能の改善に着⽬するようになりました。

世界各国の研究結果にみる、多様な認知症予防法

Joe:先ほどの調査のように、歩⾏能⼒と認知機能には密接な関係があります。たとえば思考や情報処理といった認知の遂⾏能⼒が低下した場合、歩⾏能⼒に影響を及ぼすことが分かっています。

 

では逆説的に、認知機能を改善することで、たとえ運動せずとも歩⾏能⼒を改善することができるのではないか。そう考えた私は、実証実験を⾏いました。被験者は24⼈。12⼈には、ブレインゲームを週3回・3ヶ⽉間⾏い、継続的に脳を活性化させてもらう。残りの12⼈には、対照群として通常どおりの⽣活を⾏ってもらいました。

 

3ヶ⽉後に測定を⾏った結果、ブレインゲームで継続的に脳を活性化していた12⼈は、歩⾏スピードが約15%改善していました。⼀⽅、対照群の12⼈も若⼲の変化はあったものの、顕著ではありませんでした。⾮常に座りがちな⽣活を⾏う⼈でも、脳を活性化するだけで歩⾏機能を改善することができると判明したのです。

 

他にも、世界各国では様々な認知症予防策が研究されています。特に「社交性」は、直近12年ほど注⽬されているテーマであり、世界各国から実証結果が報告されています。

 

たとえば2000年にはスウェーデンから「⾼齢者のなかでも、特に社交的な⼈たちには認知症患者が少ない」という研究結果が出ました。それから、タイの研究では「特に友⼈と交流することで、より認知機能が維持される(家族との交流は、あまり効果がない)」という結果も出ています。

 

また、イギリスの研究では「性別によって、認知機能の維持に効果的な交流相⼿が異なる」とされており、「男性は配偶者、⼥性は友⼈とのインタラクションがあると認知機能が維持されやすい」との結果が出ています。

 

さらに、アメリカや⽇本の研究機関では「認知症予防の活動として、特にダンスが効果的である」という結果も出ています。このように、認知症予防においては、社交性がひとつのキーワードであり、エイジングケアの秘訣といえるでしょう。

 

(転載終了)

最後に―カフェスト編集スタッフのコメント―

このたび、メドピア株式会社から転載の許諾を得て、この2017年の日本の渋谷での講演をご紹介できたことは大変、幸運なことと思っています。

 

ここでの講演の内容は弊社プロジェクトでの学びと響き合っており、読み応えがありました。自分たちだけの学びでは曖昧に感じることがありましたが、この講演録を読み、視界が幾らか晴れて、学びの裏づけが得られたと思いました。
今後は、この講演内容を反映させて、バギース先生の研究からの私たちの学びをご紹介していきたいと思っています。

 

(文:星野 周也)

 

SDGs(持続可能な開発目標)

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフの U です.

SDGs

SDGs(エスディージーズ:Sustainable Development Goals、訳は持続可能な開発目標)とは、
2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。

 

持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人として取り残さない」ことを誓っています。

既視感

ターゲットに「認知症」のワードはありませんが、大枠では含まれるのでしょう。

福祉に関わるものとしては、既視感があります。

 

社会保障制度を議論するときに必ずこの「持続可能な制度」が枕詞につけられる。

年金・医療・介護は、暮らしのセーフティネットであり、ライフラインであることは誰もが認識しているでしょう。

少子超高齢化が進む中、どう持続可能な制度にするか。

当事者として

財政政策としては供給を絞り、さらなる負担しかない。

 

地域の支え合い助け合いはとても良いことだと思いますが、地域資源はゼロコストではありません。
「介護サービス」、「地域包括ケア」、「地域共生社会」、どのように持続していくか。
当事者として真剣に取り組んでいきたいと思います。

 

☆☆イベント情報☆☆ オレンジカフェ(1/23、春日部)

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのSです。
ここでは地域での認知症関連のイベント情報をご案内します。

 

今回は埼玉県春日部でのオレンジカフェ(認知症カフェ)のご案内です。オレンジカフェは認知症の人やその家族、地域の人や専門職など誰もが気軽に参加でき、相談や情報交換ができる場です。

 

 

オレンジカフェ(認知症カフェ)

 

開催日
1月23日(木) 14時~15時30分
場所
小規模多機能 ふくしのまち春日部
埼玉県春日部市金崎982-1(地図
料金
無料

申込は不要です。時間内であればいつでも参加可です。
どなたでもお気軽にお立ち寄りください!

問い合わせ先

春日部市第8地域包括支援センター(TEL:048-746-5190)

 

 

☆☆イベント情報☆☆ てんのうだいおれんじカフェ(1/22、我孫子)

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのSです。
地域での認知症関連のイベント情報をご案内します。

 

千葉県我孫子で開催される『てんのうだいおれんじカフェ』のご案内です。
「みんなで地域を支え合える住みよいまち作り」がこのオレンジカフェのコンセプトです。
毎月第4水曜日に開催しています。

 

 

てんのうだいおれんじカフェ(1/22、我孫子)

 

開催日
令和2年 1月22日(水) 17時~20時
プログラム 17時15分~18時30分
食事 18時30分~
場所
セントケア我孫子デイサービス(千葉県我孫子市天王台4-5-1 シャトー天王台1F)
内容
「懐かしい歌・楽しい歌を皆さんとご一緒に」
講師
「歌」 浦 富美氏 / 「演奏」キーボード 山口奈津子氏
料金
軽食・飲み物代 500円
持ち物
上履き

 

どなたでもお気軽にお立ち寄りください!
お好きな時間に、お一人でも、グループでもお気軽にご参加ください。

 

オレンジカフェのお手伝いをしてくれる方も募集中です!

 

問い合わせ先

田中直通/090-3427-7466
セントケア我孫子デイサービス/04-7181-7580

 

 

 

 

バギースメソッド① MCRとは何か?―認知症のリスクを捉えるのはMCIだけではない―

 

弊社(セントケア・グループ)では、アメリカ合衆国のニューヨークにある、アルベルト・アインシュタイン医学校(Albert Einstein College of Medicine)のバギース先生(Joe Verghese)と提携をし、先生の研究から学ぶプロジェクトを行いました。

 

主要テーマは、歩行からの認知症のリスク判定でした。
そこから得られた知見について、数回に分けてご紹介していきます。

バギース先生について

バギース先生(上述の医学校に掲載されているプロフィールのページ)の専門は医学(老年学)と神経学です。高齢者における加齢や病気が歩行や認知機能に与える影響などを研究されています。

バギース先生の問題意識―認知症のリスク判定について―

アルベルト・アインシュタイン医学校のサイトに掲載されているバギース先生に関する記事
Slow Walking Speed and Memory Complaints Can Predict Dementia

によれば、先生は、駆け出しの研究者の頃、「何百人もの患者を調べているうちに、高齢者で歩行速度が遅くなってきたら、認知機能の検査でも異常である可能性が高い」と気づき、「歩行速度というシンプルな指標が将来の認知症を予測するのではないか」と仮説を立てて、研究を進められてきました。

 

先生の問題意識は、この記事での以下のご自身の発言からも伝わってきます。

 

認知症のリスクがあるか否かを判定する洗練された検査、例えば、バイオマーカー検査、認知機能検査、神経画像検査は、多くの診療場面や地域でアクセスが限られていて、なかなか受けることができません。

 

私たちが提案する検査は複雑なものではなく、神経科医による検査の実施が要件になっていませんので、より多くの人々が認知症のリスクがあるかどうかを知ることができます。

 

要約すると、バギース先生が、「一人でも多くの人がアクセスできる簡便な検査」、「専門家でなくても実施できる検査」を目指してこられたことが分かります。

MCRとは何か?

MCRの定義

「認知症のリスク判定に有効」とバギース先生が提案するMCRMotoric Cognitive Risk)は以下の4つの条件を満たす人です。

 

1.もの忘れの自覚や訴えがある

2.歩行速度が遅い―性、年齢別の基準値より1標準偏差以上遅い。例えば、バギース先生のある研究では、基準値より1標準偏差だけ遅い値として、70-74歳の男性で80.7cm/秒)、女性で77.8cm/秒)が示されている。よって、70-74歳の男女でこれらの速度以下のときに、速度が遅いと判定される。―

3.日常生活に問題はない

4.認知症ではない

 

一番目の「もの忘れの自覚や訴えがある」については、研究上の厳密な測定については不明であるものの、「あなたは、他の人たちと比べて、もの忘れで問題があると思いますか?」など、「はい」か「いいえ」で回答できる複数の質問から判定されているようです。

 

少数のシンプルな質問で測定できることが MCRのウリと謳われています。
従って、実践への応用を検討する際には、先ほど一例として記した、もの忘れの自覚を尋ねる質問を知っていればよいであろうと思います。

MCIとの違い

このMCRの定義は、MCI(軽度認知障害)のうち、「客観的な認知障害」を、「遅い歩行」に置き換えたものになります。
具体的に確認してみましょう。

 

MCIの定義を以下に示します。(注:MCIは、1995年頃に、アメリカのメイヨー・クリニック(MayoClinic)のロナルド・ピーターセン氏らのグループが提唱・公表したものです。)

 

 

1.本人や家族(介護者)による「もの忘れ」の訴えがある

2.加齢の影響だけでは説明できない記憶障害が客観的に示される

3.日常生活能力は自立

4.全般的な認知機能(思考力や判断力など)は正常

5.認知症は認めない

6.認知機能に影響を与えるような身体疾患は認めない

 

注:この定義は奥村歩著『MCI(認知症予備軍)を知れば認知症にならない!』(主婦と生活者、2014)より引用しました。

 

MCIの定義の方が細かくなっていますが、大づかみすれば、「もの忘れの訴え」、「日常生活に問題はない」、「認知症ではない」の3点がMCRMCIで共通であり、それらに「遅い歩行」の条件が追加されたものがMCRで、「客観的な記憶障害」の条件が追加されたものがMCIであること―「遅い歩行」か「客観的な記憶障害」かで違いがあること―が分かります。

MCR該当者の特徴(1)―性、年齢、身体健康、認知機能での違い―

バギース先生のある研究論文の結果で、MCRに該当した方の特徴を確認してみます。
2002年から2011年に及ぶ研究における779人(70歳以上)のデータの結果(一部の抜粋)です。

 

MCR該当者
52名
MCR非該当者
715名
平均年齢 79.9歳 79.7歳
男性対女性 40対60 39対61
遅い歩行 100% 39%
もの忘れの自覚 100% 9%
高血圧 75% 60%
糖尿病 31% 14%
認知機能 MCR該当者で、非該当者より、認知機能の諸側面―記憶力、実行機能、注意力など―で低下が見られる。
有意差あり。

 

この表からは以下のことが読み取れます。

 

■ MCR該当者と非該当者の間で、年齢や男女比で違いは見られません。(注:その他、学歴でも差は見られていません。)

 

■「③遅い歩行」、「④もの忘れの自覚」はMCR該当の条件であり、③も④も満たすことが条件ですから、MCR該当者では当然100%です。一方、MCR非該当者で「③遅い歩行」の基準に該当した人は39%、「④もの忘れの自覚」の基準に該当した人は9%でした。

 

■ MCR該当者では、非該当者に比べて、高血圧、糖尿病の割合の人が多く、認知機能の低下(各認知機能の検査での点数が低い)も見られました。これらの項目は統計的に有意差ありでした。

(注:その他、表には示しておりませんが、MCR該当者で、非該当者と比べて、関節炎の割合の人が多い、うつ症状が強い―これらで統計的な有意差あり―などの結果が得られています。)

 

 

なお、MCR該当者において認知機能の低下が認められることから推測できるように、MCR該当者の中には、MCI該当者(客観的な認知障害がありの方)もいました。具体的には52名中28名がMCI該当者であり、残りの24名が「純粋」なMCR該当者でした。

MCR該当者の特徴(2)―認知症を発症した人の割合―

続いて、研究の追跡期間内に認知症を発症した人の結果を下表にて示します。

 

MCR該当者
52名
MCR非該当者
715名
認知症発症者数
↓内訳
8名(15.4%) 62名(8.7%)
アルツハイマー型 1名(1.9%) 40名(5.6%)
血管性認知症 7名(13.5%) 14名(2.0%)
その他 0名(0.0%) 8名(1.1%)

 

この表によれば、MCR該当者52名のうち8名(15.4%)で認知症を発症し、MCR非該当者715名のうち62名(8.7%)で認知症を発症しました。
認知症発症率がMCR該当者で高いこと、内訳を見ると、MCR該当者で特に血管性認知症の発症割合が高いことが確認できます。

MCR該当者は、非該当者に比べて何倍認知症を発症しやすいか?

このデータで「MCR該当者は、非該当者に比べて何倍認知症を発症しやすいか?」(注:ハザード比)を統計解析で算出した結果が以下のとおりです。

認知症(区別なし) 血管性認知症
モデル1 3.3倍 12.8倍
モデル2 2.7倍 11.1倍
モデル3 有意差なし 11.5倍

 

モデル1 MCRか否かの他、性別、年齢、学歴を追加
モデル2 モデル1に身体健康の情報も追加
モデル3 モデル1にMCIの情報を追加したうえ、
MCR該当者からMCI該当者を除く

 

結果は以下のように読み取ることができます。

 

■モデル1は、性別、年齢等によらないMCRの効果(認知症発症に対する効果)を検討したものです。性、年齢に関わらず、すなわち、男性であっても、女性であっても、あるいは、何歳であっても、MCR該当者は、MCR非該当者に比べて、認知症の全体―その種類で区別しない―で3.3倍(注:同じ経過時間であれば3.3倍という意味。以下同じ。)発症しやすく、認知症を血管性認知症に限定した場合は12.8倍発症しやすいという結果でした。

 

■モデル2は、モデル1に高血圧該当か否か、糖尿病該当か否かなど身体健康の情報も追加して認知症発症に対するMCRの効果を検討したものです。性、年齢、身体健康の状態に関わらず、MCR該当者は非該当者に比べて、認知症の全体で2.7倍発症しやすく、認知症を血管性認知症に限定した場合は11.1倍発症しやすいという結果でした。(注:「身体健康の状態に関わらず」は、「高血圧であろうがなかろうが、糖尿病であろうがなかろうがMCR該当者の場合は〇倍」という意味合いと、「高血圧であること、糖尿病であることの認知症発症に対する影響を組み入れても、それとは独立して、MCR該当者の場合は〇倍」という意味合いとがあります。)

 

■モデル3は、意味合いとしては、MCIの影響を取り除いた「純粋」なMCRの効果を検討したものです。MCIが混じっていない純粋なMCR該当者の場合、非該当者と比べて、認知症の全体での発症のしやすさについては有意差が認められない結果でしたが、血管性認知症の場合は、11.5倍発症しやすいという結果でした。

 

まとめ―MCRという指標での認知症のリスク判定―

MCR該当者は、単純に(モデル1)、非該当者に比べて、認知症、特に、血管性認知症を発症しやすいという結果でした。
ただし、MCR該当者はそもそも、非該当者に比べて、高血圧や糖尿病に該当する人が多かったり、MCIに該当する人がいたりもしましたので、認知症の発症しやすさは、MCR該当者であることに起因するのではなく、高血圧、糖尿病、MCIに該当することに起因した可能性も考えられました。しかし、モデル2、モデル3での検討により、それらとは独立してMCR該当者であることが、認知症(特に血管性認知症)のリスク要因であることが確認されたということになります。

 

特に、本記事の関心からすれば、MCIとは独立して、MCRが認知症(特に血管性認知症)のリスク要因になっているとの結果が重要です。
「(MCRの条件の1つである)歩行速度はストップウォッチでも測ることができる」とバギース先生は言っております。
さらに、先生は「MCRは、MCIと同様に、認知症に移行するリスクが高い状態であり、かつ、MCIを補完するものとなっている」とも言われています。
これらを踏まえれば、簡便に測定できる歩行速度のデータも合わせることで、MCI―例えば「あたまの健康チェック」という検査―でカバーできるリスク判定に加えて、MCIのみではカバーできない認知症のリスク判定も可能になり、リスク判定の精度が増すと期待できます。

 

(文:星野 周也)

 

 

楽器演奏が認知症予防に!

 

こんにちは、認知症Cafést編集スタッフのmimiです。

 

もしもピアノが弾けたなら・・・

 

こんな往年のポップソングがありましたが、もうすぐ75歳を迎えるわたしの父は、定年を迎えると同時にピアノ教室に通い始め、それから約10年間、毎日勤勉に(まるで仕事のように!)ピアノの練習をしています。

今回は、楽器をされている方に嬉しい情報を見かけましたのでご紹介いたします。

 

やっと、楽器演奏の認知症予防効果が学術的に認められた

楽器演奏は音楽療法の一環として高齢者施設に普及していますが、これまではっきりと「認知症予防に効果がある」という学術研究は示されていませんでした。

ついに2018年、日本認知症予防学会でのエビデンス創出審査において、大阪大学名誉教授赤澤堅造氏の研究が、『認知正常者から認知障害への1次予防効果がある』と認められました。

※ちなみに赤澤氏はCymisというアクセシブルな電子楽器の開発と実践研究を行われており、今回の審査対象の研究でもCymisという楽器を使用しているようです。

 

楽器で脳活!の取り組み

この研究結果を持って、楽器演奏による認知症予防を広めよう、ということで、一般社団法人全国楽器協会が、「楽器で脳活!」という講演会&ミニコンサートを全国各地でおこなっています。

講演者は、脳医学の権威で16万人の脳画像を見てきた、東北大学加齢医学研究所教授・瀧靖之氏。子どもから高齢者までの膨大なMRI画像をもとに、生活習慣と発達加齢の関連性から予防に役立てる研究をされています。

 

楽器演奏が脳にいい、という理由

瀧教授によると、まず、認知症予防には「運動、コミュニケーション、趣味、好奇心」が良い。楽器は、演奏する行為だけに注目しても、脳のいろいろな領域を一度に使うのでよい。さらに、演奏者もそれを聞く人も“楽しい”、win-winならぬ“happy-happy”の関係になることが素晴らしいと述べています。

 

楽器演奏が趣味になる過程で、先に挙げた「運動、コミュニケーション、趣味、好奇心」すべてを満たすことになります。音楽に興味を持ち(=好奇心)、楽器を習いに行く、サークルに入る等、社会とのつながりができます(=コミュニケーション)。そして、(運動とは比較になりませんが)多少なりとも体も動かします(=運動)。楽しく続けるうちにそれが趣味になる、というわけです。

 

今の時代、幸いながら、音楽教室が楽器のレンタルをしたり、大人のためのコースを開催しており、楽器を習い始めるハードルがかなり低くなったと思います。いくつになっても始められますし、上達します。ご興味のあるかたは、ぜひこの機会にチャレンジされてみてはいかがでしょうか。

 

 

☆☆イベント情報☆☆ やさか町オレンジカフェ(1/17、静岡)

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのSです。

静岡での認知症関連のイベント情報

今回は静岡で開催される『やさか町オレンジカフェ』のご案内です。
このカフェは認知症の人や介護をするご家族の居場所となるとともに、医療・介護の専門職と、お茶を飲みながらお悩み事などのご相談に応じます。

 

 

やさか町オレンジカフェ

 

開催日
1月17日(金) 13時30分~15時30分
場所
セントケア八坂東 小規模多機能
静岡県静岡市清水区八坂東二丁目7-1
内容
『成年後見制度』と懇談
料金
無料(飲み物付き)
どなたでもお気軽にお立ち寄りください!

問い合わせ先

セントケア八坂東(TEL: 054-371-5960)

 

 

☆☆イベント情報☆☆ オレンジカフェふじみん(1/8、ふじみ野)

 

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのSです。
ここでは地域での認知症関連のイベント情報をご案内します。

 

今回は『オレンジカフェふじみん』(埼玉県ふじみ野市)のご案内です。

 

 

オレンジカフェふじみん

 

開催日
1月8日(水) 14時~16時
場所
福祉の街 グループホーム鶴ケ岡(埼玉県ふじみ野市鶴ケ岡3-19-84)
参加費
100円~200円
問い合わせ先
高齢者あんしん相談センターつるがまい(TEL:049-256-6061)
注:高齢者あんしん相談センターはふじみ野市での地域包括支援センターの名称です。

 

どなたでもお気軽にお立ち寄りください!

 

オレンジカフェふじみんは、認知症になっても住み慣れた地域で安心して過ごせるよう、認知症の方やその家族、地域住民などが集い、交流する場です。
コーヒーやお茶を楽しみながら、日々の悩みを相談したり、顔なじみの関係を築きながら、気軽に安心して過ごせる場所を一緒につくっています。

 

是非一度、足を運んでいただければ幸いです。
また、他の地域の方で、オレンジカフェ(認知症カフェ)にご関心を持たれた場合は、Googleなどでお調べいただき、近くで開催されているオレンジカフェに参加されてみてはいかがでしょうか?(終)