感染管理専門家の坂本史衣さんから学ぶ―院内感染を防ぐ闘い―

 

本日で6月が終わりますね。
断続的に強い雨が降る日でした。

『情熱大陸』の無料見逃し配信

以前の記事(リンクあり)で紹介した、
以下2つの『情熱大陸』(TBS系列のドキュメンタリー番組)の無料見逃し配信も本日(6月30日 23:59)までになっています。

 

4月12日の放送:ウィルス学者の河岡義裕さん

4月19日の放送:感染管理専門家の坂本史衣さん

注:リンク先は情熱大陸のサイトでのプロフィールが確認できるページです。

 

無料見逃し配信中の動画のサイトはこちらです。

mbs動画イズムのサイト

感染管理専門家としての坂本史衣さんの言葉に注目

今回は、『情熱大陸』の25分の動画内での、坂本史衣さんのポイントが凝縮された言葉を幾つかピックアップしたいと思います。

坂本さんの感染管理専門家としてのキャリア

まず、その前に、坂本さんの感染管理専門家としてのキャリアを確認してみましょう。

 

・看護大学を卒業後、聖路加国際病院で看護師を始めたが、臨床現場が肌に合わず退職。客観的に物事を見る性格が、患者に寄り添う現場に合わなかった

・アメリカに留学し、公衆衛生大学院で感染管理を学ぶ

・そこで知己を得た感染症医療の専門家の推薦で、一度辞めた聖路加国際病院に戻り、院内の感染対策に20年近く取り組む

・2003年、国際的な感染予防と管理の認定資格―感染管理および疫学認定機構Certification Board of Infection Control and Epidemiologyによる認定資格(CIC)―を取得し、以降5年毎に更新

 

yahooでの連載記事も参考に

今、坂本さんはyahooニュースにても連載をされていますので、そちらも参考にしたく思います。

 

・yahoo記事1:結局のところ、新型コロナウィルス感染症は空気感染するのか?(3月18日付)

・yahoo記事2:新型コロナもう飽きた、でも感染は心配…今何をすればいいの?(3月24日付)

・yahoo記事3:新型コロナ医療の現場から 命の選択を避けるために今できることを(4月12日付)

・yahoo記事4:新型コロナウィルス感染症の院内感染はなぜ起こるのか(4月27日付)

・yahoo記事5:新型コロナ予防【マスク・フェイスシールド・手袋】どう使う?(67日付)

・yahoo記事6:経済活動再開に向けた感染対策とは「接触が避けられない仕事の現場」でやれること【#コロナとどう暮らす】(6月20日付) 

・yahoo記事7:新型コロナ:職場内クラスターをどう防ぐ?【#コロナとどう暮らす】(625日付)

動画語録

さて、幾つかポイントと思う坂本さんの言葉をピックアップしていきます。

注:しかし、決してすべてを網羅できているわけではありませんので、関心を持たれましたら、yahoo記事を見てみてください。動画は2020年7月1日時点で、既に上記のサイトから削除されていました。

語録1
:それだけこのウィルスって気付かれないままにひっそりと病院の中に入りこむのが上手

yahoo記事4にて、坂本さんは、新型コロナウィルスをステルス戦闘機のようだと言われています。

 

どのような病原体であれ、院内感染を防ぐには、感染性のある患者さんや職員を早期にみつけて隔離する「先手必勝」のアプローチが重要です。ところが、新型コロナウイルスは早期発見が難しく、ステルス戦闘機のように医療施設に入り込むという特徴があります。

 

新型コロナウィルスは、感染した患者さんまたは医療従事者とともに医療施設に入ってきます。感染者なら発熱しているだろうから、サーモグラフィーカメラや体温測定で発見できそうだと思われるかもしれませんが、発症初期には発熱がみられないことがあります。咳が出ない人もいます。そもそも新型コロナウイルスに感染していても無症状の人が一定数います。

 

実際に、無症状の感染者から院内感染が広がったという日本での報告(後注1)や、医療従事者のうち3%が無症状で感染していたというイギリスからの報告(後注2)があります。
「ひっそりと病院の中に入りこむ」という坂本さんの言い方はとてもしっくりきます。

語録2
:紙の上に(ウィルスが)いることが問題じゃなくてそこに触って顔を触って入ってくる

新型コロナウィルス感染症の主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。(出典:yahoo記事6 
語録2は接触感染について言っています。
接触感染は、ウィルスが付着した環境に触れた手で目や鼻、口に触れ、粘膜の細胞から感染する経路です(出典:yahoo記事2

 

接触感染を防ぐために個人が行うべきは手指衛生です。
手指衛生のポイントは、適切なタイミングと方法で手指衛生を行う仕事中になるべく眼・鼻・口に触れない習慣を身につけるの2点です。(出典:yahoo記事7

 

また、坂本さんによれば、一日に1回程度、高頻度接触環境表面(high touch surfaces, HTS)を消毒することも推奨とのことです。

 

HTSとは人が手で頻繁に触れる環境やモノの表面を指します。代表的なHTSには、机、椅子、カウンター、ドアノブ、電気のスイッチ、キーボード、マウス、水道のハンドル、電話などがあります。消毒には、界面活性剤を含む家庭用洗剤、アルコール(濃度60%以上)、次亜塩素酸ナトリウム溶液(濃度0.02%~0.05)などを使用します。次亜塩素酸ナトリウム溶液は金属に繰り返し使用すると錆が生じることがあります。

出典:yahoo記事6

 

語録2は受付スタッフから、保健所の指示で来訪した、レッドゾーンの人(感染させる危険のある人)の受付対応について相談があった際の坂本さんの回答です。受付の人は「問診票をビニールに入れている」など言われていました。

 

感染させるおそれのある人が持っていた問診票を触ることがただちに問題なのではないと言ってくれることは心強いと思います。
問診票にウィルスが付着していたとして、問診票に触ることで手にウィルスがつき、さらに、その手で顔などに触れることで、ウィルスが体内に入り込んでくるという感染経路を理解できるならば、手指衛生の徹底、手を目・鼻・口に触れないようにするという対策が、頭の中でも導けることでしょう。

語録3
:怖い病気なんですよね

3月25日夜の東京都の小池百合子都知事の記者会見に同席した、国立国際医療研究センターの大曲貴夫医師が、新型コロナ感染で重症化していく場合、数時間で急激に症状が悪化するので怖いと言われていたことは衝撃でした。

 

本当に1日以内で、数時間で、それまで話せていたのにどんどん酸素が足りなくなって、酸素をあげてもダメになって、で、人工呼吸器もつけないとこれは助けられないという状況に数時間でなる。

それでも間に合わなくて、人工心肺をつけないと間に合わないっていうことが目の前で一気に起こるわけですよね。ものすごい怖いです。

出典:「本当に数時間で人工呼吸器をつけないと助けられなくなる」最前線のトップが語る新型コロナの怖さ(著者は伊吹早織氏)|BuzzFeedNews 2020326日付

 

 

坂本さんも動画の中で「怖い病気」(語録3)と言い、yahoo記事3にて、次のように語られています。

一般病棟に入院し、鼻カニューラで低流量の酸素投与を行っている患者さんのなかには、短時間のうちに高流量の酸素が必要となり、やがて集中治療室(ICU)で気管挿管されて、人工呼吸器管理となる方がいます。

 

そして、坂本さんは、短時間のうちに、集中治療室での治療が必要になる場合があることを見据えて、あらかじめICUのベッドを空けておく必要があると言われています。(出典:yahoo記事3

語録4
:常にその(院内感染の)リスクとは背中合わせで、うちでもいつ起きてもおかしくないです

坂本さんは、4月12日付のyahoo記事3で、マスクやガウンなどの防護具が相変わらず手に入りにくい状況と言われています。

 

プラスチックガウンも不足する見込みです。すでに入荷できていない病院もあります。顔を覆うシールドも同じような状況です。そのため、ガウンの代わりに大きなゴミ袋をかぶり、シールドの代わりにクリアファイルで顔を覆うなど、さまざまな代用品を使った試みが行われています。決して安全な状況とは言えず、院内感染のリスクと隣り合わせです。

 

一方、防護具の適切な使用の有効性についても、語られており、耳に留めるべき点と思います。(出典:yahoo記事4

 

新型コロナウィルス感染症は、必要な防護具を適切に使うことができた場合、そう簡単に院内感染を起こすような感染症ではありません。それはこの感染症の患者さんをこれまで100名以上受け入れてきた病院の感染管理担当者や感染症専門医が感じているところです。

 

 

中国での研究結果ですが、新型コロナウィルス感染症が流行していた武漢市の病院に、別の市の病院から派遣された医療従事者において、防護具の適切な使用により、誰一人として感染をせずに済んだという報告(後注3)もあります。
きちんとした備えが感染予防につながると示唆が得られます。

終わりに―東京は3月下旬に医療現場は逼迫していた―

3月下旬に、東京の医療現場は、病床が1床空くと直ちに病床が埋まり、さらに、待機者がたくさんいる状態であったとのことです。後注4)(後注5

 

「医療崩壊も近かったのか」と脳裏をよぎります。

 

この動画の撮影日は、3月30日、4月7日(動画内で確認できた日にちに限る)です。患者数の増加に病床や受け入れ態勢が間に合うか、合わないかというピークのなかでの取材対応ではなかったかと思われます。

 

聖路加国際病院は、国の感染症指定医療機関として2月から感染患者を受け入れており、重症者を治療する集中治療室の感染管理に取り組む姿も動画内では描かれていました。
また、坂本さんは「コロナ対応しているのを知られたくない」、「家族にも黙っている」という看護師の率直な思いを代弁して伝えてくれていました。

 

見る側、そして、それを伝える側として、感染のリスクと背中合わせの現場の尋常ではない緊迫感を真摯に受け止め、しっかりと伝えていかねばならないと思いました。

 

(文:星野 周也)

 

 

 

 

介護現場へ復帰!?

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのUです

介護現場へ復帰!?

引き続きリモートワークをしております。
不要不急の外出も控えております。
そして7月より少しずつ出社しようと考えていたところ・・・
まさかの現場復帰することに!?
出社を飛び越して介護現場(訪問入浴)へ行くことになりました。

 

20年近くブランク

日程度の応援ではありますが、20年近くブランクがあるので不安しかありません。
身体がついてくるのか?というより持つのか!?
何よりもお客様には迷惑はかけられないので細心の注意を心掛けたいと思います。

 

この際、現場の課題を解決するためのヒントを見つけ出すんだ!!
ぁ・・そんな余裕があればですが・・・

Nizi Project(リンクあり)

以前ご紹介したNizi Projectというオーディション番組ですが、6月26日ついにデビューメンバーが発表されました!!

グループ名は「NiziU」。1万人の中から選ばれた9
630日にプレデビューとして
4曲配信し、本格デビューは秋頃だそうです。

 

まさに自粛期間中の晩酌のお供として見守ってきた身としては感慨深いものです。

 

 

 

 

鳥の鳴き声は自然での聴力検査―8,000ヘルツの高音で鳴く鳥の声―

 

こんにちは。認知症Cafést編集スタッフのSです。

鳥の鳴き声の主は?

つい先日、小さい頃からよく耳にする鳥の鳴き声を聞きながら、急にこの鳥の鳴き声の主の名前を調べてみようと思い立ちました。
今までずっと名前を知りませんでした。

 

テューテュー(低音で) ポッポー(高音 or アクセントをつけて)

テューテュー(低音で) ポッポー(高音 or アクセントをつけて)

 

リズミカルに鳴いていて、朝、布団のなかで、「おっ、また鳴いているな」と時折気づきます。
そんなときは、耳からそのリズミカルな鳴き声が入ってくるのを押しとどめず、横になったまま、その音に身を委ねます。
自然と受け入れられる鳴き声なのでしょう。

検索をしてみた

音で検索できる時代なのでしょうが、今回は、「朝」、「鳥の鳴き声」、「リズミカル」、「テューテュー ポッポー」などのキーワードで検索したところ、声の主が分かりました。

 

その鳥の鳴き声の主はキジバトでした。

 

「yamabato saitama」というユーチューブチャネルでは、キジバトの鳴き声を採録して、公開しています。

https://www.youtube.com/watch?v=qYAOo43QQYo

注:上記のユーチューブのリンク先の画面をスクリーンショットした画像です。

 

このリンク先の動画では、40秒あたりから鳴き声を確認できます。ぜひ、聞いてみてください。
この鳴き声ならば、キジバトという名前を知らなくとも聞いたことがあると思われる方がきっといるのではないでしょうか。

8,000ヘルツという高音で鳴く鳥

音の高さの単位「ヘルツ(Hz)」

音の高さの単位がヘルツ(Hz)です。
音は空気の振動ですが、1ヘルツは1秒間に1回振動することを言い、10ヘルツは1秒間に10回振動することを言います。
数値が小さいと低い音、数値が大きいと高い音になります。

人の耳で聴くことができるのは20~20,000ヘルツ

人の耳で聴くことができるのは20~20,000ヘルツと言われています。
一般的な日常会話はだいたい250~4,000へルツくらいです。

聴力検査の結果では4,000~8,000ヘルツの高さの音から「聞こえ」の低下が始まる

耳鼻咽喉科で一般的に行われる聴力検査は、1258,000ヘルツの間の7つの異なる高さの音の「聞こえ」を確認します。

加齢に伴い、4,0008,000ヘルツあたりの高音域が聞き取りにくくなります。

ヤブサメ―8,000ヘルツという高音で鳴く鳥―

ヤブサメという鳥は、8,000ヘルツとかなりの高音で鳴きます。

 

8,000ヘルツは一般的な聴力検査で最も高い音です。
したがって、この鳥の鳴き声の「聞こえ」の状況の確認は、自然での聴力検査になりますね。

 

ヤブサメの鳴き声を採録したユーチューブ(注:チャンネル名は「isetama」)へのリンクはこちらです。
https://www.youtube.com/watch?v=SXIEyIN5R5M

 

ぜひ、聞いてみてください。

終わりに―百人一首の句から―

夏の到来を告げるほととぎすを詠んだ和歌

ほととぎす 鳴きつる方(かた)を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れる

 

百人一首の81番の歌で、作者は後徳大寺左大臣(ごとくだいじのさだいじん)。
ほととぎすが鳴いた方をながめると、そこにはただ有明の月が残っているだけであるという意味の歌です。

出典(アマゾンへのリンク):鈴木日出男, 山口慎一, 依田泰共著『原色小倉百人一首』(文英堂, 1997年)

 

平安時代の王朝の人々は、夏の到来を知らせるほととぎすの初音(はつね)を聞くことを願い、夜を明かして待つことも多かったそうです。初音はその鳥がその季節に初めて鳴く声です。

ほととぎすの鳴く瞬間をとらえようと寝ずに夜を過ごして待つとか、鳴き声を聞いて喜ぶとか風流なことだと思います。

 

ちなみに、ほととぎすの鳴き声を採録したユーチューブ(注:チャンネル名は「leic523」)も見つけました。こちらです。

https://www.youtube.com/watch?v=2F_KfMB5lOs

難聴は認知症のリスク要因

当サイト認知症Caféstでもたびたび言及してきたように、難聴(特に45~65歳の中年期の難聴)は認知症のリスク要因として知られております。
今回の鳥の鳴き声という視点での記事をきっかけに、難聴のことや自分の聴力―音を聞き取りにくくなったかどうか―を気にかけていただけましたら幸いです。

 

 

ソーセージとジャガイモの組み合わせで認知症リスク?!

 

こんにちは、認知症Cafést編集スタッフのmimiです。

某ニュースサイトを眺めていたら、衝撃的な見出しが飛び込んできました。

ポテトとソーセージの組み合わせは危険 認知症リスク増加

出典:gooニュース2020年6月7日付|日刊ゲンダイDIGITALからの転載記事(著者は医者の石原藤樹氏)

 

いやいや、これからの季節、ビールにソーセージにフライドポテト・・・最高の組み合わせですよね!
そんなウキウキに水を差すようなこの見出しは、読まずにいられません。

 

今年の神経学の専門誌に掲載された論文に、フランスで12年以上続けられている住民研究の結果が報告されています。それによると、ソーセージやベーコンなどの加工肉と、ジャガイモなどの芋類や、お菓子などを組み合わせる食生活を続けていると、その後、認知症になるリスクが増加していました。これはこうした食品の組み合わせが悪いという可能性とともに、こうした食品を多く食べていると、健康に良い野菜や雑穀、魚介などの食品を食べる機会が少なくなることも影響していると考えられます。

 

記事を読むと確かに、ジャンクといえばジャンクですね・・・

 

ちなみに記事内の神経学の専門誌は、アメリカ神経学会刊行の医学誌「Neurology」。フランスボルドー大学の研究員サミエリ氏による研究です。

マインド食、地中海食との関連は?

気になったので、認知症予防に効果があるといわれるマインド食や地中海食の観点から見て、加工肉・ジャガイモ・お菓子の組み合わせがどうなのか推察してみました。

マインド食では?

 

出典:認知症予防に効く!?マインド食|当サイト

 

かろうじてジャガイモは「△その他の野菜」として積極摂取に分類されるものの、加工肉、揚げ物、スイーツは軒並み控えたい食品に分類されています。

地中海食では?

~地中海食の定義~

□植物性食品(果物、野菜、パン、その他の穀物製品、豆類、種実類)が豊富

□加工度を最小限にとどめた、季節折々のその地域で育てられた新鮮な食品を使う

□典型的なデザートとして新鮮な果物を食べる

ただし、お祭りの日にはナッツ類、オリーブオイル、精製した砂糖または蜂蜜でできた菓子類を食べる

□油脂類の主たる摂取源としてオリーブオイルを用いる

少々か適量の乳製品(おもにチーズとヨーグルト)を食べる

□卵の使用は週に4個未満

□赤身肉の使用はまれであり、少量

□少々か適量のワインを普通は食事とともに飲む

出典:地中海食のおかげでスペインが世界最長寿国になる!?|当サイト

 

こちらを見ても、地中海食の定義に当てはまるものは一つもありません。

 

論文のリリース記事(注:参考にもリンクを貼ります)を見ても、認知症のない人は肉を食べる際は、果物や野菜、魚介類などのより多様な食品を組み合わせているとあるので、マインド食や地中海食ほど厳密ではなくとも、多様な食品を組み合わせるということが鍵のようです。

まとめ

ビールの美味しくなる季節、おつまみにはサラダやナッツも追加して、気持ちよく頂きましょう!

 

 

志村けんさんからの学び―ドリフの笑いは介護現場でも通用した―

 

こんにちは。認知症Cafést編集スタッフのSです。

志村けんさんの訃報と喪失感

コメディアンの志村けんさんが新型コロナウィルスによる肺炎で3月29日にお亡くなりになりました。

 

はお笑い番組が好きで、子どもの頃は志村さんの番組をよく見ていましたので、訃報を聞きまして、しばし喪失感に覆われました。
70歳になられていましたが、テレビのレギュラー番組を持ち、主演映画の予定もあり、第一線でのご活躍中でした。とても残念です。

加トちゃんのドリフでの台詞を忘れるな

志村さんが亡くなられた翌日、330日。
ツイッター上でのある投稿(←リンクあり)が、多くのユーザーによって拡散されました。6月18日現在で、4,215のリツイート、1万のいいねの数になっています。

以下に引用します。

 

加トちゃんのドリフでの台詞を忘れるな。

 

顔洗えよ

手洗えよ

うがいしたか?

歯みがいたか?

 

心に刻め今1番大事な言葉よ

 

お化け番組とも呼ばれた『8時だよ!全員集合』のエンディングの歌で、加藤茶さんが「顔洗えよ」「手洗えよ」と合いの手を入れるのが定番になっていました。

 

ババンバ バン バン バン(顔洗えよ)

ババンバ バン バン バン(手洗えよ)

 

というように。

ドリフが日本を救った?

このツイートに呼応するかのように、

3月30日に投稿されたこちらのブログ

8時だよ! 全員集合! ドリフターズが日本をコロナから救った。

でも、

加藤茶さんの合いの手に言及し、次のように述べられています。

 

小さな頃から

日本人は 

 

顔を洗い

手を洗い

風呂に入り

清潔にする習慣がついているから

今、コロナから

ギリギリ救われているのかもしれませんね。

 

このような見方―日本人は手洗いをするなど清潔にする習慣があるからコロナから救われている―の「学問的な」真偽について、ここで気軽にコメントすることは憚られますし、まだ定かになっていないことと思われますが、
志村さんの訃報に接し、
この時期、国民に呼びかけられた「手洗いをしてください」という要請のメッセージと、加藤茶さんの合いの手が重ね合わせられて、教訓の意味合いも持ち合わせて人々に受け取られたという社会的な状況が透けて見えてきます。

ドリフの笑いは介護現場でも通用した

さて、志村さんに関連して、私にとっての、とっておきの介護現場での思い出を紹介させていただこうと思います。なかなか披露する場がないのです(笑)。

注:このDVDは私が昔、購入しました。

「佐渡おけさ」と「東村山音頭」

志村さんといえば、「東村山音頭」が有名ですが、これの誕生のエピソードが私は好きです。

 

8時だヨ!全員集合』の新潟での公演で、新潟にちなんだ歌として「佐渡おけさ」を全員で歌った後、その後にゲストやドリフメンバーの故郷の歌をそれぞれ歌うという趣向の中で、志村けんさんが地元の「東村山音頭」をリメイクし、弾けたアレンジにした。(出典:志村けん|Wikipedia

 

介護現場でのカラオケで、民謡は人気ジャンルの1つです。一人が歌うと、その場にいる方々が釣られて歌われるという場面を目の当たりにして、民謡が高齢者の方々に馴染まれてきた音楽なのだと実感してきました。

 

ですから、『佐渡おけさ』を客席の人も含めて、会場のみんなで歌うというのはさぞかし盛り上がって、場が温まるであろうことは、容易に想像でき、その後に、舞台上のコメディアンがそれぞれ地元の歌を歌うという流れのなかで、その誰かが羽目を外すというのは、誰が考えても楽しいと感じる「定石」の展開と思うのです。
「お笑いの教科書」を読んでいるようだと感じられました。

夏の納涼祭で真似てみた

今から10年ほど前のことです。
当時勤務していた有料老人ホームで、レクリエーション委員をしていました。夏の納涼祭で「東村山音頭」みたいなことをやりたいと考え、老人ホームの所在地にちなんで、「溝の口音頭」というものをつくりました。

 

とは言っても、ゼロから作ったのではなく、実際には日本の伝統の阿波踊りとの合わせ技で、阿波踊りの音楽と掛け声をベースに、調子の良い掛け声を追加してみました。

 

ひさもと すえなが 溝の口

日本の真ん中 溝の口

やっとさー やっとやっと

 

というように。

 

やや大げさな言い方になりますが、阿波踊りの歌に示されている世界観、「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」にも心をつかまれました。
この踊りのときは日常から解放されてアホになったらいいと背中を押してくれているのだなあ、そう理解可能だと思いました。

やぐらのまわり/歓声と悲鳴

当日、駐車場に建てた仮設のやぐらのまわりを、老人ホームの入居者、スタッフで盆踊りをしました。「溝の口音頭」としてみんなで掛け声をしながら踊りました。スタッフには思い思いに仮装をしてもらっていました。
私も派手な女装をしていましたが、志村けんさんの「東村山音頭」にならい、踊りの最高潮で浴衣を脱ぎました。中は、水泳選手のような格好を仕込んでおり、その場は歓声や悲鳴の渦に包まれました。

後日談/おわりに

後日、入居者に面会に来られた家族から「あんなに腹を抱えて大笑いをしたことはない」と入居しているお母様が喜んでいたと事務スタッフに報告があったそうです。

その腹を抱えて大笑いしたというお客様は、約1か月後、特に前触れなく、体調が急変し、そのまま急逝されました。

 

「あれが人生最後の大笑いだったのかなあ」と思いますと、感慨深いです。

 

ドリフの笑いは介護現場でも通用しましたし、お客様に喜んでいただく武器になってくれました。
今回ご紹介した話は、勲章のような思い出になっています。(終)

 

 

 

 

コロナウィルスに負けない!~自宅での健康づくり~

 

本日は認知症Cafést Online編集スタッフのKが、Editor‘s Tweetをお届けします!

自宅での健康づくりの取り組み

最近のEditor‘s Tweetでは、コロナウイルスの影響もあり、自宅での過ごし方についてのコラムが多くなっています。まだまだコロナウイルスの感染予防に関して予断を許さない状況ですが、今だからこそできる、自宅での健康づくりの取り組みをご紹介いたします。

神奈川県のホームページから

神奈川県福祉子どもみらい局 福祉部高齢福祉課では、認知症未病改善のため、自宅で取り組める健康づくりや、健康を維持するためポイントに関する情報などをご紹介しています。
是非、ご確認ください。

 

<<神奈川県のホームページからのリンク先>>

今だからこそ!自宅で楽しく健康づくり~認知症未病改善に取り組もう~(高齢者の皆様へ)|2020年6月12日付

動画も視聴できる

このページからは、自宅で出来る、タオルを使ったストレッチ運動や、体に良い食材を使用した料理の動画を視聴することができます。

タオル体操やバランスのよい食事レシピの動画へのリンク

今だからこそ!自宅で楽しく健康づくり~認知症未病改善に取り組もう~ #1

今だからこそ!自宅で楽しく健康づくり~認知症未病改善に取り組もう~ #2

コグ二サイズプログラムの動画へのリンク

また、「運動による認知症未病改善を目指して」と題して、コグニサイズのプログラムに関する動画の視聴もできます。

 

運動による認知症未病改善を目指して~コグニサイズの紹介~ コグ二サイズとは

運動による認知症未病改善を目指して~コグ二サイズの紹介~ コグニサイズプログラム「ステップ編」

運動による認知症未病改善を目指して~コグ二サイズの紹介~ コグニサイズプログラム「ウォーキング編」

運動による認知症未病改善を目指して~コグニサイズの紹介~ コグニサイズプログラム「ラダー運動編」

 

 

コグ二サイズについては、以前のEditor’s Tweetでも紹介していますので、そちらの記事もあわせて読んでくださいね!

 

 

介護施設の集団感染に備える―介護クラスターは起こりうること―

 

NHKオンデマンドにて、6月2日放送分のクローズアップ現代+の「【介護クラスター】見えた!命を守るカギ 対策が進む現場で」を見ました。

注:クローズアップ現代+のホームページでの原題は「“介護クラスター”高齢者の命をどう守る」でした。

介護クラスターが起こることも見据えた備え

介護クラスターは介護施設での新型コロナウィルスの集団感染のことです。

この番組(以下、適宜「NHK番組」と略する)では介護クラスターが発生した特別養護老人ホームと老人保健施設がメインで取り上げられていました。
また、あるデイサービスの集団感染の発生による「負の連鎖」として、市内の9割の事業所(デイサービス・訪問介護など)が自主的に休業・縮小するに至ったという自治体の事例も紹介されていました。

 

この番組から学ぶべき点は、介護クラスターが起こることも見据えた備えと思いました。

介護クラスターは起こりうること

介護クラスター(集団感染)はできるだけ避けたい事態ではありますが、
医療法人社団悠翔会のブログ記事

新型コロナの主戦場は高齢者施設 新型コロナ死が多いほど、死亡者に占める高齢者施設入居者の割合が多くなる

に述べられているとおり、新型コロナウィルスの特徴を踏まえますと、いつどこで発生してもおかしくないことです。

 

新型コロナはインフルエンザよりも無症状の潜伏期間が長く(4日~13日)、感染が持ち込まれたことをリアルタイムに察知することが不可能です。無症状の職員や訪問者が外部からウイルスを持ち込み、一人の入居者または同僚に感染させれば、誰かが発症するまでの間に、どんどん感染が拡大します。一人の感染が明らかになった時には、すでに集団感染になっているのです。

 

ですから、目標は、このブログに示されているとおり、

感染持ち込み・拡大のリスクを最小化すること、集団感染をできるだけ小さい段階で発見すること、そして集団感染が起こってしまった時に適切に対処できるよう準備をしておくことになるでしょう。

感染者を介護施設内で介護していく状況も想定される

NHK番組で指摘されていたのは、入居型の介護施設を利用する要介護高齢者が感染しても、入院させられない状況です。理由としては、「病床が足りない」、「(病院では)要介護の人を十分にケアできない」の2点が挙げられていました。

 

そのため、高齢者は本来、重症化のおそれがあるので、軽症であっても入院が原則であるものの、入院には優先順位がつけられて、感染した施設入居の要介護高齢者で、軽症の場合は介護施設内で診療と介護という方針が導かれることになります。

番組内では集団感染が起こった介護施設内で、介護職員が防護服を着て食事介助や(車椅子からベッドへの)移乗介助などをしている場面が映されていました。

どういう備えが必要になるか?

感染者を介護施設内で介護していく状況も見据えるならば、番組内で指摘されていたように、以下のような備えが必要になってくるでしょう。

 

・個人用防護具(PPE)の準備(ガウン、サージカルマスク / N95マスク等の防護マスク、ゴーグル・フェイスシールド、手袋など)

・手指衛生用品の準備(アルコールを60-95%含んだ手指消毒薬、手洗い用のペーパータオル、石鹸)

・職員の人員不足に直面する可能性を踏まえた事業所の枠を超えた協力体制の計画(外部からの応援要員の確保の計画)

 

高齢者施設版、在宅版の感染予防対策のリスト

備えに関する補足になりますが、日本の老年看護学や在宅看護学の有志の先生方が、海外の多数のガイドラインを参照し、網羅的に対策のリストを作成されて、web上で公開されていますので、ご紹介します。

在宅ケア、高齢者住まい・施設における新型コロナウィルス対応情報

というnoteにおいてです。

 

このnote内から、幾つかのページのリンクも以下に貼っておきます。

 

高齢者施設版の対策リスト

在宅版の対策リスト

個人用防護具(PPE)の着脱方法についてのイラストのページ

事業所の枠を超えた協力体制

NHK番組内では、(職員内に感染が広がったり、濃厚接触者として自宅待機の必要から出勤できなかったりのため)人員不足に陥った介護施設で、同一系列の介護施設から応援要員を集めた事例と、行政が仲介役となり応援要員を集めた事例が紹介されていました。

 

後者の行政が仲介役となった事例は、富山県と富山市が作り上げた仕組みです。
感染が広がった介護施設に別の施設に勤める介護士らをつなげるにとどまらず、行政主導で応援スタッフ用の防護服を調達したり宿泊するホテルを確保したりするほか無料のPCR検査の実施や万が一感染した際の保険も準備(参考:介護崩壊防ぐ独自“富山モデル”|NHK NEWS WEB 2020年6月3日付するなどバックアップの態勢を整えている点がポイントです。

コメント① スタッフの命を守る

フェイスブックにて、このNHK番組の放送の前に、介護関係が多い友人の皆様及び自分自身への注意喚起として、この番組のページをシェアした際、「“介護クラスター”高齢者の命をどう守る?」という原題に対して、「どんな構成で編集されるのか気になりますね。スタッフの命をどう守る?の視点、欠いていないことを願います」とコメントを書いてくださった方がいました。

 

スタッフ(職員)の安全を犠牲にして、高齢者の命を守るということではバランスを欠いていると多数の方が共感してくれることでしょう。
番組内では「患者を介護しながらどう感染拡大を防ぐのか?」という問題提起がなされていましたが、「どう自分自身への感染を防ぎつつ」という実際に介護する職員の立場からの視点も明確にされるべき点と思います。

スタッフが安心して仕事ができる環境を整える

NHK番組内では、スタッフ(職員)の命も守り、高齢者の命を守るという言葉での明確なメッセージはなかったと思いますが、以下に例示するように、スタッフ(職員)が安心して仕事ができる環境を整えることで、介護崩壊を防ぎ、高齢者の命を守るという視点・観点は伝わってきました。

 

・感染している(陽性の)要介護高齢者を介護する職員は防護服を厳格に着ながら介護をすることで、介護行為そのものは密着的―近い距離で声掛けをしながら食事を要介護者の口に運ぶ、要介護者の体を支えながら車椅子からベッドに移動する等―であるものの、介護する職員自身にウィルスが取り込まれて、感染することがないようにしている

・医療と連携して、介護施設内を感染のリスクの高い場所とそうでない場所に区分け(ゾーニング)し、防護服を着脱すべき場所を定め、介護職員に説明する

・人員不足に陥った場合は応援要員を外部から集め、少ない職員で介護施設全体を介護するという、一部の介護職員に極端に負担がかかる状態を回避する

 

コメント② 限界をわきまえながらも検査を推し進める

さらに、番組内では、「クラスターが発生した施設では、入所者や職員のPCR検査を進めていくべき」と提案がなされておりました。

 

感染していてもある一定の割合で陽性と判定されないことがあるなど検査の限界も知られております。しかし、感染拡大を防ぐという観点から、介護施設内で陽性の高齢者と陰性の高齢者の居住空間を区分けする、症状は出ていないが、感染をしていて人に移してしまうかもしれない介護職員に自宅待機してもらうなどの取り組みを進める場合には、検査結果に対して正しく理解するという前提の下で、検査を推し進めていくことは賛成です。

コメント③ 家族を守る、家族の思いに応える

さきほど、スタッフ(の命)を守るという点について述べましたが、このNHK番組で、解決策が示されていないと思ったのは、家族を守る、家族の思いに応えるという点です。

地方に住む一人暮らし94歳男性と、東京に住む娘の事例

この番組で紹介されていたのは、
地方に住む一人暮らし94歳男性と、東京に住む娘の事例です。

 

 

・介護事業所の休業連鎖が起こった地域に一人で住む94歳男性に対してサービスの縮小が行われた。週5日1回1時間の訪問から、週2日1回30分の訪問へと変更になった。

・心配した娘が東京から駆け付けた。

・感染が広がっていた東京から娘が来たということで、訪問サービスを提供していた介護事業所は、この家に行くリスクを感じて、サービスを完全にストップした。

 

胸が締めつけられるお話でした。「ものすごく拒絶されたような感じです」という娘さんの言葉が大変重く感じられました。
地方に一人で暮らす、介護や支援が必要な90歳代の父親に対する介護サービスが縮小になって、父親の生活を支援するのに東京から地方へ出向くことは不要不急の外出なのでしょうか。

 

この番組では、この家族の思いに応えるという点では解答を与えていなかったと思います。

注:休業連鎖に至った原因の一つである、感染者が発生した事業所名を公表しないという情報共有の問題や、公表できないことの裏側にある人々の差別・偏見の問題についての言及はありました。

同居で介護をしている家族が不在になった場合の、高齢者や障がい者の受け入れ施設

ですので、先日発表がありましたが、「家族が新型コロナウィルス感染症で入院し、介護者が不在となり、在宅で高齢者や障がい者の方が取り残された場合」に備えた、受け入れ施設(「短期入居協力施設」)を設置する神奈川県の取り組みは1つ参考になるのではないかと思います。神戸市も同様の取り組みをすると発表がありました。

 

介護者がコロナ入院で不在となった在宅の高齢者・障がい者を受け入れる専用入所施設の設置、及び福祉施設の感染発生時の応援職員派遣事業の開始について|神奈川県 2020年5月26日付

介護者が新型コロナウィルスに感染した高齢者・障害者のための一時受け入れ施設を設置しました|神戸市 2020年5月20日付

さまざまな家族の思い

もちろん、この取り組みは同居の家族を前提にしたものであり、その家族における「自分が感染してこの家を離れたら誰が要介護の高齢者・障がい者を支えるのか」という思いに応えるものであったとして、いまだ、NHK番組で取り上げられた、遠方に住む娘における、介護サービスが縮小になり、介護職員の訪問回数が減ってしまった父親を誰が支えるのかという思いに応えるものではありません。

 

高齢者の命を守るために、スタッフの安全を犠牲にしてよいということが当然ないように、家族の生活を犠牲にしてよいということもないはずです。高齢者を支えるスタッフや家族を守るということも検討課題に加えて、高齢者の命を守るあり方の議論が進展することを望みます。

 

(文:星野 周也)

 

<認知症Cafést内関連記事>

感染管理専門家の坂本史衣さんから学ぶ―院内感染を防ぐ闘い―

<参考>

1. 【第29報】区内特別養護老人ホームにおける新型コロナウイルスに関連した患者の発生について(2020425日)|江東区

2. コロナで入所者5人死亡の老人保健施設 理事長が初動対応の不備認め謝罪 富山(著者は高良駿輔氏)|毎日新聞2020年4月29日付

3. 介護施設、感染防止に苦心 高齢者に運動機能低下も 三次でクラスター発生1カ月|中国新聞デジタル2020610日付

4. クラスター発生施設に中傷相次ぐ 暴言・出社禁止、家族まで標的|中国新聞デジタル2020年4月15日付

5. 私見「クローズアップ現代+」新型コロナで介護クラスター崩壊!バタバタ倒れるスタッフ、家族も面会できず|J-CASTテレビウォッチ2020年6月4日付

6. 新型コロナ 「病院化」苦闘の施設 居住域分離/ゴミ袋防護服、汗だく 千葉・障害者ら118人感染(著者は黒田阿紗子、上東麻子氏)|毎日新聞2020年4月19日付

7. 新型コロナの介護・高齢者施設への影響と現場での取り組み|一般社団法人 人とまちづくり研究所2020年6月2日付

8. 〔まとめ〕新型コロナウィルス感染症とは(改訂版)>検査|東京大学 保健・健康推進本部 保健センター2020年5月7日付

 

 

オンライン面会ではどこまで「その人」を感じられるか

 

こんにちは。認知症Cafést Online編集スタッフのマツです。

 

コロナ禍のため、介護の現場でも様々な対応がとられています。お客様とご家族の面会も控えられている中、LineやZoomを活用したオンライン面会を実施している施設もあります。
政府からも地方自治体に対して、文末のような周知がなされています。

一人暮らしとテレワーク生活

私のテレワーク生活が始まって早2か月半。一人暮らしのため、週1度のヘルパーさんの訪問以外は、実際に他人と接触する機会は皆無です。
業務の遂行自体に差しさわりはなく、むしろ効率が上がっているくらいですが、やはり実際の人との接触がないため、じわりじわりとストレスが溜まっています。そこで、10日に1度くらいの頻度でオンライン飲み会に参加しています。

その人をその人たらしめている要素

私は全盲のため、実際(オフライン)のコミュニケーションでも相手の姿が見えることより、会話に重点を置いています。そのため、オンライン飲み会で誰かと会話することで、それなりにストレスが緩和されていると感じています。
しかし、人が持っているパーソナリティーというか、
その人をその人たらしめている要素
というものは、当然会話の中にだけあるものではありません。

 

  • 足音
  • 動作によって出る音(衣擦れ、椅子の引き方など)
  • いつも使っている洗剤や香水の香り、それと交わる体臭
  • 握手したときの手触り
  • 肩を借りたときの肩の形や肩こりの度合

 

……挙げていけばきりがありませんが、このような様々な要素が組み合わされて、その人はその人ととして、他の人から認識されているのだと思います。

オンライン面会で認知症の本人は相手を認識できるか

ここで話は冒頭のオンライン面会に戻るのですが、オンラインでは前述の要素のうち、互いの表情と会話を認識することが可能ですが、その他の要素を認識することはできません。一方、認知症とともに暮らしている方々は、おそらくもっといろいろな要素で面会の相手を認識しているのではないかという仮説に基づけば、オンライン面会だけでは相手を認識しづらいのではないかと思うのです。

勿論このコロナ禍の中で、オンライン面会という取り組みが今できうる最大の取り組みだということは理解しつつ、あくまで一過性の取り組みであってほしい、常用されることがないよう、1日でも早く日常が戻ってくることを願うばかりです。