美術館の新たな取り組み「ロボ鑑賞会」ーコロナ禍におけるアートの動向ー

 

 

こんにちは、編集スタッフのmimiです。

コロナ禍におけるアートの動向

もともとアート鑑賞や音楽鑑賞に出かけることが好きで時折足を運んでおりましたが、子どもが生まれてから、子連れで行ける空間は限られていること、幼い子連れで遠方に出かけることのハードルの高さに、この先数年は無理だとあきらめていました。

 

しかしこのコロナ禍により多くの人が自由に移動ができないという状況になり、オンラインでコンサートやライブを視聴できる機会が爆発的に増え、各地の美術館も、Youtubeで作品の解説動画をUPするなど、大変な社会情勢における明るい側面だと感じています。

 

本日は、その中でも「ロボ鑑賞会」という新たな取り組みを始めた美術展をご紹介します。

東京藝術大学大学美術館「あるがままのアート人知れず表現し続ける者たち

既存の美術教育を受けずに作品を創作し続けるアーティストたちの作品を紹介する展覧会が、東京藝術大学大学美術館ではじまる。

 

「アール・ブリュット」「アウトサイダー・アート」などと呼ばれるこれらの作品は、20世紀初頭に新しいアートとして「発見」され、当時の美術界に大きな衝撃を与えるとともに、現在でも、自由な表現のあり方として広く社会に受け入れられている。

 

作品の作り手は知的障害や精神障害のある人が多く、創作の場が自宅や福祉施設という事もあり、その作品はなかなか世に出てこないが、圧倒的な迫力に満ちた作品も多い。

 

展覧会では総勢25名、約200点の作品を展示し、世界的に注目を集める「あるがままのアート」の世界を紹介。NHKの「no art, no life」「人知れず表現し続ける者たち」の映像も併せて紹介し、アーティストたちの創作の様子や日々の生活も伝えていく。

出典:25名によるあるがままのアートの世界―遠隔ロボットによる鑑賞会も|Internet Meseum

アートとは―伝えたい強い想い―

アートとは、自分の中から湧き上がる感情や想いを表現し相手に伝えるための、手段の一つです。

 

技巧という意味合いを持つ通り、一定の技術があったほうが相手に伝わりやすい…。
ただあくまでも技術がメインではなく、どうしても伝えたい強い想いがそこにあることが大前提。教育の有無にかかわらず、自分の内側から出てこざるを得ない強い思いがあるからこそ、見る人の胸を打つのだろうと思います。

 

注:画像の出所はiStockから

ロボ鑑賞会とは

こちらの展覧会「あるがままのアート‐人知れず表現し続ける者たち‐」は、オンラインでも鑑賞できます。従来のYoutubeでの動画配信とは異なり、現地に遠隔操作ロボが5台配備されており、全世界どこからでも、見たい作品を見たいだけ見たい角度から鑑賞することができる画期的な取り組みです!

 

予約しようとしたら、軒並み7月は満席!やっと8月分の予約が始まったので即予約しました。

もちろん現地に行って鑑賞するようにはいかないとは思います。しかしWeb静止画像で眺めるのとは全く違うだろうという期待があり、遠隔でロボを操作するのも初めてで、それも楽しみにしています。

夏休み期間に、皆様もぜひご自宅から体験を

これから夏休み期間になります。9月まで開催されていますので、皆様もご自宅からぜひ体験されてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

介護施設でのコロナ感染による死亡率の国際比較ーイギリス、ドイツ、日本の比較―

 

 

Googleは検索キーワードを入れなくても、Web検索の履歴などのデータをもとに、ユーザーの興味に合わせたWebコンテンツを自動的に表示してくれる機能(“Google Discover”)があり、私の場合、海外の介護施設の情報(“care home”、“nursing home”、“lomg term care facility”等が見出しに入っている記事)が表示される。カフェストの記事執筆のため海外の動向の情報収集をすることもあるためであろう。
海外の介護施設の動向に関して、最近、目に留まったニュースについてご紹介したい。

イギリスの新聞紙上で話題にーイギリスの介護施設でのコロナ感染による死亡率の高さー

先日、イギリスの介護施設のコロナ感染による死者数の割合がドイツより13倍高いというセンセーショナルなタイトルの記事が表示され、目を通した。
こちらである。

Britain has Europe’s worst Covid-19 care home death toll and its fatality rate is 13 TIMES higher than Germany’s, analysis reveals|daily Mail online 2020.06.29

 

ウィキペディアによれば、この記事を掲載しているディリーメイル(daily Mail)はイギリスの大衆紙(タブロイド紙)。

 

イギリスの高級紙のガーディアン(The Guardian)でも、次の見出しの記事が書かれている。

Covid-19: risk of death in UK care homes 13 times higher than in GermanyThe Guardian 2020.06.28

 

いずれも(介護施設でのコロナ感染による死亡率が)イギリスではドイツより13倍高いという点を強調した見出しになっている。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスがまとめたデータ

何の調査データに基づく話題かと言えば、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスが、各国で発表されている公的な統計情報に基づき、6月中旬時点でまとめあげた、ヨーロッパを中心とする各国の介護施設の居住者のコロナ感染による死亡率のデータである。

 

 

出典:Comas-Herrera A, Zalakaín J, Litwin C, Hsu AT, Lemmon E, Henderson D and Fernández J-L (2020) Mortality associated with COVID-19 outbreaks in care homes: early international evidence. Article in LTCcovid.org, International Long-Term Care Policy Network, CPEC-LSE, 26 June 2020

注:上記出典記事内の表(table2)より一部転記。各国の介護施設居住者数は10の位を四捨五入した。ただし、アイルランドの介護施設居住者は当該の表(table2)の数字ではなく、コロナで死亡した人の割合(3.2%)を計算する際に使用している(出典記事内の)本文中の数字を採用した。

イギリスとドイツの比較

介護施設居住者数

・イギリスは41万1千人に対し、ドイツは81万8千人とドイツにおいて約2倍。

注:上記のデータ集計で介護施設は、急性期の状態にある人ではなく、長期的な介護のニーズがある人たちが居住する住宅・施設と定義されており、当然、介護施設居住者数は、この定義に合致する住宅・施設に居住する人たちの合計の数字を指している。

 

(このうち)コロナ感染で死亡した人の割合

・イギリスは5.3%(41万のうち5%と概算して、20,500人)

・ドイツは0.4%(82万のうち0.4%と概算して、3,280人)

・イギリスの介護施設におけるコロナ感染で死亡した人の割合は、ドイツの13倍(5.3 / 0.4 = 13.25)

 

(ちなみに)人口100万あたりのコロナでの死亡者数

・イギリスは635名で、ドイツは107名。6倍ほどの差がある。

 

上記結果の原因と考察されていること

ガーディアンの記事より原因として考察されている点を、以下5つに整理した(注:カフェスト編集者側での整理)

 

・ドイツでは患者を病院から退院させて介護施設に入居させる場合に、検査をして、14日間の検疫を課した。

・ドイツは追跡システムの導入により、介護施設のどの入居者及びスタッフが誰と接触していたかについての把握が進んでいた。

・4月に行われたロンドンの介護施設での調査によれば、複数の施設を転々と働いた、臨時に雇い入れた職員が、感染源となっていた。

・イギリスでは介護施設のスタッフと居住者(利用者)を検査する体制が整っていない。

 

上記4点は細かい点についての指摘であるが、残り1点の指摘は包括的な指摘である。

 

・イギリスは、介護施設内にとどまらず、そもそも社会全体で感染拡大を抑えることができていなかった。

 

病院から介護施設への退院者についての上記1点目の指摘に関連し、デイリーメールの記事では、コロナ感染拡大のピーク時の3月17日から4月15日までの間に、25,000人が病院から介護施設へ、検査を受けることなく退院(転居)していたという数字が示されている。

 

コメント―データを取ることについて―

研究の限界

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのレポートでは、コロナ感染による介護施設居住者の死亡数について、多くの国で、オフィシャルな数字としては示されていないと言う。

 

また、入手した数字についても、検査数、死亡の記録法、介護施設(”care home”)の定義は、国によってそれぞれ異なるので、国と国の間の比較は難しいと限界が述べられている。

データが示されるからこそ見えること

そういう限界があるなかでも、オフィシャルな数字として各国が提示しているものをかき集めて、示してくれることで、イギリスの新聞紙面上にて自国のあり方を見直す考察が引き起こされるのではないかと思う。
そして、次の研究や分析につながる問い、課題がもたらされるのだと考える。

日本の場合

では、我が日本の場合はどうかと言えば、安部晋三首相が、5月12日の衆院本会議で、介護施設で新型コロナウィルスに感染して亡くなった高齢者の人数や死者全体に占める割合について、「現在、明確に述べることは困難」との認識を示している。

 

これでは、国際統計からそもそも外されてしまうと言えないだろうか。

日本の介護施設居住者総数のうち、コロナ感染で亡くなった人は、0.01%に満たない!?

国が数字を示さないなかで、共同通信が自治体に調査した結果として、5月8日時点で日本の介護施設で亡くなった入所者を79名と伝えている。

 

79名という数字だけでは何%かという割合の計算は成り立たず、介護施設居住者数の全体の数字が必要になる。
1つの参考の数字になるが、社保審ー介護給付費分科会第143回(H29.7.19)の資料によれば、定員ベース(平成28年時点)で、介護施設のうち、特養(約58万)、有料老人ホーム(約46万)の2つで100万を超えている。

 

ある記事で、施設にいる高齢者のうち何%がコロナで亡くなったかという数値に換算すると、ドイツが0.4%、スウェーデンが2.8%、イギリスが5.3%、スペインが6.1%であるのに対し、日本は0.01%にも満たないと書かれていた。

 

ここに示されている数字の内、ドイツ、スウェーデン、イギリス、スペインの数字は、本記事の冒頭で紹介し、表としてもお示しした、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの調査結果から得た数字であることが分かるだろう。

 

日本については、計算式の分子にあたる介護施設での死者数として使用されている数字は、前後の文章を読めば、共同通信が調査して得た79名である。分母(介護施設居住者の総数)については特に示されていないが、仮に100万とすれば、計算結果は0.008%であり、確かに0.01%に満たないという結果になる。

介護施設でのコロナ感染による死亡率の抑制は世界的に見て日本が誇るべきことではないか?

「0.01%にも満たない」と計算したその記事では、日本の成功の大きなカギの1つは高齢者施設での感染拡大を抑制できたことだと考えると述べられている。

注:成功とは、その記事では、日本を含む東アジアにおいて、欧米に比べてコロナ死亡者数が格段に少ないことを指している。

 

国が公式の統計として示さなくても、計算して示してくれている人たちがいる。もしかしたら、誤りがあったり、精度が高くなかったりということはあるかもしれない。
しかし、こういう計算がなければ、介護施設でのコロナ感染による死亡率の抑制は世界的に見て日本が誇るべきことではないかという主張(仮説)を打ち出すこともできないと言える。

 

国の公式な統計としても示されることを期待したい。

 

(文:星野 周也)

 

 

 

日本で初めて認知症の人と接する―インドネシアから来日した看護師の介護施設での経験談から―

 

インドネシアから来日した看護師の介護施設での経験談を読みました。
まとまった内容の、日本語でのエッセイとなっており、興味深いものでした。

 

断片的なエピソードというかたちで、介護施設で働く外国人労働者の声を見聞きしたことはありましたが、書き言葉でご自身の経験を振り返って、整理して書かれたものにはそう触れることができていなかったと思い、貴重と思いました。

 

ご紹介したいと思います。
こちらです。

第6回 看護・介護エピソードコンテスト 優秀賞 『諦めなくて良かった』 JONI PALSONさん|一般財団法人オレンジクロスのサイトから 2020.05.28

イスラム教の文化を尊重する

インドネシアは国民の約9割がイスラム教徒と言います。
このエッセイでも、イスラム教徒として日本人で経験したことが述べられています。

 

仕事を始めて2年経った頃、私は大きなショックを受けました。日本のテレビのニュースで朝から晩までISIS(イーシス)に関してのニュースが取り上げられました。ISISを日本語に訳すとイスラム過激派組織です。そのことが介護現場で働くイスラム教徒の私達にも大きな影響がありました。親しかった同僚や周りの人達の態度が変わり、「本当のイスラム教は違う、そうじゃない」と伝えたくても言葉の壁があり、直接偏見を感じていなかったのですが家で泣いていた日々でした。母に話してみたら「あなたの行いを見てイスラム教の教えが周りの人に伝わるから、今まで通り元気に笑顔で慈悲の心を持って働けばよい」と言われ、私は母のアドバイス通り一日5回のお祈りや断食をきちんと行いました。すると、これまでイスラム教に興味を持っていなかった周りの人達に「断食ってなんですか、なんでお祈りしなくちゃいけないの」と尋ねられるようになり、イスラム教についての理解を少しずつ得られるようになりました。

 

一日5回のお祈りなど、イスラム教徒としての宗教上の習慣について尊重していくというのは、受け入れ側の当然の倫理と考えてよいだろうと思います。(参考:EPA-経済連携協定-にもとづくインドネシアからの介護福祉士候補者受け入れの実践例は参考5参考6の記事もご参照ください)

 

そして、宗教に関連する国際政治上の難しい問題があったのだとしても、現場における個人のレベルでの仕事上の協働や人と人としての交流が持つ可能性はポジティブに考えたいと思います。

日本で認知症の人と初めて接する

また、日本の介護現場で経験したストレスの1つに、認知症の人との関わり方が挙げられています。初めて認知症の人と接したようなのです。

 

レビー小体型認知症、アルツハイマー型認知症等を抱える入居者様と初めて接して戸惑う毎日は、ストレスに追い打ちをかけました。ある日、80歳ぐらいの女性の入居者様の話し相手になりました。「お兄さんはどこから来たの」、「名前は何というの」外国人の私に興味を示したようで普通の会話も弾んできたところ、返答が終わるや否や何度も同じ質問を繰り返され、戸惑ってしまいました。どうして良いか分からずその場所からすぐに逃げたいと思いましたが、親から「ほかの人に話している時は、つらい事があっても笑顔で」と教えてくれた事を思い出し、同じ質問にも「そうですね」と笑顔で答えることが出来ました。

 

日本で認知症の人と初めて接するというのは、以前の当サイトの記事「認知症の方がいない?!技能実習生とミャンマーの高齢化」にて、ミャンマーからの技能実習生においても同様であると伝えました。

 

インドネシアやミャンマーで認知症の人との関わりが希少というならば、この経験こそ日本で積んでいただきたいと思います。
認知症の人に同じことを繰り返し聞かれて戸惑うというのは確かにそうだと思うのですが、インドネシア人であれ、日本人であれ、信仰している宗教の違いを超えて、初学者、初心者としての普遍的な経験なのではないかと思います。

介護の仕事をしている者同士の共感

普遍的な経験と言えば、
このエッセイで述べられている

毎日の中で入居者様の小さな変化を感じられるのは家族でもなく、医療関係者でもなく、私達介職員である
という感覚や

 

日々、入居者様との何気ない会話の中で「ありがとう」という言葉に喜びや仕事のやり甲斐が感じられます
という感覚、
すなわち、介護職の役割や仕事の喜びについての重要な気づきもまた、文化の違いを超えて、同じ介護の仕事をして、同じ価値に触れられるようになった者同士で共感できることなのではないかと思います。

終わりに

弊社でも、在留資格「特定技能」によるベトナム人の介護人材を受け入れる動きを昨年より進めています。外国人介護人材と共に働く職場環境をつくろうとしています。

注:現状、新型コロナウィルス感染症の影響で、受け入れが止まっている状況です。

どんな付加価値を提供できているのか?(受け入れ側として)

自国で認知症の人と関わる機会が希少であるならば、日本に来て経験を積むという選択肢には付加価値が生まれ、彼ら・彼女らが介護や看護の専門職としてキャリアを考えていく上で、力を伸ばす機会と映るかもしれません。

 

逆に、受け入れ側としては、知識、技術、経験等の観点で、彼ら・彼女らにどんな付加価値を提供できているかを考えていかねばならないと思います。外国人人材の側に立てば、日本は選ばれる(他の国と比較される)側にあるのだという視点を忘れてはいけません。

長く一緒に働き、共に年を重ねるーある社会福祉法人の理事長の言葉からー

お付き合いのある社会福祉法人で、技能実習生ではないですが、外国人スタッフを多数(17カ国約50名)受け入れているところがあります。1970年代から受け入れの歴史があります。

 

そこの理事長が、いずれ日本に定住した外国人が入りやすい、多言語対応の老人ホームを作りたいと目標を語られています。そこには、外国人スタッフと長く一緒に働き、共に年を重ねてきたということが背景にあるのではないかと考えます。
そういう長期的な関係形成を頭の片隅に入れて、受け入れを進めていきたいですね。

 

(文:星野 周也)

 

<認知症Cafést内関連記事>(本文中で明示したもの以外)

技能実習生が運んでくれた新しい風

外国人労働者受け入れと認知症

ラグビーワールドカップ日本チームに見た、認知症が日本社会にもたらす可能性

<参考>

1. インドネシア人看護師・介護福祉士候補者の受け入れについて|厚生労働省

2. 日・インドネシア経済連携(平成31年2月22日更新)|外務省

3. ~イスラム教について知っておきたいこと~@インドネシア|RGF HR Agent 2019年10月16日付

4. インドネシアとイスラム教|lifenesia

5. EPA事業紹介|社会福祉法人徳心会

6. きづきの輪vol.8 ムティウラ・デウィ, バイクシティ・イズニラフ・ラフマン|SAWARABI GROUP

7. ゼロからわかる「イスラーム国」が世界的な一大現象になるまで(著者は末近浩太氏)|現代ビジネス 2016.10.20

8. 『ゲンロン0 観光客の哲学』/東浩紀|note(名義は「読書の記録」) 2018.08.20付

9. ベトナム大学との特定技能人材の教育、受け入れに関する合意について 上場している介護企業グループとしては日本初! セントケア・ホールディング株式会社|PR TIMES 2019年8月2日付

10. 入国制限緩和で期待のベトナムからのインバウンド最新情報—旅行先人気No.1は日本も、最も気になるのはコロナ対策|朝日新聞デジタル&M 2020.07.10

11. 日本とベトナム 相互に入国制限緩和で合意 感染拡大以降で初|NHK NEWSWEB 2020.06.19 

12. 【コロナ:世界の動きまとめ】日本政府、入国制限緩和第2弾は台湾、中国、韓国など10か国。台湾はビジネス緩和対象リストから日本、外す可能性|やまとごころ.jp 2020.07.10付 

13. 技能実習生にコロナ影響 「もういらない」来日かなわず(著者は栄光祐、染田屋竜太、野上英文の3氏)|朝日新聞DIGITAL(有料会員限定) 2020.05.28付

14. 日本の外国人労働者数は165万人:2019年10月時点、中国人とベトナム人でほぼ半数|nippon.com 2020.03.23付

15. 技能実習生はゼロ 17カ国約50人の外国人スタッフを雇用する社会福祉法人が重んじていること(著者は秋山訓子氏)|AERAdot. 2020.2.28付

16. 外国人看護師の受け入れと日本 インドネシア人看護師の帰国とキャリア発展を中心に(著者は平野裕子氏)|医学書院 2019.09.23付

17. 世界最低レベルの外国人受け入れ寛容度、ニッポンの末路(著者は河合薫氏)|日経ビジネス 2019.10.08付

<参考書籍>(amazonへのリンクあり)

東 浩紀『ゲンロン0 観光客の哲学』、株式会社ゲンロン、2017

 

 

 

 

 

 

いつでも手洗いが可能!~水道いらずの、手洗いスタンド「WOSH」~

 

 

こんにちは。
本日は認知症Cafést Online編集スタッフのKが、Editor’s Tweetをお届けします!

「ガイアの夜明け」で紹介されていた、手洗いスタンド「WOSH」

7月14日のテレビ東京系列「ガイアの夜明け」で紹介されていた、WOTA株式会社(東京・豊島区)の「WOSH」にとても興味を持ちました。

 

最近は、コロナウイルスの影響もあり、手指消毒の必要性、有効性が再認識されており、しっかりと手洗いを行うことが感染症予防のためには大切です。

「WOSH」の機能

この「WOSH」は水道に接続する必要がなく、電源とタンクに20リットルの水さえ入れれば、いつでもどこでも綺麗な水で手洗いできます。
濾過(ろか)装置がついていて、使用した水を繰り返し浄化し、再使用します。20リットルで約500回の手洗いが可能です。

 

もともと、WOTA株式会社は、AI(人工知能)を用いた濾過装置で何度も水をきれいにし、水道がないところでもシャワーを浴びることのできる「WOTA BOX」(ポータブル水再生処理プラント)を開発していました。この開発で得た技術を用いて、水道いらずの手洗いスタンド「WOSH」が開発されました。

 

また、手を洗い始めると、天面が光り、正しい手洗いの目安でもある30秒間をカウントしてくれます。さらに他の機能としては、手洗いの前に、横にあるスペースにスマートフォンを入れることで、20秒間の深紫外線照射を行う機能がついており、スマホ表面についた菌の99.9%以上が除菌可能で、手洗い後の手を綺麗な状態に保ちやすくなります。

利用場面

「WOSH」の紹介ページで、挙げられている利用場面を以下に転記しました。

 

オフィス エントランスに配置し、従業員の方、来客の方の安心・安全を守ります。
レストラン 飲食を行う場所であるからこそ衛生面を入り口で徹底。お客様に食事の時間を楽しんで頂き、従業員の方の安全も守ります。
小売店 多くの方が商品を触る前に、入り口に設置することで、安心してショッピングをお楽しみ頂けます。
美容室 対面での接触がやむを得ない、美容室・ネイルサロンでは、入店の際にお客様に手洗いをしていただくことで、安全な空間を提供できます。

 

最後に一言

 

見た目もスタイリッシュですし、Withコロナの中、今後様々な場所で活躍が期待できそうですね。
こんな商品を活用しながら、いつでもどこでも、手洗いをしていきましょう。

 

 

 

移動の快楽と不要不急なことの大切さ

 

 

カフェスト編集スタッフによるコラムであるこのコーナー(Editor’s Tweet)もコロナに関する内容ばかりになってしまっているが、最近見聞きした話題で興味深かったものを2つ紹介したい。

① 人の脳は「移動」を快楽と捉えていた

まず、1つ目は、筆者の知人がSNSでシェアしていたものだ。
要約すると

 

  • 人間の脳は移動によって快楽を感じるようになっている
  • 多様性や新規性の高い移動であるほど、より強く幸福を感じる

 

ということだ。

 

筆者の実体験だが、以前、職場でストレスフルな状態だったとき、帰宅時の経路をいろいろに変えることで気持ちのバランスを取っていたことがあった。「もう1本先の道を通った方が近いかな?」とか「こっちの道を通るとコンビニに寄れるんだな」などと考えて通ることが楽しくて、通常なら20分ほどの道を1時間近くかけたこともあった。なので、この研究結果には素直に納得できる。
自粛期間中の鬱屈した気分の一部は、上記のような移動に対する制限がもたらしているのかもしれない。

徘徊が起こったときに単に連れ帰ればよいのか?

上記の研究結果を介護や認知症に関連付けて考えるとどうだろうか。
なぜ徘徊をするのかという研究もされてはいるが、認知症とともに暮らしている人(認知症の本人)たちはきっと徘徊を楽しみ、徘徊によって幸福を感じているのではないかという予測は成り立つのではないか。

 

この推論に立てば、徘徊が起こったときに単に連れ帰るのではなく、安全に対する対策を講じたうえで本人の自由で徘徊することができれば、本人にとっての幸福度も増すと同時に認知症予防にも寄与するのではないか、という昨今の流れにもつながってくると思う。

② コロナがもたらす時間感覚の変容

2つ目は、精神科医の斎藤環さんへのコロナ禍におけるインタビュー記事だ。

 

7/13のNHKラジオに出演した精神科医の斎藤環さんは、自粛生活で同じような日々が続くと時間の感覚が薄れ、過去の記憶や記憶の前後関係があいまいになると話していた。
そして、だからこそ不要不急なことが大切なんだと結んでいた。

 

このことも介護に関連付けてみると、施設の中で家族との面会やイベントも無く、毎日が単調な日々の積み重ねになってしまうと、認知症の悪化は容易に起こりうるのではないかという推論が成り立つ。
勿論感染リスクの軽減という観点で、さまざまな自粛や対策は必要だ。ただその一方、認知症予防という観点で、施設のお客様にも不要不急なこと(=非日常なこと)はある程度必要なのではないか。

まとめ

今回紹介した記事では、コロナ禍での過度な自粛がもたらす弊害が浮き彫りになった格好だ。我々の生活はもちろん、施設で暮らされているお客様にとって何が最良の方法なのか、我々は常に考えていくことが重要なのではないだろうか。

(文:マツ)

 

 

 

UDトークを使ってみた!―音声文字化アプリでドナルド・キーンの文章を書き起こす―

 

こんにちは。認知症Cafést編集スタッフのSです。

UDトークというアプリを使ってみた!

以前のカフェストの記事「スマホアプリでQOL低下の防止」で、
マツが紹介してくれているUDトークというアプリを最近、使ってみました。

 

UDトークは、会話の内容を文字化してくれたり、入力した内容を読み上げてくれたりします。
マツの記事「スマホアプリでQOL低下の防止」では、UDトークの利用場面として、聴力が弱い方とコミュニケーションを取る場面が挙げられています。健常者がアプリに向かって話せば、聴力が弱い方のアプリには書き起こされた文字が届くということですね。

stayhome期間中、部屋の片づけが進んだ

今回のstayhome期間中、自分の部屋の片づけが進みました。
会社に出ていると、家のことを後回しにしてしまう悪い癖がありましたので、リモートワーク(在宅勤務)では、隙間時間を見つけて、家のことができるメリットを感じました。

 

片づけをしなくてはと思って、ずっと心に引っかかっていましたので、大分スッキリしました。

もともと、断捨離が得意ではない

もともと、断捨離が得意ではなく、部屋が片づいていないことの大きな要因でありました。

 

「思い切って捨てればきっと楽になるだろう」と思いながらも、思い切れずに保留状態のまま部屋に積み重なっていくものたち。

 

その代表選手が本や雑誌です。

本との別れの手続き

本棚の整理をしながら、久方ぶりに、再会を果たし、随分と手に取っていなかったことだし、整理対象にしようと決めても、いざ捨てるとなると名残惜しく思います。

 

そこで編み出したのが、出会った証や学んだ証を残すべく、読書メーターというサイトに感想を投稿したり、大事と思った箇所をワード文書に書き写したりしてから、捨てるという方法でした。
それが言わば別れの手続きでした。

UDトーク使用の動機―話したことがそのまま文字になるのなら、どんなにか楽なことだろう―

上記の手続きのうち、大事と思った箇所を書き写すのが骨の折れる作業です。
本の該当のページを押さえながら、該当の箇所を見て覚えて、パソコン上の文書に書いて、本とパソコンの画面を見比べて、書き写し間違いがないかを確認してというのは大変です。

 

そこで、話したことがそのまま文字になるのなら、どんなにか楽なことだろうと思いまして、UDトークを使ってみることにしました。

東京人

今回思い切って、断捨離してみようと思ったのが、こちらの雑誌になります。

『東京人』2013年9月号です。

 

そして、中をパラパラめくりながらざっと内容を見て、そのまま捨ててしまうのはもったいないと思われ、言葉を書き写しておこうと思った記事のタイトルがこちらです。

 

記憶に刻まれたいくつかの風景。(下の写真もご参照ください。)

作者はドナルド・キーンさん。

ドナルド・キーンさん

ドナルド・キーンさんは1922年米国生まれの日本文学研究者、翻訳者で、昨年(2019年)、東京都内の病院で死去されました。
2012年には日本国籍を取得されています。

 

1940年にニューヨークの書店で見つけた『源氏物語』の訳書が日本文学の出会いだったと言います。そして、研究者、翻訳者として古代から現代に至る日本文学を広く世界に紹介してきました。

 

『東京人』2013年9月号の記事は、そんなドナルド・キーンさんが90歳を超えたときに、ご自身の記憶に刻まれた「東京の玄関口」について書かれたエッセイ(以下、ドナルド・キーン『東京人』エッセイと略する)なのですから、プレミアムと感じずにはいられません。

音声文字化の正確さについて

どのくらいの正確さで音声を文字にしてくれるのでしょうか。

 

ドナルド・キーン『東京人』エッセイでは、
2012年に日本の国籍を取り、入国の手続きが簡単になったと述べた後に、記憶に刻まれた出入国の風景が書かれています。

 

 しかし、私の脳裏には往時の羽田空港の情景が刻まれています。昔は人が飛行機に乗る時は見送りに行くのが普通でした。自決二カ月前の三島由紀夫さんもいつもどおり羽田まで来て、無言の別れを告げていかれました。

 今となっては信じられませんが、当時は見送りの人も、旅立つ人と一緒に飛行機の中まで入れたのです。両手に一杯お土産をたずさえて。

 

では、この文章を読み上げたとき、UDトーク上では、どう文字化されているでしょうか?

 

「往時」が「王子」になり、「自決二カ月前」が「議決に1か月前」になり、
「無言の別れを告げて」が「無言の訳を続けて」になっておりますが、その他は、ほぼ正確に文字化されています。(私が正しく発声して読めていたのかという問題も当然あります)

 

また、話すと、ほぼそのタイミングでスマホ上で文字が表示される(音声の文字への変換は瞬時に行ってくれる)ので、「文字化を待つ」という工程がなく、快適です。

会話ログを送れば、「書き起こす」ことができる

文字化されたデータは、UDトーク上では、会話ログと呼ばれていて、画面操作で、これをメールに送ることができます。(注:下の写真を参照。メニュー画面の一番上に「会話ログをメールで送信する」という項目があります。)

 

 

パソコン上でそのメールを開けば、csvファイル及びテキストファイル―windowsであればメモ帳というアプリで開く―上に、文字化されたデータ(注:csvは時間の情報も含んでいる)が載っていることが分かります。
そうであれば、あとはパソコン上で編集ができますから、「書き起こした」ことと同じになるわけです。

終わりに

ドナルド・キーンさんの味のある文章を「書き起こす」ことができた

おかげさまで、無事、ドナルド・キーンさんの味のある文章を「書き起こす」ことができました。

一部、シェアさせていただきます。

 

 私にとって東京最初の玄関口は、昭和二十年の厚木基地でした。

 終戦直後、中国にいた私は十二月に初めて日本を訪れます。飛行機がいよいよ日本に近づいた時、最初に驚いたのは緑の多さでした。それまで数カ月を過ごした中国では、まったく木のない土地が多かったからです。

 さらに驚いたのは、基地から都心に近づくほど、家や建物が少なくなったことです。私は焼け野原となった銀座を覚えていますが、破壊された東京都心を記憶する人々が今、どれほど残っているでしょうか。

 

私たちの職場は銀座の近くにありますので、焼け野原となった銀座をご自身の目で見て、覚えておられると言われると、ドナルド・キーンさんの記憶の中の昔の話であるのに、今の自分の目の前のことや、短期記憶の中の、つい先日ランチを食べに行った職場近辺の風景とつながってくるような感覚になり、えも言われぬ余韻が心に残りました。

音声を文字化するという選択肢

パソコンにがんがん打ち込むことに慣れてしまっていますので、現状、「音声を文字化する」方法で、時間が削減されたとは思わなかったですが、手が疲れるということからは解放され、負担軽減の効果はありました。打ち込むことが長時間続き、億劫になってくることはしばしば経験してきたことです。

 

ですので、音声を文字化するという選択肢が得られたことは大きいことです。

音声で介護現場の業務の記録を行う

介護現場の業務の記録を音声で行う、音声入力システムの(介護現場への)導入支援の業務にも関わらせていただいております。
私自身が介護現場で働いていたとき、紙への手書き入力も、タブレットやモバイル端末への手打ち入力も経験してきましたが、音声で記録を行った経験はありません。
記録の方法に幾つか選択肢があることは介護現場にとっても有用と思いますので、働く人たちに使い勝手等を聞きながら、進めていきたいです。