画像解析で認知症がわかる時代になる?

 

こんにちは。“カフェストの月末の男”こと、編集スタッフのマツです。

「10年ひと昔」どころか、5年もすれば状況が一変

先日のSの記事にもありましたが、ICTの発展は目覚ましく、「10年ひと昔」どころか、5年もすれば状況が一変してしまうような時代です。
アプリからの宅配、QRコード決済、ビデオ会議……数年前には想像の世界だったことが、どんどん現実になっています。
そんな中、本当に画期的な研究結果が発表されたので、ご紹介します。

スマホで認知症がわかる時代へ

国立研究開発法人日本医療研究開発機構の発表によると、AI技術を用いて、顔写真から認知機能の衰えた人とそうでない人を分類することに成功したとのことです。

 

現状、認知症の判定を行うための検査は非常に高額であったり、外科的な処置を伴いますが、この方法は顔の画像を解析するだけと非常に手軽に行えます。
正答率も92%程度と比較的に高く、認知症の早期発見に大きく寄与するとの期待が持てます。

 

見た目年齢と暦年齢

あと、この発表の中で驚きだと思うのは、先行する研究で、見た目年齢が暦年齢よりも認知機能と強い相関を示していたという点です。

 

こういう先行する研究報告があるから、人工知能(AI)を使って、顔の情報から認知機能低下を見つけ出すことができるかどうかという研究につながるわけですね。

 

そして、今回の研究でも、暦年齢よりも顔写真からAIで算出したスコアの方が、認知機能の低下と関連していたということです。

 

「実際の年齢以上に若く見える」とか「(実際の年齢より)老けて見える」とか、そういう主観の感覚が侮れないというインパクトのある結果と思います。

 

ともあれ、近い将来、診断はスマホでパチリという日が来るのかもしれません。

 

 

 

 

平成の30年を経てスマホに声で入力をする時代へ

 

こんにちは、認知症Cafést編集スタッフのSです。

Googleに「今日の天気は」と話しかけると、天気を教えてくれる

今はGoogleに「今日の天気は」と話しかけると、現在地の天気を教えてくれます。
私たちの話した言葉を認識する音声認識技術が発達したことで、声で検索キーワードを入力して、検索結果を表示させることができます。

介護記録を声で入力する取り組み

そういう技術を活用して、介護記録を声で入力する取り組みが、
私たちの現場でも始まっています。
「お部屋で横になられています」、「フロアで穏やかに過ごされています」などスマホに話しかけ、それをスマホが認識して文字に変換させて記録にするという流れです。

介護現場のスタッフ向けの研修にて

声での記録の方法に関する、介護現場のスタッフ向けの研修を最近、担当させていただいております。

Zoomでのオンライン研修

コロナ禍で介護現場に出向くことはできませんが、Zoomで研修を行うことができます。つい先日は東京から近畿や中部の介護事業所とZoomでつないで、スタッフ向けに研修を行いました。
便利ですね。Zoomでオンライン研修を行うとは一年前には考えられなかったですね。

「音声入力をしたことありますか?」

さて、研修では、はじめに、(iPhone搭載の「Siri」や、Androidスマホの「Googleアシスタント」を用いて)「音声入力をしたことありますか?」と聞きます。ほとんどのスタッフががないという回答です。
もっとも、実は私もスマホに話しかけて入力するというのは、この業務に携わるまでやってみたことはなかったです。

 

スマホとガラケー

中には「スマホを触ったことがない、ガラケーを使っています」というスタッフもいます。
「いやいや、スマホの登場はつい最近のことですから気になさらずに」と思います。
平成の30年間を生き抜いたアラフォーですが、人生の半分くらいは携帯電話がなかった時代でしたねとも思います。

スマホは2011年の流行語大賞のトップテンの1つ

スマホ(スマートフォン)が普及した年と言われるのが2011年です。
この年の夏に、携帯電話全体の月間販売台数に占めるスマートフォンの割合が5割を越えて、年末には約8割に達しました。従来型の携帯電話(ガラケー)を選ぶ人が少数派になりました。

 

スマホは2011年の流行語大賞(「現代用語の基礎知識」選 ユーキャン新語・流行語大賞)のトップテンの1つになっています。

2010年代はスマホからインターネットに接続する時代へ

そして、2010年代はスマホなどモバイル端末からのインターネット利用時間が、パソコンからのインターネット利用時間を上回った時代となりました。

出典:令和元年版情報通信白書 第1部 第1章 第1節 デジタル経済史としての平成時代を振り返る|総務省
(そのうち、特に、第1節 1(2)インターネットの登場・普及とコミュニケーションの変化の箇所)

インターネットは1995年の流行語大賞のトップテンの1つ

ちなみに、インターネットという言葉は1995年(平成7年)の流行語大賞のトップテンの1つです。

 

この年、MicrosoftがWindows95を発売し、インターネットが一般に普及する大きな契機になりました。

1990年代後半のインターネットの特徴

当時(1990年代後半)のインターネットの特徴は以下の通りです。(出典:同上

 

・通信環境は電話回線によるダイヤルアップ接続が主流

・通信速度が十分でないことや、従量課金型であったことから、画像等のデータ容量の大きなコンテンツを扱うことは敬遠され、文字情報でのやりとりが一般的

・ダイヤルアップ接続では電話回線の中で、通話で使用するものと同じ帯域を使用

インターネット接続中の通話は行えず、また通話中のインターネット接続も行えない

 

終わりに

文字から動画へ

平成の30年間を生き抜いた者としては、1995年はそんなに遠いことではなくも思われますが、25~26年が経過したのですね。

 

確かに当時は文字情報でのやりとりが一般的でしたが、今は動画へのアクセスがしやすくなりました(費用面でもそうですね)し、動画のデータのやりとりをラインというコミュニケーションアプリで行うこともあります。

PDA、タブレット、スマホ/手での文字入力から音声入力へ

私が介護現場で働いたときの経験では、2000年代半ばにPDA(Personal Data Assistant)と呼ばれた端末で、記録をした思い出があります。通話機能はなかったと思います。
有料老人ホームに勤務していましたが、PDAで別のフロアの記録を確認できたり、事務所のパソコンで内容を確認できたりしました。

 

2010年代半ばにはタブレットで、記録をした思い出があります。タブレットから手で文字入力をしました。
特別養護老人ホームに勤務していましたが、タブレットからネットに自由に接続でき、昭和の歌謡曲などのコンテンツを目の前のお客様と楽しむことができました。
ちょっとした遊びのツールにもなっていましたね。

 

ツールは進化していきますね。
音声入力で記録ができるとは驚きですね。
今、介護現場で働いている人たちが、最新のツールを手にして、どんな工夫をしていくか楽しみです。

 

 

近い将来、東京は“介護バブル”になる?withコロナでどうなる?

 

作曲家の筒美京平さんが昨年10月、亡くなりました。
作曲したシングル曲の国内での総売り上げ枚数は7560万枚を超えていて、国内最多記録です。

筒美京平さんの作曲リスト

とは言え、筒美さんのお名前がきちんと頭に入っていたわけではないのですが、

 

「ブルー・ライト・ヨコハマ」(歌手はいしだあゆみ)
「木綿のハンカチーフ」(歌手は太田裕美)
「ギンギラギンにさりげなく」(歌手は近藤真彦)
「仮面舞踏会」(歌手は少年隊)

 

など作曲されたリストを見ると、よく知っている曲ばかりです。
音楽もすぐに思い浮かびますね。

サザエさん

「お魚くわえたどら猫 追っかけて」で始まるサザエさんのオープニング曲も筒美さんが作曲されたということで、驚きました。これほどまでに筒美さんの作曲した音楽が自分たちの暮らしの中に及んでいたのかと。

「木綿のハンカチーフ」とその時代

そして、曲には作られた時代の社会状況が反映されています。
『地域介護経営 介護ビジョン』2020.MAY No.203(令和2年4月発行)で、『介護の未来はどうなる?』という特集が組まれています。

 

 

「木綿のハンカチーフ」(1975年)の曲を素材に、その時代をふりかえり、考察している文章があったので、ご紹介したいと思います。

 

あの歌は都市集中型社会のムードを象徴していると思います。地方で付き合っていた恋人同士の歌なのですが、男性は“東”へと行ってしまう。これは暗に“東京で就職した”ことを示しています。やがて男性は都会の生活が楽しくなり、地元に戻ってこなくなる。それで故郷に残った女性が『涙を拭くハンカチーフをください』という歌。当時、みんながこの歌に共感した。なぜなら、この歌が流行ったころ、日本は『すべてが東京に向かって流れる』時代だったからです

 

 

この文章は京都大学の広井良典教授に取材した記事(題:未来の社会は「ケア」が原動力になる)の中で書かれています。

 

なるほど、昔、学校で習ったとおり、高度成長期(1950~1970年代ごろ)に、地方の農村出身の若者の多く(いわゆる団塊の世代)が、東京へ移動しました。

 

この曲の作詞を担当した松本隆さんは、とある記事の中で、ディレクターから「松本くんの歌はずっと東京で生まれ育った人の内容だから、地方の人にはうけない」と言われ、そのディレクターが九州の人で炭鉱町で生まれ育った人だったことから、ディレクターをモデルに詞を書いたと言っています。

近い将来、東京は“介護バブル”になる?

地方の若者の多くが東京へ移動したことの帰結として、

 

『高度成長期に東京へ流入してきた大量の若者が、一斉に歳をとりはじめる』現象が始まる

 

10年後には、東京のメイン産業が介護になるかもしれません

 

と広井教授は言われています。
広井教授の説明を受けて、その記事では近い将来、団塊世代の存在を背景に、東京で一時的に“介護バブル”のような現象が起きる可能性はあるとまで書かれています。

AIによる未来シナリオ予測ー“都市分散型”と“地方分散型”ー

もともとは、10年後というスパンではなく、2050年に、日本は持続可能かという問いを立てて、広井教授が関わる研究チーム(日立京大ラボ)がAIに投げかけてシミュレーションした結果に基づく記事で、より先を見据えた議論が本題ではあります。

 

AI を用いたシミュレーションにより2018年から2052年までの 35 年間で約 2 万通りの未来シナリオ予測を行ったそうです。
そして、それに基づく解析により、

 

・2050年に向けて日本社会が持続するためには“都市集中型”と“地方分散型”という2つのシナリオのグループに分かれる

・この2つの選択肢のうち、持続可能性が高いのは“地方分散型”である

 

という結果が得られたということです。

withコロナでどうなる?

さて、今、“都市集中型”と“地方分散型”というキーワードを手にしました。
高度成長期に、若者の多くが東京へ移動したという人口の流れについても確認しました。

 

 

短期的には、東京で高齢化が進み、介護事業も東京や都市部に集中する流れは避けられないのかもしれません。

 

しかし、今、足元では、東京都からの人口流出が続いていると言われています。2020年の7月以降、5か月間、東京からの転出者が転入者を超過しています。それはもちろん、新型コロナウィルス感染拡大やテレワークの普及が原因と考えられます。

 

AI を用いたシミュレーションは2017年に行われました。そこではさすがに、このコロナの状況を含めて検討することはできていないのではないでしょうか。

 

ある記事では、コロナ禍が東京一極集中に変化をもたらしつつあると書かれています。
コロナ禍は確かに人々の意識や行動を変えていると思います。
“地方分散型”という言い方がまだぼんやりとしていると感じられることもあるため、“地方分散型”に向かっているとは言いにくいです。しかし、“都市集中型”や“東京一極集中”という難攻不落にも見えた価値が、人々の間で色あせて見え始めていると感じています。

 

(文:星野 周也)

 

☆☆セミナー参加情報☆☆ とりのこさないセミナー(1/16、オンライン)

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのSです。

 

今週の土曜(16日)、以下のオンラインでのセミナーに参加します。
ご案内します。

 

(画像はiStockから)

<<JANNET研究会>> とりのこさないセミナー2020
共生社会のアフターコロナ ー障害課題 とりのこさないを今こそー

 

開催日
令和3年(2021年)1月16日(土) 14時~15時30分
場所
オンライン開催(Zoom)
主催
JANNET(障害分野NGO連絡会)

JANNETは障害分野の国際協力・交流を行う民間組織のネットワークです。1993年の設立から今日まで、さまざまな活動を通じて「誰ひとり取り残さないインクルーシブ社会の実現」を目指してきました。

セミナーの趣旨
セミナーの詳細はこちらのページ(←リンクあり)

誰ひとり取り残さない社会の実現を目指して、スポーツ、ビジネス、テクノロジーの視点から将来のアフターコロナにむけた共生社会のありかたを考えます。

参加費
無料
申込方法
お申し込みはこちらのページ(←リンクあり)から
定員と申込期限
定員は100人(先着順)。申込期限は1月15日(金) 15時まで。
問い合わせ先
JANNET事務局 仁尾(にお)・村上 / TEL: 03-5273-0601  FAX: 03-5273-1523

(以上)

 

 

 

イングランドで元プロサッカー選手の認知症が問題視されている

 

本日は認知症Cafést Online編集スタッフのKが、Editor‘s Tweetをお届けします!

元プロサッカー選手についての気になる記事

元プロサッカー選手は一般の人と比べて神経変性疾患を原因とする死亡率が約3.5倍高いことが示されたという気になったニュースがあったので今回は取り上げたいと思います。

 

「10年後にヘディングが禁止されていても驚かない」サッカー元イングランド代表がその危険性を指摘(著者はBarnaby Lane氏, 翻訳は仲田文子氏, 編集は山口佳美氏)|BUSINESS INSIDER 2021.1.10

詳細を確認

詳細(←リンクあり。リンク先の情報は後述)を確認してみました。

 

2019年10月にイギリスのグラスゴー大学が発表した研究によれば、元プロサッカー選手は一般の人と比べて、アルツハイマー病で死亡するリスクが4倍、そして、パーキンソン病で死亡するリスクが2倍高くなっていたということです。

 

どうやらこの研究は、スポーツによる頭部外傷(慢性外傷性脳症)と認知症の関係について述べた過去のカフェストの記事で取り上げていたものと同じもののようです。

 

スコットランドの昔のサッカー選手において、死亡診断書においてアルツハイマー病と死因が特定されている割合、及び、認知症関連の薬が処方されていた割合(注:薬の処方については治療上の記録に基づくものではないとのただし書きはあります)が有意に高かった。

出典:認知症のリスク要因2020年版―3つの要因が追加されて計12個に―|当サイト 2020/10/16

 

サッカーでは、ボールを頭でヘディングしますし、空中での接触プレイが起こることがありますからね。

 

プロサッカーチームの元監督(アレックス・ファーガソン氏)が元選手の認知症を問題視

イングランドのプロサッカーチームである、マンチェスター・ユナイテッドの元監督であったアレックス・ファーガソン氏が、元選手の認知症を問題視したという記事も出ていました。

(参考:サッカー=ファーガソン氏、元選手の認知症を問題視|REUTERS 2021/01/06

 

この記事によれば、1966年ワールドカップ(W杯)優勝をともにしたチームメートの多くが死亡前に認知症と診断されたことや、このチームのレジェンド選手であるボビー・チャールトン氏が最近、認知症であることを公表したことを受けて、ファーガソン氏は認知症の問題に取り組むべきと主張されたようです。

 

今後、サッカー界のルールや文化が変わっていくのか、注視していきたいと思います。