“ハーバード流”記憶力を高める生活術ーその名もDANCERSー

 

こんにちは、認知症Cafést編集スタッフのSです。

DESSティニー

リコード法は“DESSティニー”。
何とも魅力的な言い回しと思います。

 

以前の記事(「リコード法はDESSティニー!?―英語の頭文字の意味は?―」)で紹介しましたが、“DESSティニー”のDESSは、アルツハイマー病予防に効果のある方法の組み合わせです。
リコード法の開発者ブレデセン氏の著書(←翻訳本へのリンク)にて主張されています。

DESSは何の頭文字か?

それで、DESSは以下の通りでした。

 

D―diet(食事)
E―exercise(運動)
S―sleep(睡眠)
S―stress reduction(ストレスの軽減)

 

つまり、各方法の英単語での頭文字をつないだものです。
それを“DESSティニー”と呼んでもいるのは、語呂合わせのように、運命という意味の“destiny”を重ね合わせているわけです。
うまく出来ていると思うのですが(笑)、日本人の私からすれば、
英語だから一層興味深く思えるのかもしれません。

続いて“DANCERS”

さて、このように、また、英語の頭文字をつないだ表現に目が止まりました。
それは“DANCERS”。
意味は(dancerの複数形とすれば)踊り子たち!踊り手たち!

 

何ぞやということがですが、ハーバードメディカルスクールのあるブログ記事 “Minding your memory”の中で出てきます。
この記事は、年をとれば、誰しもが経験するもの忘れの経験について書かれています。

 

そして、記憶力を活性化させ、認知症予防にもつながる生活術のセット“DANCERS”として提示しています。

 

“DANCERS”は何の頭文字か?

“DANCERS”が何の頭文字かと言うと…。

 

D-Disease manegement(病気の管理)
A-Activity(運動)
N-Nutrition(栄養)
C-Cognitive Stimulation(認知機能への刺激)
E-Engagement(人とのつながり)
R-Relaxatition(リラックスすること)
S-Sleep(睡眠)

 

こう並べると、内容については取り立てて新しいことはないかもしれませんし、“DESSティニー”食事、運動、睡眠、ストレスの軽減)とも重なっています。

 

この手の記事を読むと、いつもそう思うのですが、ローマは一日にしてならず…(言い過ぎですが笑)。
良いと言われることを地道に積み上げていくという王道しかないと思います。

“DANCERS”についての補足

最後、“DANCERS”について、ハーバードメディカルスクールのそのブログ記事から、補足もしてみます。

D-Disease manegement(病気の管理)

健康的な体重を維持し、たばこは吸わず、血圧、コレステロール、血糖値を適正に保つ。

 

疾病の管理とはありますが、健康的な生活をして予防に努めましょうという内容に聞こえます。

A―Activity(運動)

歩くことや水泳のような有酸素運動は脳の健康に良い。

 

ダンスも脳の健康に良いですね(笑)。“DANCERS”!だけに。

N-Nutrition(栄養)

DASH食、MIND食、地中海食からは、まるごとの果物・野菜、全粒穀物、赤身の肉、脂肪の多い魚、健康的な脂肪が脳に良いと考えられる。

 

マインド食(MIND食)、地中海食は、カフェストではお馴染みですね。英語では果物にも、野菜にも、穀物にも“whole”が付いています。“まるごとの” 果物、野菜、穀物とは、(皮をむかずに)皮ごと食べようとか、(精米ではなく)玄米にしようとかいう意味合いですね。

C-Cognitive Stimulation(認知機能への刺激)

脳を使えば、記憶も維持されやすい。

 

E-Engagement(人とのつながり)

孤独は認知機能の低下をもたらすと多くの研究が示している。

 

R-Relaxation(リラックスすること)

脳は十分な“downtime”を必要としている。リラックスできることをしよう。

 

“downtime”の訳が難しいですけど、雰囲気的には脳もオフを必要としているという意味合いと思います。
リラックスできることの例として、このブログ記事では、運動、ヨガ、瞑想、読書、入浴が挙げられています。

S-Sleep(睡眠)

眠ることで、あなたの脳の中の毒素が一掃される。

 

 

 

健康は一日にしてならず…

健康は一日にしてならず、ですね。
内容はお馴染みのことが多かったかもしれませんが、改めて、日々の生活において意識していこうと思います。

 

 

 

 

 

「介護食」開発秘話に学ぶ観察の力ー小田原市の特養「潤生園」の取り組みー

 

本日は、「介護福祉経営士」の情報誌
Sun 2019 秋 No.26より(発行日:2019年10月25日)より、
興味を持った話題をご紹介します。

(私は介護福祉経営士の資格保有者で、定期的にこの情報誌が届けられます)

 

注:カフェスト編集者が2021年4月11日に撮影

 

井口健一郎氏による連載記事
タイムトラベル―ケアの過去・現在・未来を探る旅
第3回食事の変遷―生活の場での食事のあり方

この記事の中で、介護食開発の秘話が書かれており、それを興味深く思いました。

(井口氏のこの記事上での肩書は社会福祉法人小田原福祉会 特別養護老人ホーム潤生園 施設長となっています)

 

注:記事のタイトル部分をカフェスト編集スタッフが2021年4月11日に撮影

 

介護食の発祥は潤生園(小田原市の特別養護老人ホーム)

介護食は、摂食や嚥下に困難がある人も食べやすい食事ということですが、
井口氏は、この介護食の発祥が神奈川県小田原市の特別養護老人ホーム(特養) 潤生園であると言います。

潤生園の取り組み

では、潤生園のどのような取り組みが、介護食の発祥(開発)につながったのでしょうか。

エピソードの要約

・1982年に何を食べても、水を飲んでもむせてしまう男性の利用者がいた
・そのことに心を痛めた当時の理事長・時田純氏は、さまざまな実践を調べ、文献に当たった
・「人は死ぬまで嚥下機能がある」という研究論文を唯一の手掛かりとした
・よだれにヒントを得て、介護食の原型「救命プリン」(ミルクのプリン)を完成させる

 

よだれにヒントを得て

よだれにヒントを得たというのが感動的な箇所だと思います。
半身不随の男性が車椅子で、うたた寝をしていた際に、床にまでよだれがたれていて、切れないでつながっていることにヒントを得たそうです。

 

この井口氏の記事では

 

その時ハッと気がつきました。「そうか、人はよだれに似た食物形態であればむせないのかもしれない」

 

と、時田純氏の気づきを伝えています。

 

このエピソードはネットで検索しても見つかり、
あるネット記事では

 

人は、たとえ食べ物や飲み物がのどを通らないときでさえ、口の中に常に分泌されているよだれ(唾液)は、無意識のうちに飲み込んでいます。つまり、人間が最も飲み込みやすいものは唾液であると気づいたのです。このことから、唾液の物性を研究し、唾液と同様な物性の食品を作ればよいのだと目標が定まりました。

 

と記されています。

 

よだれにヒントを得て生まれたという「救命プリン」は栄養価の高いミルクをゼラチンで固めたものです。

その後の展開ー「煮こごり」をヒントにー

その後も、「煮こごり」(魚や肉を煮たあと、冷えた煮汁がゼリーのように固まったもの)をヒントに、介護食のさまざまなバリエーションをつくりました。
これらの取り組みが、1987年9月14日、朝日新聞夕刊のコラムで取り上げられた際には、潤生園に問い合わせが殺到したそうです。

 

「介護食」開発秘話に学ぶ観察の力

何を食べてもむせてしまう1人の人を何とかしたいという思いから、「介護食」が誕生しました。
目の前の1人の人を何とかしたいという思いから、新しいものが開発されるというのは介護の仕事ならではと思えてなりません。

 

さまざまな実践を調べ、文献に当たったという取り組みも、何かを解決したいならばそうありたいと思います。
よだれを見て、ひらめくというのは、こういう行動の積み重ねがあって、下地になってこそと思います。

 

「そうか、人はよだれに似た食物形態であればむせないのかもしれない」
介護の仕事ではこういう気づき(仮説)を生む観察力を育まねばなりませんが、それは自分でいろいろ調べたり、試行錯誤してみたりという努力とセットで考えるべきものと思います。

 

(文:星野 周也)

 

 

 

☆☆イベント情報☆☆ 「岡山リビングラボ」オープンイノベーションプログラムー「あたまの健康チェック®」をテーマに開催ー(4/20開催)

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのSです。

あたまの健康チェック®」の社会実装事例

以下にご紹介するイベント(4/20開催)で、簡易認知機能スケール「あたまの健康チェック®」の社会実装事例が取り上げられます。
「どのようにすれば認知機能低下の予防につながる中年期からの早期検査が普及するか」ーこのテーマで取り上げられます。

 

ご興味があれば、ぜひ参加をご検討ください。

 

(画像はiStockから)

「岡山リビングラボ」オープンイノベーションプログラム

 

開催日
令和3年(2021年)4月20日(火) 13時30分~17時
場所

オンライン(Zoom)とオフライン(岡山駅徒歩4分のももたろうスタートアップカフェ)のハイブリッド開催

今回のプログラムについて

 

主催
今回の「岡山リビングラボ」イノベーションプログラムは、岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科と、おかやまスタートアップ支援拠点運営委員会(ももスタ)が主催のイベントです。
概要
オープンイノベーションプログラムでは、地域内外の企業、自治体や大学の関係者、地域住民など多様な参加者がヘルスケア/生活関連分野のテーマについて自由に討議し、革新的なサービス・商品のアイデア等を創出することを目指しています。
内容
①趣旨説明、オリエンテーション(13:30~13:35)
②「あたまの健康チェック®」に関するプレゼン(13:35~13:55)
③アイデアの方向性等説明(13:55~14:10)
④参加者によるブレーンストーミング(14:10~14:40)
⑤テーマについてのグループディスカッション(14:40~16:00)
⑥グループごとの事業アイデア発表・講評(16:00~17:00)
プレゼンター
セントケア・グループ 株式会社ミレニア 部長 新山 賢司 (しんやま けんじ)
申込方法

(下記URLより申し込みください)
URL:https://forms.gle/nv1PfpRHFaXwDKnJ7 / 申込締切:2020年4月19日(月)12:00

岡山リビングラボに関する問い合わせ

 

岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科 特任准教授 志水 武史
Mail: shimizu.takeshi@okayama-u.ac.jp