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志村けんさんからの学び―ドリフの笑いは介護現場でも通用した―

 

こんにちは。認知症Cafést編集スタッフのSです。

志村けんさんの訃報と喪失感

コメディアンの志村けんさんが新型コロナウィルスによる肺炎で3月29日にお亡くなりになりました。

 

はお笑い番組が好きで、子どもの頃は志村さんの番組をよく見ていましたので、訃報を聞きまして、しばし喪失感に覆われました。
70歳になられていましたが、テレビのレギュラー番組を持ち、主演映画の予定もあり、第一線でのご活躍中でした。とても残念です。

加トちゃんのドリフでの台詞を忘れるな

志村さんが亡くなられた翌日、330日。
ツイッター上でのある投稿(←リンクあり)が、多くのユーザーによって拡散されました。6月18日現在で、4,215のリツイート、1万のいいねの数になっています。

以下に引用します。

 

加トちゃんのドリフでの台詞を忘れるな。

 

顔洗えよ

手洗えよ

うがいしたか?

歯みがいたか?

 

心に刻め今1番大事な言葉よ

 

お化け番組とも呼ばれた『8時だよ!全員集合』のエンディングの歌で、加藤茶さんが「顔洗えよ」「手洗えよ」と合いの手を入れるのが定番になっていました。

 

ババンバ バン バン バン(顔洗えよ)

ババンバ バン バン バン(手洗えよ)

 

というように。

ドリフが日本を救った?

このツイートに呼応するかのように、

3月30日に投稿されたこちらのブログ

8時だよ! 全員集合! ドリフターズが日本をコロナから救った。

でも、

加藤茶さんの合いの手に言及し、次のように述べられています。

 

小さな頃から

日本人は 

 

顔を洗い

手を洗い

風呂に入り

清潔にする習慣がついているから

今、コロナから

ギリギリ救われているのかもしれませんね。

 

このような見方―日本人は手洗いをするなど清潔にする習慣があるからコロナから救われている―の「学問的な」真偽について、ここで気軽にコメントすることは憚られますし、まだ定かになっていないことと思われますが、
志村さんの訃報に接し、
この時期、国民に呼びかけられた「手洗いをしてください」という要請のメッセージと、加藤茶さんの合いの手が重ね合わせられて、教訓の意味合いも持ち合わせて人々に受け取られたという社会的な状況が透けて見えてきます。

ドリフの笑いは介護現場でも通用した

さて、志村さんに関連して、私にとっての、とっておきの介護現場での思い出を紹介させていただこうと思います。なかなか披露する場がないのです(笑)。

注:このDVDは私が昔、購入しました。

「佐渡おけさ」と「東村山音頭」

志村さんといえば、「東村山音頭」が有名ですが、これの誕生のエピソードが私は好きです。

 

8時だヨ!全員集合』の新潟での公演で、新潟にちなんだ歌として「佐渡おけさ」を全員で歌った後、その後にゲストやドリフメンバーの故郷の歌をそれぞれ歌うという趣向の中で、志村けんさんが地元の「東村山音頭」をリメイクし、弾けたアレンジにした。(出典:志村けん|Wikipedia

 

介護現場でのカラオケで、民謡は人気ジャンルの1つです。一人が歌うと、その場にいる方々が釣られて歌われるという場面を目の当たりにして、民謡が高齢者の方々に馴染まれてきた音楽なのだと実感してきました。

 

ですから、『佐渡おけさ』を客席の人も含めて、会場のみんなで歌うというのはさぞかし盛り上がって、場が温まるであろうことは、容易に想像でき、その後に、舞台上のコメディアンがそれぞれ地元の歌を歌うという流れのなかで、その誰かが羽目を外すというのは、誰が考えても楽しいと感じる「定石」の展開と思うのです。
「お笑いの教科書」を読んでいるようだと感じられました。

夏の納涼祭で真似てみた

今から10年ほど前のことです。
当時勤務していた有料老人ホームで、レクリエーション委員をしていました。夏の納涼祭で「東村山音頭」みたいなことをやりたいと考え、老人ホームの所在地にちなんで、「溝の口音頭」というものをつくりました。

 

とは言っても、ゼロから作ったのではなく、実際には日本の伝統の阿波踊りとの合わせ技で、阿波踊りの音楽と掛け声をベースに、調子の良い掛け声を追加してみました。

 

ひさもと すえなが 溝の口

日本の真ん中 溝の口

やっとさー やっとやっと

 

というように。

 

やや大げさな言い方になりますが、阿波踊りの歌に示されている世界観、「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」にも心をつかまれました。
この踊りのときは日常から解放されてアホになったらいいと背中を押してくれているのだなあ、そう理解可能だと思いました。

やぐらのまわり/歓声と悲鳴

当日、駐車場に建てた仮設のやぐらのまわりを、老人ホームの入居者、スタッフで盆踊りをしました。「溝の口音頭」としてみんなで掛け声をしながら踊りました。スタッフには思い思いに仮装をしてもらっていました。
私も派手な女装をしていましたが、志村けんさんの「東村山音頭」にならい、踊りの最高潮で浴衣を脱ぎました。中は、水泳選手のような格好を仕込んでおり、その場は歓声や悲鳴の渦に包まれました。

後日談/おわりに

後日、入居者に面会に来られた家族から「あんなに腹を抱えて大笑いをしたことはない」と入居しているお母様が喜んでいたと事務スタッフに報告があったそうです。

その腹を抱えて大笑いしたというお客様は、約1か月後、特に前触れなく、体調が急変し、そのまま急逝されました。

 

「あれが人生最後の大笑いだったのかなあ」と思いますと、感慨深いです。

 

ドリフの笑いは介護現場でも通用しましたし、お客様に喜んでいただく武器になってくれました。
今回ご紹介した話は、勲章のような思い出になっています。(終)

 

 

 

 

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