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夏休みの思い出に

 

こんにちは。認知症Cafést編集スタッフのマツです。
以前の記事で認知症を持つ方、高齢者、障碍者といった多様な方が社会の中で普通に暮らすことの大切さについて書かせていただきました。
今日はこのことについて、もう少し掘り下げて考えてみましょう。

既にネット上で起こっている「同質化の恐怖」

これは有名な話ですが、SNSには自分と同じ意見や考え方を持った人たちが集まりやすいという効果があります(エコーチェンバー現象)。

ある事柄について、本来なら世の中の人の意見や考え方にはある程度のばらつきがあって当然です。例えば認知症や介護について考えるとき、「ともに生きていく」とか「お手伝いしたい」と考える人もいれば、「かかわりたくない」とか「面倒な存在」だと考える人もいるでしょう。こうした二元論的な考え方ばかりではなく、「他人が認知症になったら手助けするが、自分がなるのは嫌だ」とか「家族はいいが、自分は嫌だ」、「自分がなるのはいいが、周囲の人がなって自分がかかわるのは嫌だ」とか、複雑な考え方があるかと思います。

 

しかし、ネットやSNSでは自分と同じ考え方や意見を持った人が集まりやすいため、「自分の意見は世の中に認められた正しい意見だ」とか「世の中の人の意見も自分と同じだ」というように考えがちになります。すると、たまに自分と違う意見を見かけても「それは世の中の多くの人の意見とは違う間違ったものだ」ということになってしまい、切り捨てたり反対してしまいやすくなってしまいます。

 

これは個人的な自戒の念を込めているのですが、コロナ禍の昨今、ネット上には本当にいろいろな意見があります。そのこと自体は良いことですし、個々の意見の内容自体には言及しません。しかし、自分と違う意見を持つ人に対する誹謗中傷、ののしり、罵倒などのネガティブな感情のなんと多いことでしょう。今ネットを見ていると、それぞれの意見の内容というより、こうしたネガティブな感情に目が留まってしまい、気持ちが沈んでしまいます。

ネットから現実社会へ

このようなネガティブな感情を伴う同質化の広がりは、もちろんネット上だけにとどまりません。それが最も顕著に表れたのが、相模原の障碍者大量殺傷事件や京都のALS患者の嘱託殺人事件でしょう。

あくまで私見ですが、前者の事件ではこうしたネガティブな感情が加害者の犯行動機になっていると感じますし、後者でも、人の手助けなしでは生きられない人生を送りたくないというALS患者の思いは、自身が社会とは異質な存在になってしまうことに対する拒否反応だったのかもしれません。

打開策はいろいろな人と接すること

これもあくまで私見ですが、このように意見や考え方の同質化によって凝り固まってしまうことを防ぐには、なるべく多くの“自分とは異なる人”とコミュニケーションをとるしかないと考えています。
SNSなどのネット上でもいいでしょうが、やはり実際に会ったり話をしたり同じ時間や空間を共有することが1番です。

 

そこでご紹介したいのが、今回東京の竹橋にオープンした体験型ミュージアムダイアログ・ミュージアム「 対話の森®」です。
ここでは以前の記事でご紹介した、視覚障碍者に導かれて暗闇を体験するダイアログ・イン・ザ・ダークをはじめ、聴覚障碍者とともに言葉以外のコミュニケーションを楽しむダイアログ・イン・サイレンス、そして高齢者とともに年齢や世代を超えて生き方について対話をするダイアログ・ウィズ・タイムを体験することができます。
高齢者や障碍者といった“自分とはことなる人”との対話は、かならず自分の凝り固まった思考をほぐし、新しい意見や考え方を得るきっかけを見つけることができます。

まとめ

私たちは認知症や老いるということに対して、どうしてもネガティブな印象を持っている方が大半だと思います。常に助けてあげなければならない存在、こちらの言うことを聞いてくれない、思い通りにならない、理解できない……。
切り捨ててしまうことは簡単ですが、そのような行動や現象には必ず理由があり、ご本人の思いや感情やご希望がある……。

 

今回ご紹介したような体験を通して、きっとその一端を感じられるはずです。夏休みの終わりに素晴らしい体験をどうぞ。

 

 

 

 

 

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