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認知症当事者の気持ちに心をはせてみる

Young woman making a heart shape.

 

こんにちは。認知症Cafest-Online編集スタッフのマツです。

 

私は生まれつきの全盲なのですが、一人で外出することは可能です。通勤や通院だけでなく、外食なども一人で行います。
今回は昨年私が外出中に体験した出来事をご紹介しつつ、認知症当事者の皆さんの気持ちに思いをはせてみました。

 

 

ある日のSNSの投稿から

自分の病院からの帰りに駅前のラーメン屋に立ち寄ろうとしたときの話です。
そこにはもう何回も一人で行っていて、店員さんも少しずつ私の対応に慣れてきていてくれていました。
で、その日に私が入店しようとすると、店員から「今待ってるお客さんがいるからちゃんと並んでくださいねー」と、店の奥から声をかけられました。
私の心理状態に余裕がなかったからかもしれませんが、このちゃんとということばにどうしても違和感がぬぐえませんでした。

 

ちょうどお昼時でもあり、どうやら入口に数人並んでいることは、後からなんとなくわかりました。しかし一般的には、全盲者が入口に並んでいる人をみつけてその最後尾に並ぶということは、かなり厳しいです。
店員が私に掛けた声も決してつっけんどんな言い方ではなく、笑顔もありましたが、「並んでいる人を無視して入店してきたあなたはちゃんとしていない」というように、私には受け取れました。
もちろん、並んでいる人を無視して横入りすることはちゃんとしていないということは、私にもわかっています。しかし店員には、視覚障害者はお客さんが並んでいるかどうかがわからないということに気づいていただきたかったなーと感じてしまいました。また並んでいる人も、「並んでますよ」と声を掛けてほしいなー、などと考えてしまいました。

 

解説

この体験を友人たちにシェアすると、障害の有無にかかわらず「気にしすぎだ」、「何が問題なのかがわからない」と言った意見を多くもらいました。やはり、健康な人に障害の特性を理解した対応を求めることは、難しいのかもしれません。
しかし、健康な人にくらべてできないことが多いということも、健康な人と同じようにやりたいということも、障害を持つ当事者が1番感じている思いだと思います。そしてこの気持ちは障害を持つ人だけではなく、認知症をお持ちの当事者の皆さんも、きっと感じている思いなんだと思います。

 

ちゃんとという言葉は便利な反面、実は具体的に求められている行動や態度を表してはいないため、知的障碍者に対しては使用を控えるのが基本です。
また暗に同調圧力を求めているため、それができない人にとってはプレッシャーになってしまいます。

認知症をお持ちの方に接するときにも、なるべくその方の現状を知ったうえで、ありのままを受け止めたいものです。
また、なるべく具体的な説明やお願いをしようと、改めて感じました。

 

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