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認知症予防に効く!?マインド食

A view of a family preparing to eat lunch together outdoors

初出:2018年4月11日|最終更新:2020年5月21日

 

 

みなさん、マインド食(マインドダイエット)ってご存知ですか?
シカゴのラッシュ大学メディカルセンターの研究者らが、アルツハイマー病の発症リスクを低下させるとして発表した食事法で、日本でもよく知られている地中海式食事法(Mediterranean diet)と、アメリカ国立衛生研究所で考案された DASH(高血圧改善のための食事法アプローチ)の2つを組み合わせた食事法のことです。

 

※MIND(Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay)diet
※DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)
※ここでいう「ダイエット」は「食事法」を指します。

 

ひところ話題になっていましたが、いま改めて着目してみたいと思います。

 

地中海式食事法とDASH
細かな違い(塩分、総脂肪量、カルシウム、オメガ3、飲酒量等の推奨摂取量など)はあるものの、どちらも食物繊維・ビタミン・ミネラルが豊富で、飽和脂肪酸が低く、ヘルシーな食事法です。
この2つを組み合わせた「MIND diet」=マインド食なるものが、認知症を予防する!?というのです。

 

食事法としてはシンプルで、10種類の健康に良い食品を積極的にとり、5種類の健康に悪い食品をなるべく避けるというものです。

 

 

※上記の表:Morris MC, Tangney CC, Wang Y, Sacks FM, Bennett DA, Aggarwal NT. et al. MIND Diet Associated with Reduced Incidence of Alzheimer’s Disease. Alzheimers Dement. 2015 Sep;11(9): 1007–1014.の図表を参照し作成。

 

 

脂質の多いものは避け(揚げ物も少なく)、また動物性脂肪には動脈硬化などを進展させる可能性のある飽和脂肪酸も多く含まれるため、同じく避ける傾向にあると考えられます。
基本的には回数カウントのみで、量の指定がほぼないため、普段からバランスよく食べている方には、非常に取り組みやすそうな食事法ですよね。

ラッシュ大学の研究

方法

ラッシュ大学の研究では、923名(58~98歳)を対象に、このMIND食の実施度合を4.5年間追跡、①~③群に分けて比較しました。

 

  1. 厳密に行った人(スコア8.5~12.5)
  2. 適度に行った人(スコア7.0~8.0)
  3. 厳密に行わなかった人(スコア2.5~6.5) 

※スコア:各食品の摂取頻度によって、獲得点数が0点、0.5点、1点と変わり、総合点数は15点満点。

結果①ーMIND食とアルツハイマー病のリスク―

その結果、アルツハイマー病に発展するリスクについて

 

  1. MIND食を厳密に実施した人は53%も低下
  2. MIND食を適度に行った人でも35%低下

との結果が得られました。

 

また、MIND食を厳密に実施した人は、厳密に行わなかった人に比べ、7.5年も若くなるのと同じくらい、認知機能の低下が遅延することも示唆されました。

結果②―「地中海式食事法」と「DASH」を個別に検討した場合―

さらに、「地中海式食事法」と「DASH」についても、それぞれのスコアに応じ、同様に1.~3. 群に分けて比較したところ、
アルツハイマー病の発症リスク

 

  1. 厳密に実施した人のみ「地中海式食事法」では54%、「DASH」では39%低下

という結果が得られました(2. 3. の群では低下効果はほぼ得られず)。

コメント

「適度」な実施でも認知症への効果が期待

これらを踏まえて、食事法を「適度に」行った2. の人であっても、アルツハイマー病発症リスク低下が示唆されたMIND食に、改めて注目したいところです。

 

日本食をベースに考えると、継続が難しそうな食品もありますが、「適度」な実施でも、認知症への効果が期待できるかもしれないとの研究結果から、続けられそうな食品を今の食事にプラスして食べることで、ある程度のスコアが獲得出来そうなのは嬉しいですよね。

 

 

 

果物で唯一ランクインしている「ベリー」

因みに、MIND食の面白い特徴で、10種類の推奨食品のうち、果物で唯一ランクインしているのが「ベリー」。 本研究の筆頭研究者であるモリス教授は、脳の保護という観点で、有用な可能性のあるベリーの一つとして『ブルーベリー』、また過去の研究において認知機能に対する効果が示唆されている『イチゴ』もよいとも言及しています。

MIND食に取り組む楽しみ

もちろん、何か一つの食品だけを摂取して機能するものはありませんし、まずは食事としてのトータルバランスが大切になってきますが、このように、推奨食品に「美味しい」ものが含まれているというのは、継続するにあたってもモチベーションにつながりますよね。 時期によってはエンゲル係数が上がりそうな気がする点はさておき、何だかMIND食に取り組むのが楽しくなりそうです。

 

他疾患に起因する認知症もありますが、特に高齢になってからの認知症については、その食生活が大きく関わってくるとされています。 また、日本で認知症を引き起こす疾患のうち、6割以上がアルツハイマー病とされていることからも、これを機に、厳密?、はたまた、適度に?、トライしてみたくなった、改めて注目の「MIND食」についてお伝えしました。(終)

 

 

 

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