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オメガ3脂肪酸と認知症予防

Grilled mackerel fish with rice

 

先日のEditor’s tweetにてオメガ3脂肪酸を豊富に含むものとして亜麻仁油やエゴマ油を取り上げました。(「亜麻仁油 or エゴマ油」
このオメガ3脂肪酸はTVなどでもたびたび登場していますが、まだまだ目新しい栄養素だと感じる方も多いのではないでしょうか。

 

今回は改めて、オメガ3脂肪酸とは何か、その効果や摂取方法、認知症予防についての効果についてまとめておきましょう。

 

オメガ3脂肪酸とは

小学校の家庭科でも出てくる3大栄養素の一つである脂質(日常語では脂肪)の構成部品が脂肪酸です。単純化すると脂質の部品が脂肪酸です。

脂肪酸は化学式的な構造上、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の3つに分類できます。
主な脂肪酸の種類とそれを含む食品については、以下の表を参考にしてください。

脂肪の種類 主な食品
飽和脂肪酸 お肉の脂身
一価不飽和脂肪酸 オリーブオイル、アボガド
多価不飽和脂肪酸 植物油、魚の油

 

多価不飽和脂肪酸はさらに、オメガ6(n-6系)多価不飽和脂肪酸(以下n-6系脂肪酸)とオメガ3(n-3系)多価不飽和脂肪酸(以下n-3系脂肪酸)に分けられます。
後者のn-3系脂肪酸がオメガ3脂肪酸です。

 

オメガ3脂肪酸の特徴

オメガ3脂肪酸は人間の体内で作ることができない必須脂肪酸であり、私たちは食事などから摂取するしかありません

 

オメガ3脂肪酸を含む主な食材

オメガ3脂肪酸は、主にEPADHAとして魚類に多く含まれている他、α-リノレン酸として植物にも含まれています。

 

魚類
アジ、サケ、サバ、サンマなど
植物
麻の実、亜麻仁油、エゴマ油、クルミなど

オメガ3脂肪酸の効果的な摂取方法

ただし、オメガ3脂肪酸は熱には弱いため揚げ物では摂取できません。植物油ならドレッシングか短時間の炒め物、魚であれば焼き魚か生食がおすすめです。

 

亜麻仁油やエゴマ油を選ぶ際には低温圧搾(コールドプレス)と表記されているものがおすすめです。高温圧縮の方が効率的ですが、オメガ3脂肪酸は高熱に弱いので、ラベルに低温圧搾とかコールドプレスと書いてあるものを選びましょう。
また、保管は冷蔵庫で行いましょう。

 

オメガ3脂肪酸の効果

オメガ3脂肪酸には生活習慣病の予防に役立つ様々な働きとして、血中の中性脂肪を下げたり、不整脈を予防したりすることがわかってきています。
また血液をさらさらにすることから、動脈硬化を防いだり美肌効果(特にシミ)にいいようです。
他にもアレルギー症状を緩和したり、免疫機能を高めたり、さらにはうつ病にも効果があるといわれています。

また、認知症予防にも効果があると言われています(後述)

 

認知症予防とオメガ3脂肪酸

ここまでお読みいただいて、オメガ3脂肪酸のすばらしさに感激された方も多いと思います。
そして、肝心の認知症予防に対するオメガ3脂肪酸の効果ですが、オメガ3脂肪酸を含む食事が認知症予防に効果があるとする研究がある一方で、サプリメントについては少々異なる研究が発表されています
ここでは両方の研究をご紹介しましょう。

 

① 食事から摂取した場合の研究

2014年に米国ピッツバーグ大学医学部が行った研究では、1989年から10年、参加者の260人を対象に魚を食べる頻度や調理法について聞き取りが行われました。その結果、魚を週1回以上、焼き網またはフライパンで調理して食べた人は、魚を全く食べていなかった人に比べて記憶力を担う領域の灰白質の容積が4.3%、認知機能を担う領域の灰白質の容積は14%も大きかったということです。

 

ただし、フライで(揚げ物にして)食べていた人に特に変化は見られませんでしたこれは、高温で調理される過程でオメガ3脂肪酸が壊れてしまったためだと考えられています。

 

② サプリメントから摂取した場合の研究

以下、Cochrane(25年にわたり独自の世界規模ネットワークを通じて、研究から得られたエビデンスを収集、要約してきたサイト)からの引用です。

注:引用中のPUFAは多価不飽和脂肪酸の略です。

本レビューでは、認知症の最も一般的なタイプを有する患者を対象に、サプリメントに含まれるオメガ-3 PUFA(多価不飽和脂肪酸)とプラセボ(偽治療薬)を比較したランダム化比較試験(複数の治療群の1つにランダムに患者を割り付けた臨床試験)を調べた。(中略)

試験の結果を統合すると、オメガ-3 PUFAサプリメントを6カ月服用しても、認知機能(学習および理解)、日常生活動作、生活の質や精神的健康度に効果は認められなかった。1件の非常に小規模な試験で、オメガ-3 PUFAを長期間服用した場合、買い物などの認知的に複雑な日常生活動作が改善することが認められた。しかし、エビデンスの質は中程度であるため、今後の試験で確認する必要がある。(後略)

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
オメガ3脂肪酸の効果や特徴、そして認知症予防への活用の仕方について、少しでも知識を深めていただけたなら幸いです。

サプリメントではなく、食材から摂取した方が効果があるようですね。
認知症予防にのみならず、普段の健康のためにもぜひ取り続けたいですね。

 

 

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