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認知症の診断がついた場合は障害者手帳の取得も検討を

 

先月19日、認知症と生活に関わるお金というテーマでの勉強会に参加してきました。

(関連:勉強会の情報に関するカフェスト記事へのリンク

 

講師は社会保険労務士の保坂勇人さんでした。

障害者手帳の取得について

学習事項は多かったですが、そのうちの1点、障害者手帳の取得について、ご紹介します。

お金の面で、どういう制度活用ができるかという事例検討の中で

40代後半で若年性アルツハイマー型認知症と診断を受けた女性が、お金の面で、どういう制度を活用できるかという事例検討において、障害者手帳の制度活用の説明がありました。
障害者手帳と簡略化して言いましたが、精神障害者保健福祉手帳身体障害者手帳の活用の説明でした。
講義資料より抜粋します。

 

若年性アルツハイマー型認知症と診断されると、「精神障害者保健福祉手帳」を取得できます。血管性認知症で手足の麻痺があったりレビー小体型認知症で手が震えるなど、身体症状がある場合は「身体障害者手帳」に該当することもあります。手帳を持っていることで、税制の優遇措置(障害者控除、特別障害者控除など)のほか、公共交通料金や施設の利用料の割引などを受けることができます。また、企業の障害者雇用枠に応募できるので、病気であることを理解してもらったうえで働くことができるかもしれません。

 

精神障害者保健福祉手帳の制度について

精神障害者保健福祉手帳の制度について確認してみましょう。

対象となる方

何らかの精神疾患により、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約がある方を対象としており、認知症という診断を受けている場合も対象となります。

受けられるサービス

精神障害者保健福祉手帳を持っていると、NHK受信料の減免、税金(所得税、住民税、相続税)の控除など、経済面でのメリットがあります。

 

(画像はiStockから)

申請方法

申請は市町村の担当窓口で行います。

申請に必要なもの

①申請書
②診断書、または、精神障害による障害年金を受給している場合は、その証書等の写し
③本人の写真

 

医師の診断書は初診日から6カ月以上経過していることが条件となります。
「診断がついた場合は障害者手帳の取得も検討を」という題の記事にしましたが、障害者年金を受給している場合、その写しは診断書の代わりになります。

身体障害者手帳の対象である可能性も

さきほどの講義資料の抜粋の中でも触れられておりますが、血管性認知症やレビー小体型認知症などが原因で、身体症状がある場合は、「身体障害者手帳」に該当する場合もあります。

終わりに

認知症と診断されて活用できる制度は、「精神障害者保健福祉手帳」だけに限られません。
この手帳に限らず広く活用できる制度を紹介しているページのリスト(リンクあり)も挙げておきます。

リスト

A. 若年期認知症の人への支援制度|公益社団法人 認知症の人と家族の会

 

B. 認知症になったら使える制度 障害者手帳や生活保護などを解説(取材は中寺暁子氏)|なかまぁる 2019.02.13

 

C. 医療・障害者手帳・年金|社会福祉法人仁至会 認知症介護研究・研修 大府センター

認知症の人と家族の会の全国研究集会で聞いてきたこと

(写真は編集スタッフが撮影 / 撮影日:2019年10月27日)

 

ただ、この手帳の話を取り上げて伝えたいと思ったのは、2019年10月27日に茨城県つくば市で開催された、認知症の人と家族の会の全国研究集会での、在宅で父親を介護する独身の娘というお立場での事例発表を思い出したからです。

 

手元にある抄録を見返しますと、その方は、この事例発表で、独身の立場で介護をして切羽詰まっているときに、『シングル介護者交流会』に出会い、似た立場の者同士の場で、お互いに共感が出来て、救われたというお話をされました。主題は自分に合った居場所を見つけて参加することの重要性と思います。

 

ただ、その方の話で、もっとも私にインパクトを残し今も心に残っているのは、認知症で精神障害者保健福祉手帳が取れるという情報を得て(手帳を)取得したことが経済面では大きかったというお話でした。

 

認知症でその手帳が取得できるということを知らなかったがゆえに、その方にとって大きな情報だったということなんですが、聞き手である私もその二つがつながっていなかったので、印象深かったのでした。
いつか伝えなくてはと思いながら、今日まで至っておりました。このことを伝えて、2020年を終えて、新年を迎えたいと思います。

 

(文:星野 周也)

 

 

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