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認知症に備える保険とエーザイの想い―hhcソリューション本部 日比野部長インタビュー(後編)―

 

認知症に備える保険「認知症のささえ」をセント・プラス少額短式会社と共同開発した、エーザイ株式会社のhhcソリューション本部の日比野泰章部長へのインタビュー記事の後編です。

前編はこちらをクリックしてください。

 

エーザイのホームページでは、
わたしたちのめざすヒューマン・ヘルスケア(hhc)という見出しで、

 

エーザイの社名に“製薬”という言葉はありません。

 

というインパクトのある言葉から書き出される文章が掲載されています。
それは前編でご紹介した(医薬品の提供だけではなく)様々なソリューションを提供していくという日比野部長のお言葉につながってきます。

 

名前にhhcを冠した部門の企画推進部長を務められている日比野部長に改めて、hhcソリューション本部についてお聞きしました。

hhcソリューション本部―7つのアセット―

Q1 hhcソリューション本部の取り組みについて教えてください

「認知症にかかわる生活者の皆様のHealth Care True Needsや自治体が抱える課題を表出し、エーザイのみができるパッケージでのソリューションを創出・提供することで、認知症と共生する社会の基盤構築の一翼を担うことを目的に活動しております。現在は、現場第一線のニーズから表出した課題に対し、7つのソリューションを通じて、課題解決に対する様々な提案を行っております。」

注:7つのソリューションは以下の通りです。プレスリリースのページあるいは関連ページへのリンクを貼っています。

  1. 服薬支援機器「eお薬さん」
  2. クラウド型多職種連携サービス「ひかりワンチームSP」
  3. 嗅覚識別テスト「UPSIT series」
  4. お出かけ支援ツール「Me-MAMORIO」
  5. 小中高校生を対象とした、認知症を知り自分にできることを考えるための教材
  6. 簡易認知機能確認ツール「あたまの健康チェック」
  7. セント・プラス社と共同開発した認知症に備える保険「認知症のささえ」
    (今回の記事で取り上げている保険です。)

 

Q2 これらはどのように紹介しているのでしょうか?

「全国の自治体や医療・介護従事者などの方々へ訪問した際に、それぞれが有する課題に対するソリューションの一つとして提案させていただいております。また、関連する学会での展示や自治体などが運営する市民公開講座などにおいても、紹介させていただいております。」

 

「『認知症のささえ』については、私たちエーザイは保険業法に定める特定保険募集人や保険仲立人の登録をしていないので、『認知症のささえ』の推奨や説明を伴う販促活動やプロモーション活動は一切できません。従って、私たちエーザイは、『認知症のささえ』のパンフレットを自治体や医療機関に配布する活動のみを行い、保険の内容に関する説明や問合せ等については、セント・プラス少額短期保険株式会社に対応して頂くようにしております。」

 

Q3 hhcソリューション本部はどのくらいの規模の組織なのでしょうか?

「メンバーは約20名の組織です。構成としては、ソリューションの企画を担当する部員が約半数、全国の自治体や関係する施設などに訪問し、ソリューションの提案を担当する部員が約半数を占めています。」

経済的負担に関するソリューション

Q4 認知症に備える保険は経済的負担に関するソリューションになると思います。経済的負担に関するソリューションとして、それ以外にも考えておられますか?

私たちは、自治体や住民の方のクリニカルクエスチョン(真のニーズ)を表出させて、それに対してソリューションを創出して提供していきたいと考えています。従って、経済的負担に関するソリューションについても、今後、様々なクリニカルクエスチョンの充足を意図し、検討していきたいと考えております。」

「現場にクリニカルクエスチョンがあるならば、保険分野だけにこだわらず、ソリューションを考えていきたいと思っています。」

(エーザイ株式会社のhhcソリューション本部 ソリューション企画推進部の日比野泰章部長)

認知症と共生するまちづくり

Q5 先日、エーザイと福島県郡山市の間で認知症の人が安心して暮らせるまちづくりの推進に向けた連携協定が結ばれたとのニュースを目にしました。「認知症と共生するまちづくり」がキーコンセプトになっていると感じます。

注:郡山市のホームページでの関連ページはこちらです。

「10月末時点で144の自治体などの団体と認知症に関する連携協定を結んでおり、認知症の啓発活動などを一緒に行うなどしています。」

 

Q6 連携協定の背景について教えていただけますか?

「我々製薬会社は、元々、医師会などとの共催で、疾病やその疾病に関連する薬剤についての研究会やセミナーを開催しておりました。医療関係者向けのセミナーです。その研究会の一つとして、認知症のセミナーも開催していました。実績の蓄積を踏まえ、より具体的な取り組みを目指して2008年より、認知症については、医療従事者だけではなく、認知症と共生する「まちづくり」を支援する活動を全国で本格的に開始しました。その上で重要となる、一般市民の方にも勉強をしていただく場を持ちたいと考えるようになりました。そこで、市民公開講座を検討しました。」

さいごに―hhc理念―

Q7 今日はお話をありがとうございました。最後に改めてエーザイの考えや想いについてまとめていただけますでしょうか?

「私たちの活動の根底にあるのはヒューマン・ヘルスケア(hhc)の理念です。ヒューマン・ヘルスケアの理念は定款に企業理念として掲げられております。」

「エーザイは就業時間の1%を共同化体験に充てることとしています。共同化体験とは、現場の第一線で認知症の方などと時間を共に過ごし、想いを共有する活動です。私たちの部署では、近隣のグループホームに行き、終日、入居者の方と時間を過ごしたり、また、障がい者の就労支援の現場に参加させていただき、障がい者の方と時間を過ごしたりしています。言葉で聞くなり、見るだけでは真のニーズは分からないと思います。共に時間を過ごすことで本当のニーズや考えが分かってくると思っています。」

注:エーザイのhhc活動の詳細はこちらのページをご覧ください。

 

エーザイはいわゆる製薬会社ですが、ただ単に薬を研究開発して、製造して、販売するだけの会社にはなりたくありません。その考えの表れが私たちのhhc理念です。決してhhc理念はCSRという考えではなく、共同化体験により表出した真のニーズを充足する活動を行えば、必然的に売上や実績にも貢献できると考えています。」

 

編集スタッフより

認知症に関する問題解決のアプローチがありとあらゆる領域に広がっていることをひしひしと感じることができるインタビューでした。認知症に関して取り組まれている事業者におかれましては、事業の前提やこれまでの当たり前を覆して取り組んでいくことが求められていると言えるかもしれません。そして、ソリューションへのあくなき探求に皆で参画して、認知症になっても安心して暮らせる社会への道を切り開いていきましょう。

 

 

認知症に備える保険 「認知症のささえ」についての
詳しい内容・お問い合わせは専用サイトへ

「認知症のささえ」サイト

 

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