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インタビュー「おれんじカフェにかける思い」―地域の集いの場となるまで―(第1回)

 

毎月のイベント情報で、てんのうだいおれんじカフェのご案内をさせていただいております。
今回はてんのうだいおれんじカフェの発起人であり、運営のリーダーを担っておられる田中信子さんにインタビューをしました。
2回に分けて送ります。

注:記事の中では、話の流れのなかで、オレンジカフェと言ったり、認知症カフェと言ったりしていますが、同じ意味です。なお、てんのうだいおれんじカフェは平仮名のおれんじを採用しています。

 

田中信子さん
略歴

田中さんはもともと、てんのうだいおれんじカフェの場となっているセントケア我孫子の営業所で平成16年の開設時より約10年間所長を務めてこられました。介護福祉士、介護支援専門員として現場の業務を担いながら、居宅介護支援(ケアマネ)、訪問介護、デイサービスの3部門のマネジメントをされてきました。
会社の規定に基づく定年退職後も、声をかけられ、現在はセントケア・ホールディング(株)の本部で顧問として勤務されています。

 

てんのうだいおれんじカフェ開設に込められた思い

「平成27年(2015年)に厚生労働省より新オレンジプラン(認知症施策総合戦略)が出されました。ときは認知症カフェ(注1)を呼んでいると思いました。もともと地域貢献をしたいという気持ちがあり、こういうことをやりたかったと思いました。前々から抱いていた思いとつながりました。」

 

「カフェの運営については、本を買って読んだりしてさまざまな事例から学びました。また、既に日本各地で行われていた認知症カフェに10か所以上足を運びました。地域包括支援センターがやっていたり、病院がやっていたりといろいろでしたが、定形のきまりはなく、どういうやり方をしても良いと思えるようになりました。認知症をキーワードに、元気な人も、認知症の人も、家族もみんなが垣根なく集える場と理解し、敷居を下げることで、みんなが気軽に相談に来れるような場づくりを目指そうと思いました。」

第1回は認知症サポーター養成講座を企画

「認知症サポーター(注2)養成講座の講師役であるキャラバンメイト(注3)でありましたので、平成27年12月開催の第1回目の認知症カフェ(オレンジカフェ)は認知症サポーター養成講座をやろうと思いました。」

 

「かつて、自分も認知症サポーター養成講座の受講者でした。そして、サポーターを100万人に広げていくとニュースで知りました。この裾野を広げていく役割ならば貢献できるかもしれないと思い、研修を受講し、キャラバンメイトになりました。」

 

「キャラバンメイトとして、地域の自治会で認知症サポーター養成講座をしてきました。そこで、地域の人たちが関心を持っていることを感じてきましたので、ここのオレンジカフェでも認知症サポーター養成講座を突破口にしたいと思いました。我孫子の営業所でケアマネジャーをやり、居宅介護支援、訪問介護、デイサービスの3部門の所長をして、人脈をつくってきたことが実を結ぶのではないかと思いました。」

講座の準備と地域への周知活動

「認知症サポーター養成講座に参加しませんか?みんなで助け合っていく地域にしませんか?―そういうお誘いのチラシを作り、自分でポスティングをしました。エリアの全域に1軒1軒チラシを入れました。」

 

「デイサービスの場所を利用することとしました。県などに問い合わせをしましたら地域活動は、デイサービスが終わった後なら良いと回答を得ましたので、17時からの開始となりました。」

 

「役所、地域包括支援センター、病院、居宅介護支援事業所など、自分の人脈のあるところにこういうのをやりますと伝えました。しかし、まだ、オレンジカフェのことが知られておらず、協力的な反応ではありませんでした。それでも地域の人たちのためにこれをやりたいと思い、一人来るか二人来るか分からないけれど、やってみますと言っていました。」

第1回てんのうだいおれんじカフェを開催しての手応え

「そしたら38人来ました。歩いて来られました。デイサービスのような送り迎えがないのに、自ら来られたということです。あのときの感動は忘れられません。私の手応えとして、地域の人は嗅覚で感じて、良いと思うことであるならば、寒い夕方でも自ら出向くということが分かりました。」

 

「(参加者の年齢は)60から70過ぎの方が多かったです。参加者からはこんなこと全然知らなかった、もっと早く教えて欲しかったと言われました。もちろん市は沢山発信していますけれど見ていないですね。つながりをつくりたいという参加者の思いも感じました。」

 

「ここは安心していい場所なんですねとも言われました。驚きました。そこで10年、介護の事業所として、訪問介護も、デイサービスも、居宅介護支援もやってきているのです。私たちとしては門戸を広げて、いつでもどうぞと思ってやっていたのです。でも、世間の人からすれば入ったことないですし、何をやっているか分からないのですね。」

 

「そして、来月どうするのですか?と質問されて、5人でも10人でも来てくれるならば続けて開催しようと思い、月1回第4水曜と決めて継続してきました。」

 

(第1回終わり)

 

編集スタッフより

地域の人の思いを引き出し、行動に結びつくさまがドラマティックに語られていると思いました。第2回もご期待下さい。

第2回目はこちら(↓)をクリックしてください。

インタビュー「おれんじカフェにかける思い」―地域の集いの場となるまで―(第2回)

 

(インタビュー・文:星野 周也)

  1. 認知症カフェは「認知症の人やその家族が、地域の人や専門家と相互に情報を共有し、お互いを理解し合う場」です。2013(平成25)年度に国の財政支援が開始されました。新オレンジプランでは、2018(平成30)年度からすべての市町村に配置される認知症地域支援推進員等の企画により地域の実情に応じ実施と(認知症カフェに関する)目標が新設されました。← 出典:認知症カフェ実施状況|厚生労働省のサイトより
  2. 認知症サポーターは、認知症について理解し、認知症の人やその家族を温かく見守り、支援する応援者です。平成17年(2005年)度に厚生労働省が開始した「認知症を知り地域をつくる10ヵ年キャンペーン」の一環で、認知症サポーターを全国で100万人を目標に養成すると謳われています。← 出典: 「認知症サポーター」100万人達成及び「認知症サポーター100万人達成記念報告会」の開催について | 厚生労働省のサイトより
  3. キャラバン・メイトは認知症サポーターを養成する「認知症サポーター養成講座」を開催し、講師役を務めていただく人です。キャラバン・メイトになるためには所定のキャラバン・メイト養成研修を受講し登録する必要があります。← 出典:認知症サポーターキャラバンとは?| 全国キャラバン・メイト連絡協議会が運営する認知症サポーターキャラバンのサイトより

 

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