オランダ・ホフヴェイ(Hogeweyk)に学ぶ、認知症ケア

2018/04/20
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世界的に注目されているオランダの認知症村「ホフヴェイ」
ホフヴェイのコンセプトは、認知症の方々が「以前と同じような生活の中で暮らす」こと。 現在では152人の認知症である高齢者が住んでおり、居住エリアは23棟、入居者は各ライフスタイルで7カテゴリーに分かれ、1軒に同じような生活史をもつ人が6~8人で生活しているそうです。Hogeweyk ホームページより)

 

 

■7つのライフスタイルに分かれて生活

  1. 伝統・職人タイプ(配管工や大工など、自分の職業を誇りに思っている職人型。オランダ文化・伝統を重んじて暮らす人)
  2. クリスチャン(キリスト教に深い信仰を持つ人。定期的に教会に通う。)
  3. 文化人タイプ(音楽や芸術を楽しみたい人。劇場、映画、博物館、コンサートに行くのが好き。)
  4. 富裕層(上流階級向けの生活様式)
  5. 家庭的タイプ(家事などを大切にし、家庭的な人)
  6. インドネシア(オランダから独立した直後に移り住んだ、インドネシアにルーツを持つ人)
  7. 都会タイプ(都会的な生活や外出が好きで、カフェやレストランでの食事を楽しむのが好き。)

 

■ケア

職員は全て私服で、入居者の「日常生活」の中でケアを行い、買い物をする場面や家の中、広場や庭園での散歩中なども、そっと入居者を見守っています。

 

■身体活動

あくまで「普通の暮らし」の中での運動を重視しているため、理学療法士による直接の運動指導、運動器具によるエクササイズはあまり行われないそうです。 入居者は家の中で、食事を作り、洗濯や掃除も普通に行い、クラブ活動(計35)にも自由に参加することができ、自然に体を動かすのに一役買っています。

 

■新たな環境への適応

ホフヴェイの施設では、認知症の人が入所するまでに慣れ親しんでいたものと似た環境で自然に生活できるよう、オランダでよく見るレストランや劇場、スーパーマーケット等の典型的な施設内装を採用。 それにより、認知症の人がホフヴェイを「新しい生活の場」と認識することができ、混乱や不安から生じる問題行動が著しく減少する、ということです。

 

 

 

 

個人のライフスタイルが重視されていて、居住環境についても見慣れたもの・識別しやすいものが多く、これまでの生活を無理なく、また不安感も少なく、維持していけそうですね。 このように、「自分は理解されている」と思えるよう、各所で配慮がなされているホフヴェイ。日本においても同じような施設の展開は可能なのでしょうか?

 

  • オランダの介護施設:日本と比較し、高い保険給付に運営面が支えられている点
  • ホフヴェイは、オランダ国内の介護施設と比較し、専門スタッフを出来るだけ減らし設備に投資していますが、これも、オランダ国内では一般的な 「ボランティア」の力に頼ることで、人件費削減・ケアの質の維持を両立できている点

 

などなど、日本で展開・普及させるには難しい面もありそうです。 しかしながら、認知症の方が今までと同じように、「社会における普通の生活」を送ることを全力でサポートする、ホフヴェイの理念や運営方法からは、日本でのケアの在り方においても、学ぶべき点、改めて考えさせられる点が、非常に多くあるように思います。

 

認知症になったとしても、自然な暮らしを営みたい。そんな願いが叶う日も、もしかするとそう遠くないのでは…と、希望の光が見えたような、オランダ・ホフヴェイのケアの在り方についてお伝えしました。

 

 

 

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