立てるようになった!? フランス発認知症ケア「ユマニチュード」とは
「ユマニチュード」という言葉を聞いたことはありますか? 一見聞きなれないこの言葉、フランス発の新しい認知症ケア手法を指す言葉なんです。無表情で全く会話もできなかった認知症の方が笑顔に、そして歩けるまでに回復した事例も! まるで魔法のようなこの方法を、全3回に分けてご紹介します。
ユマニチュードって?
フランス人イヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティによって作り出された、言語・非言語コミュニケーションを主体とした認知症ケア手法です。 フランスの植民地だったアフリカ諸国で起きた、自らの黒人らしさを取り戻す運動を指す「ネグリチュード」を語源として作られた造語で、「人間らしさを取り戻す」というその人を尊重する思いが込められています。
コミュニケーションの手段として
認知症の方に対してよかれと思ってしているケアが、本人にとっては怖かったり、理解できないことがあります。 ユマニチュードとは「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの基本動作によって、認知症の方の人間としての尊厳を取り戻し、ケアする側とケアされる側の絆を再構築する、そんなコミュニケーション技術です。
効果は?
ユマニチュードの技術を取り入れたケアを行うことで、ケアする側とケアされる側にあたたかいコミュニケーション、絆が生まれます。例えば、今まで着替え等の行為に拒否をされていた方が、すんなりとケアを受け入れてくれる。 これは、介護者から何をされるかわからず、拒否をすることで自分を守っていた状態に対して、ユマニチュードの「見る」「話す」「触れる」といった技術によって、介護者のことを信頼できる人だと感じ、ケアを受け入れる、という変化につながった事例です。
次回のシリーズ「ユマニチュード」第2回では、具体的にどんなことを行っていく手法なのか?についてお伝えする予定です。
<参照>
- 本田美和子/イヴ・ジネスト/ロゼット・マレスコッティ(2014) 「ユマニチュード入門」, 医学書院
- NHK クローズアップ現代「見つめて 触れて 語りかけて~認知症ケア “ユマニチュード” ~