Site icon 認知症 Cafést online

認知症対策大綱の成立に寄せて

The great tourist attraction of Cappadocia - balloon flight. Cappadocia is known around the world as one of the best places to fly with hot air balloons. Goreme, Cappadocia, Turkey

 

政府が検討してきた認知症対策大綱(認知症施策推進大綱)が本日成立しました。

認知症対策の大綱

この大綱をめぐっては、先月発表された大綱案の中で“70代での発症を10年間で1歳遅らせ、2018~24年までの6年間で70代人口に占める認知症の人の割合を6%減らす”という目標が掲げられました。
しかし、当事者団体を中心に“認知症の人たちは努力が足りなかったという偏見を助長するのではないか”という危惧の声が寄せられ、数値目標を取り下げ、参考数値にとどめることになったという経緯があります。

安易な数値目標の設定は差別の助長につながるか?

私は先月、大綱に数値目標を設けるというニュースを耳にして、ずいぶん踏み込んだ画期的な大綱になるのだと、のんきに驚いたものです。
しかし、認知症予防の面では世界中で様々な研究がなされているものの、現在に至るまでその方法が科学的に確立されてはいません。私は今回の目標取り下げのニュースを聞いて、“確かにこのような状況下で安易に数値目標を設定することは、当事者に対する差別の助長につながってしまうのかもしれない”と、考え方が変わりました。出生前診断のことを思い出したからです。

出生前診断

出生前診断の詳しい説明は割愛しますが、“異常が見つかった胎児の母親の9割が人口中絶を選択する”という話を聞くと、障害児として生まれてきた私としては“自分はやはり社会から拒絶されている”と感じてしまうのです。(もちろん、出生前診断が不妊治療に大きく貢献していること、それによって救われる多くの人たちがいることも承知していますし、軽々に結論を出していい話題ではないと心得ています)

すべての人が対等で尊重される日本であってほしい

私は障害者の一人として、認知症患者・障害者・外国から日本に来られた方など、すべての人が対等で尊重される日本であってほしい、いろいろな個性を持った人がその能力を発揮できる日本であってほしいと願ってきました。
認知症に関しても、予防の視点だけが注目され、当事者の方々がご自身にたいして否定的な感情を持ってしまうことは、なんとしても避けたいところです。
その点において、今回の認知症対策大綱が予防の面だけでなく、共生の面にも触れていることは、大きな救いだと言えます。(マツ)

 

 

 

 

Exit mobile version