密着!「認知症と向き合う介護現場から」第4回

2018/08/23
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セントケアホーム鵠沼(以下、ホーム鵠沼)の所長の井藤知美さんへの
インタビュー記事の第4回目(全5回)です。

今回のキーワードは共感的な関わりです。

 

 

ホーム鵠沼の所長の井藤さん(左)と計画作成担当者の兼平さん(右)

 

 

介護現場では、認知機能が低下して物忘れが進み、同じことを繰り返し言われる方とお話をすることがあります。
そのような方への対応について井藤さんが語られています。

「夕ご飯を食べていない。」と繰り返すお客様への対応について

「つい先日だと、1時間前に夕ご飯を食べたのに、『どうしよう、夕ご飯を食べていないのよ、あなた食べた?』と言われて。そこを、認知症のことが分からないと『食べましたよ。』と説得をしようとしちゃうんですよね。『ほらみて。今日のメニューはこれとこれとこれで、さっき食べたじゃないっ。』と言っちゃうんです。」

「だけどご本人の中ではそこがスポッと抜けている(覚えていない)わけですから、『食べていないのにこの人(スタッフ)は何を言っているんだ。』ときょとんとされてしまうのですね。だから、食べていないところに共感して、『そうか、私も食べていないんですよ。』という共感から入り、『明日の朝ごはんは早めに作ってもらいましょうね。』とできるだけ未来につなげたり、話をしながら、ちょっとずつ話を、うまくこう、ごまかすわけではなく、どこかで糸口をつかんだら、そこから話をすりかえて、先日は前やっていたお仕事の話にすりかわっていって。」

「おなかが空いて言っているわけではないと私は思っていて、何かが満たされてないのが食につながっているんですよね。その満たされていないものは何かなって。必要とされている自分であったり、輝いている自分であったりの話をすることでこう幸せな気持ちになって、寂しさが満たされたり、話を聞いてもらえたって感じると、食べ物のことはちょっと忘れられたりするんですよね。」

このお客様を担当している計画作成担当者の兼平さんはこのように言っています。

 

(兼平さん)
「(夕ご飯を食べていないと言われるのは)時間的なこともあると思います。遅くなればお部屋の方に戻られますので。」

 

(兼平さん)
「夜だけではないんです。朝も昼も食べていないと言うんですけど、ただ、朝や昼は(手持ち無沙汰の)時間も短いし、やっぱりいろいろやることが日中はあるんですけど、どうしても夜ごはんは(午後の)6時半から7時の間に終わってしまうと、やっぱり寝るには早すぎるし、どうしても落ち着かなくて、フロアとお部屋を行ったり来たりしている間に、『あれっまだこんな時間だけど、私ごはん食べてないわよね。』ということになるんだと思います。」

 

「共感を持って関わっているのですね?」

 

(井藤さん)
「はい。でも、それ(繰り返し同じことを言う)がずっと続くわけじゃないんですよね。それが何年も続くわけではなくて、出てくる症状は次から次へと変わっていくので、スタッフもむしろ今のこの期間を楽しめたらいいなって。今日はどの話題で乗り切るかみたいな感じで。(そう考えることは)ほんとうはよくないことかもしれないんですけど、でも、認知症の方々との日々をスタッフも楽しんでくれたらいいなって。」

 

(井藤さん)
「そういうのを見てくれたスタッフが、ああいう対応をするんだなって感じてくれたら。でも、ベテランさんがやったことは新人が同じことをやって通用するかと言ってもそうではないんです。(スタッフには)いろんなことを試して自分の引き出しを増やしてほしいなと思う。」

同じことを繰り返し言う方に対して、ごまかすのではなく、共感的に関わり、しかもそのプロセスを日々楽しむと言えるのは素敵なことですね。

いよいよ次回が最終回になります。

 

 

 

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