矯正治療が将来的に認知症予防につながる!
2020/03/27
こんにちは。カフェスト編集スタッフのmimiです。
歯科での矯正治療
最近、一般の歯科でも矯正治療を提供しているのを見かけます。
従来のイメージでは、矯正=審美的な意味合い、もしくは、重度の不正咬合(こうごう)などの場合に行うもので、主に子どもが行うものでした。
しかしながら、今は成人後も矯正を行うケースがあり、さらに、矯正を行うことが将来的に認知症予防にまでつながるという話がありましたのでお届けします!
そもそも・・認知症と歯の関係
「8020運動」という言葉を耳にされた方も多いのではないでしょうか。厚労省と日本医師会による、「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動です。ちなみに永久歯は、親知らずを除くと28本です。
「80」は年齢でもあり、一生涯の象徴でもあります。「20本」は「自分の歯で食べられる」ために必要な歯の数を意味します。今までに行われた歯の本数と食品を噛む(咀嚼)能力に関する調査によれば、だいたい20本以上の歯が残っていれば、硬い食品でもほぼ満足に噛めることが科学的に明らかになっています。
また、このような研究事例もあります。
神奈川歯科大学の研究で、歯の残存数が20本以上ある人と、歯がなく義歯(入れ歯、インプラントなど)もつけていない人とでは、認知症になるリスクが1.9倍と大きな差異が見られました。咀嚼力が低いと感じている人も、1.5倍のリスクがあることがわかりました。
歯がなくなることで脳への刺激が減り、それが脳の活性化を低下させることで、認知症の発症率が高まるといわれています。
参考:山本龍生/神奈川歯科大学/歯を失って義歯を使わなければ認知症のリスクが最大 1.9 倍に~厚労省研究班が健康な高齢者 4425 名を追跡して明らかに~/JAGESプレスリリースNO. 12-033
歯周病がアルツハイマー型認知症に関連する可能性も
最新の研究では、アルツハイマー型認知症と歯周病の罹患に正の相関があること、マウスでの実験で、歯周病原因菌であるジンジバリス菌を全身投与したマウスの肝臓に脳内老人斑成分であるアミロイド βが産生されていることが分かり、その関連に注目が集まっています。(参考:世界発ヒト歯周病の歯茎で脳内老人斑成分が産生されていることが判明 〜歯周病によるアルツハイマー型認知症への関与解明の新展開〜|日本の研究.com 2019.11.14付)
なぜ矯正が認知症予防につながるのか?
矯正の審美的効果以外の効果として、下記が挙げられます。
- 歯磨きしやすく汚れが残りにくい歯並びにすることで、虫歯・歯周病を予防
- 長期的に安定した噛み合わせ
- 正しい噛み合わせになることで一本一本の歯の寿命が長くなる
(結果的に、肩こりや頭痛などが改善することもあるそうです)
ここから、このように認知症予防につながります。
- 歯周病を予防することでアルツハイマー型認知症を予防できる可能性がある
- 安定的なかみ合わせでしっかり咀嚼し脳に刺激を与えられる
- 正しい噛み合わせになることで歯が抜けることを防ぎ、咀嚼力を維持する
義歯の調整も効果的
すでに義歯にされている方でも、噛み合わせを最適にすることで認知症の進行を遅らせる可能性があります。義歯は一度作ったあとも、顔の周りの筋肉の変化などで合わなくなるケースが多々あります。定期的に歯科診療を受け調整し、咀嚼力を保つことが大切です。
まとめ
厚労省の患者調査(平成29年)によると、矯正患者約1万8千人のうち約4割が20歳以上。50歳以上のケースも3%超あり、中には80代という報告もありました。大人の矯正も珍しいものではなくなっているようです。
歯の健康を保ち、いつまでもご飯を美味しく食べ、心身ともに充実した暮らしを送りたいですね!