介護のコツ

認知症の人への接し方

認知症の方に対しての接し方として、大切な方法があります。

①温かく受け入れて、相手のペースに合わせてあげる
②問題行動に関しては、「なぜこういった行動になるのだろう?」といった原因を考える
③ご本人の自尊心を傷つけないようにする
④間違えや失敗に対して否定的な言葉がけをしないようにする
⑤優しく相手の目を見ながらうなずく、手をにぎるなどの言葉以外のコミュニケーションを行う
⑥ご本人の得意だったことをしてもらう

これらを実践することで、ご本人のあるがままの姿を受け入れることができ、より良い認知症介護を実践できるようになります。

在宅介護のコツ

在宅での介護の際のコツは、介護保険で利用できるサービスをよく知ることです。
また、介護保険以外のインフォーマルサービス(地域住民の協力や、ボランティアの利用、自費サービスの利用など)をうまく活用することが大切です。

全ての介護を家族で行うのは負担も大きく、長期間続けていくことが難しい局面もあります。
そこで必要なのは、ここまでは家族で行える部分、ここからは介護のプロにお願いする部分、といった線引きをしっかり行うことです。
ケアマネジャーに相談することで、今受けることができるサービスや、ご本人に必要なサービスの情報を知ることができ、調整をしてもらうことで、在宅介護をうまく行っていくことができるようになります。

介護ストレスの解消法

認知症の方や高齢者の方の介護をされている方は、長期介護によるストレスが起こりがちで、介護を一生懸命行っていくうちに、自分自身のストレスに気がつかないまま介護者の方が倒れてしまうケースがよくみられます。
そのためのストレス解消法として大切なことは
①一人で問題を抱え込まず、頑張りすぎないこと
②自分の時間を大切にすること(趣味の時間を大事にするなど)

全てを一人で抱え込まないで、介護サービスを上手に活用することも大切です。
介護はチームプレイです!周りの協力を得て介護を行うことで、介護者の方が感じる負担感はずっと軽減できるようになります。

楽になる認知症ケア

1980年以前のイギリスでは、認知症介護に関して、とても業務的な対応が多くみられていました。そんな中、生まれたのが「パーソン・センタード・ケア」という考え方です。
これは、イギリスの臨床心理士、トム・キットウッド博士が提唱した認知症介護の理念のことです。従前の医学モデルに基づいた認知症に対しての捉え方、考え方を再考し、認知症を持つ方の個性や生活、尊厳と向き合うことで、介護者中心ではなく、介護を受ける方を中心としたより良いケアを目指す考え方のことです。現在日本でもこの考え方が広がってきています。

認知症の方の気持ちに寄り添いながらケアをする、ということが大切です。
「○○をしてしまった」から「○○ができた」
「また言うことを聞かない」から「何をして欲しいのだろう」など
そういった気持ちを持つことができれば、認知症介護も少しラクな気持ちで行えるかもしれません。
その他にも、介護保険サービスや福祉用具等を効果的に利用することで、身体的・心理的負担の軽減にもつなげていくことができます。

<参照文献>
厚生労働省「認知症の人と接するときの心がまえ」
トム・キットウッド「認知症のパーソンセンタードケア 新しいケアの文化へ」(出版社:筒井書房)