さまざまな支援・制度

認知症でかかる経済的負担について

認知症でかかる経済的負担には、介護費や医療費の負担があります。
介護保険ではサービス利用にかかる費用は、原則として1割を利用者が支払い、残りが介護保険からの支給となります。平成27年8月以降、一定以上の所得者については、2割負担がかかります(費用の8割分は介護保険からの支給)。支給限度額は、介護保険で利用できる金額の上限額の目安です。上限を超えたサービスの費用は、全額自己負担となります。

また、認知症では、治療薬代、病院での検査や入院、治療などの医療費がかかってきます。
※東京都での「介護サービスの利用者負担」については、東京都福祉保健局HP

受けられる支援について

要介護度は、要支援1・2と要介護1~5までの7段階に区分され、利用できるサービスは要介護度により変わります。主なサービスは下記の通りです。

≪訪問系サービス≫

  • 訪問介護
    介護スタッフが自宅に訪問し、家事や調理、身体介護などを行います。
    毎日の生活を、なるべく自宅で普段通りに過ごすことができるように、ご本人やご家族をサポートするサービスです。
  • 訪問入浴介護
    看護師を含めた3名のスタッフが移動入浴車で自宅に訪問し、寝たきりや身体の障害等で一人での入浴が困難な方でも、組立式の専用浴槽で、安全な姿勢で身体の負担も少なく入浴できるサービスです。
  • 訪問看護
    病気や障害を持った方が、住み慣れた我が家でその方らしく生活を送れるよう、看護師などが自宅に訪問してケアを提供するサービスです。
  • 小規模多機能型居宅介護
    「通い」「泊まり」「訪問」の3種類を組み合わせて提供する介護サービスです。
    ケアマネジャーが介護を必要とする方のご希望に沿った柔軟なケアプランを作成し、自宅からの「通い」を中心として、「泊まり」「訪問」の在宅介護サービスを24時間365日の体制で利用することができます。定員29名までの少人数の登録制で介護・看護スタッフが在宅介護をサポートします。
  • 看護小規模多機能型居宅介護
    登録利用者への「通い」「泊まり」「訪問(看護・介護)」3種類のサービスを、介護と看護の両面から柔軟に組み合わせて提供するサービスです。介護を必要とする方に、自宅からの「通い」を中心に、「泊まり」「訪問」の介護サービスを24時間365日の体制で提供します。
    さらに、医師の指示のもと、自宅へ看護師が訪問し実施する看護ケアに加え、「通い」「泊まり」の施設内での介護サービス利用時においても、医師の指示書をもとに看護師による看護ケアを受けることが可能です。
    また、当該施設が指定訪問看護事業所の指定を併せて受けている場合、登録利用者以外の方も「訪問看護」サービスを利用することができます。
    要介護度が高く、医療ニーズの高い方も安心して利用できるサービスです。
  • 居宅介護支援
    自宅で自立した生活を送ることができるよう、心身の状況や生活環境、介護を必要とする方やご家族の意向を受けて、ケアプランを作成します。また、介護保険に関する相談や各種手続きの代行も行います。
  • 訪問リハビリテーション
    理学療法士、作業療法士などが自宅へ訪問し、リハビリ指導(機能訓練)を行います。
  • 居宅療養管理指導
    医師、歯科医師、薬剤師などが自宅訪問し、医療的な管理・指導を行います。

≪通所サービス≫

  • 通所介護(デイサービス)
    自宅での介護を必要とされる方を対象に、入浴、食事、アクティビティなどを日帰りで利用することができるサービスです。機能訓練や各種プログラム活動などを通じて、心身ともに安定した生活が送れるよう、また、認知症症状に対するケアなども行います。
  • 通所リハビリテーション
    デイケア、介護老人保健施設、病院などで機能訓練などのリハビリテーションを受けることができます。

≪短期入所サービス≫

  • 短期入所生活介護
    介護を必要とする方が短期間利用できる介護専門の宿泊施設です。
    自宅で介護されているご家族が一時的に介護できなくなった場合、食事・入浴・排泄などの日常生活のケアや機能訓練などを行います。

≪施設系サービス≫

  • グループホーム
    医師による認知症の診断を受けた方で、介護認定が要支援2~要介護5の方が利用できる入居施設です。認知症の高齢者の方が、5人~9人の少人数で家庭的な雰囲気と地域との交流の中で、介護を受けながら日常生活を営むためのケアを受けることができます。
  • 有料老人ホーム
    有料老人ホームは、高齢者が暮らしやすいように配慮した「住まい」に、食事の提供、介護の提供、洗濯・掃除等の家事、健康管理などの日常生活を送るうえで必要な「サービス」が付いた「住まい」です。そのサービスは入居者の心身の状況に応じて、長い期間、広い範囲にわたって提供されます。

≪その他≫

  • 福祉用具貸与・販売
    車いすや介護ベッドなど、保険適用の対象となる福祉用具をレンタルできます。
  • 住宅改修
    手すりの取り付けや段差の解消など、ご本人の身体状況に合わせた住宅の改修を行います。

介護保険制度について

介護保険制度は平成12年(2000年)4月1日に施行された制度で、40歳以上の全国民が加入する公的制度です。
介護保険法では、「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排泄、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする」(介護保険法第1条より)とされています。

介護保険制度を利用できる対象者は
①65歳以上で要介護、要支援認定を受けた方
②40歳~64歳未満の医療保険加入者で特定疾病(16疾病)により介護、支援が必要な方
となっています。

その他支援・制度一覧

国や地方自治体では、介護や医療にかかる費用の援助としてさまざまな制度があります。
・医療費控除
・高額介護サービス費
・高額医療・高額介護合算制度
・部屋代(居住費、滞在費)、食費の負担軽減
・社会福祉法人による利用者負担軽減
・介護サービス自己負担助成(自治体による)
その他にも自治体によって助成などの制度が実施されているところもあります。

<参照文献>
平成27年度 厚生労働省 老健局「公的介護保険制度の現状と今後の役割」