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認知症に備える保険とエーザイの想い―hhcソリューション本部 日比野部長インタビュー(前編)―

 

先月の特集では認知症に備える少額短期保険「認知症のささえ」を本年2月より販売開始したセント・プラス少額短期保険会社の坂本英一郎社長にインタビューを行いました。
坂本社長からは「認知症のささえ」を共同開発したエーザイ株式会社のhhcソリューション本部の日比野泰章部長をご紹介いただきました。

注:hhc(ヒューマン・ヘルスケア)はエーザイ株式会社のホームページでは企業理念を一言に集約したものとして紹介されています。
詳しくはこちらをクリックしてください。

 

今回は日比野部長にエーザイ側の想いを語っていただきました。
2回にわたり紹介致します。
坂本社長へのインタビュー記事はこちらです。

認知症に備える少額短期保険について―セント・プラス少額短期保険 坂本社長インタビュー(前編)―

認知症に備える少額短期保険について―セント・プラス少額短期保険 坂本社長インタビュー(後編)―

 

開発の経緯について

Q1 前回、セント・プラスの坂本社長から商品開発の経緯について教えていただきました。エーザイ側の考えについて教えていただけますか?

「エーザイは1999年に自社創製の認知症治療薬を上市(注:新薬を市場に出し、販売開始する)しました。それ以来、認知症をエーザイにとってのフランチャイズ領域(注:研究開発、営業の重点領域)の一つとしてきました。しかし、医薬品の提供だけでは、認知症に関わる未だ満たされていない真のニーズを満たすことはできないと、認知症領域において約20年にわたる啓発活動を通じて、我々は学びました。そこで、認知症の人が安心して生活をしていくことができる環境やインフラを整えていく必要があると考え、2016年4月より様々なソリューションを提する事業に取り組んでいます。

 

「そんな中で、愛知県大府市で、踏切内にご高齢で認知症の男性が入ってしまい、事故が起こってしまったということがありました。その事故では、高齢の奥様と遠方に住む息子様に損害賠償が求められました。保険について、弊社は素人ですが、認知症に特化した保険が必要ではないかと社内にて検討するようになりました。ただし、弊社は保険会社ではありませんので、やはり単独で商品を開発することは難しいということになりました。そのときに、セント・プラスさんが少額短期保険で認知症保険を検討しているという話を聞き、お互いの方向性が合致したということで商品開発に至りました。」

少額短期保険との連携について

Q2 少額短期保険会社との提携に関するお考えについてもお聞かせいただけませんか?

「あくまで認知症に備えるという保険ですので、あまり保険料をかけることができないのではないかと考えました。少額短期保険であれば月々の支払いを抑えられると思います。そこが魅力的だと思いました。」

 

「大手の生命保険会社の商品に特約として認知症保険をつけるという方法も確かにありました。加入者数だけを目的にするならば、そちらの方が良かったかもしれません。しかし、どんな方にも認知症に備えていただきたいとの想いから、少額短期保険会社と共同開発という立ち位置で連携することと致しました。

(エーザイ株式会社のhhcソリューション本部の日比野泰章部長)

『認知症のソナエ』について

Q3 セント・プラスと共同で発信した、認知症に関する情報をとりまとめた『認知症のソナエ』は、どのような経緯で作成されたのですか?

「認知症とはどういうものか?、認知症になったらどうするか?など、そういったテーマに関して製薬会社が作成するような資材(注:病気のことについて広く理解を広めるための資料)でなく、認知症になる前に何をしなければならないかという切り口で資材を作成しました。

 

「製薬会社はもともと、業界では指導箋と呼んでいる疾患啓発などの資材を医療機関に届けています。例えば、「糖尿病とは何か?」「インフルエンザとは?」などの資材を作成して、患者様を中心に情報提供しています。これら疾患啓発と同様に、認知症になる前の備えという意味では権利の問題や財産の問題も関係してきます。財産やお金に対する備えの重要性についてもお伝えすることができると思いました。

注:『認知症のソナエ』はこちらをクリックしてください。

認知症の人と家族の会との連携について

Q4 プレスリリースでは、「認知症の人と家族の会」が運営する電話相談の紹介が付帯サービスとされています。

「家族の会からは、電話相談サービスの連絡先の一覧表を提供頂きました。家族の会の電話相談自体は元々無料なのですが、家族の会は各都道府県に支部があります。例えば、大阪の人が東京にかけたり、青森の人が東京にかけたりというのではなく、自分の都道府県の支部へ電話をできます。」

 

「認知症のことについてお医者様や介護関係者の方に相談することもあると思います。しかし、それ以前に、苦労してきた方の実体験の話を聞きたいとか、手軽に同じ立場の人に話を聞きたいというニーズがあるのではないかと思いましたので、家族の会に打診したところ、快諾を頂き、一覧表を提供頂きました。」

 

Q5 同じ立場の方に相談でき話を聞いてもらうのは心強いですね。

「以前、私は認知症治療薬のプロダクトマネージャーをしていました。業務を通してどういったニーズがあるかを感じてきました。一方、私の父親が認知症でして、私自身、認知症の人と家族の会の正会員になっています。公私ともに認知症が身近にある疾患です。」

 

「父親のことで困ったことがありました。仕事からの情報である程度の対応の仕方は分かっていましたし、認知症をご専門としているお医者様に話を聞くこともできます。それでも、父の自動車運転免許を返還するというときには、家族の会の方に相談して、説得の仕方などを教えてもらって、ようやく返還することができました。生の声やアドバイスの価値は大きいです。そのような情報が必要と感じています。」

 

編集者の私も、学生のころ、認知症の人と家族の会にボランティアとして関わっておりました。家族の会の話について共感的に聞くことができました。
次週、後編をお届けします。

関連ページ

セント・プラス社と共同開発した認知症に備える保険「認知症のささえ」を販売開始

(エーザイ株式会社のホームページより。2018年2月26日付プレスリリース。)

 

認知症に備える保険 「認知症のささえ」についての
詳しい内容・お問い合わせは専用サイトへ

「認知症のささえ」サイト  

 

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