あたまの健康チェックの普及について―営業推進を担う立場から―

2018/12/27
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今年、最後のインタビュー記事をお送りします。

 

認知機能の検査の1つであるあたまの健康チェックの販売代理店として営業推進を担われているセントケア・ホールディング株式会社の事業開発部の溝江洋司次長にインタビューを行いました。

注:あたまの健康チェックはアメリカのMedical Care Corpolationが開発し、株式会社ミレニアが2005年に日本国内での独占販売権の許諾を得ました。2018年12月現在、ミレニアは4社と販売代理店の契約を締結しており、そのうちの一社がセントケアです。

 

(セントケア・ホールディング株式会社の事業開発部の溝江洋司次長)

あたまの健康チェックのユーザーとして

Q1 ミレニア(上記注を参照)との関係について教えてください。

「もともと創業者同士に関係があり、つながりがありました。販売代理店として契約を結んだのは2017年8月です。販売代理店としてだけではなく、セントケアは自社内に介護事業を行っておりまして、2017年10月からはユーザーとしてデイサービスを利用しているお客様にあたまの健康チェックを受けていただく取り組みもしています。

 

「2013年6月にMCI(軽度認知障害)がメディアに取り上げられたことの影響が大きく、それ以降にあたまの健康チェックの普及が加速したと聞いています。」

 

Q2 ユーザーとしてはあたまの健康チェックについてどのような印象を持たれていますか?

「あたまの健康チェックの受け入れにおいては、デイサービスの間に温度差がありました。認知症加算(認知症高齢者の割合を加算の要件とする)を算定している事業所は、MMSE(世界的に活用されている認知症のスクリーニングテスト)で利用者を検査する体制ができていましたので、認知症の方に対してMMSEで検査をするのに加えて、認知症以外の方にはあたまの健康チェックで検査をするというように棲み分けがなされて、比較的すんなりと導入が進みました。そうでない場合は認知機能を測ることに対するプライオリティがそもそも高くないのが現実でした。」

介護事業者への普及について

Q3 他の介護事業者への普及についてはいかがですか?

「介護事業者への普及は自社からスタートして、他社の事業所にも横展開で営業を試みました。社内外のケアマネから、これまではMMSEなどはあったものの、それ以外に認知機能をチェックするものがなかったのでありがたいと言われました。認知機能の状態や変化は介護記録のエピソードから読み取るしかありませんでした。それが数値化されて、時系列で確認できるようになったのはアセスメントとしてありがたいと言っていただきました。」

 

「その一方、付加価値のサービスの1つにはなりうるものの、すぐさま加算につながるというわけではありません。この状況では費用でしかありませんから、導入は難しいとの声も聞かれました。」

医療機関・自治体への普及について

Q4 その他の営業先や販路について教えていただけますでしょうか?

「われわれが販売代理店になる前から、医療機関や自治体はあたまの健康チェックの営業先でした。診断のツールとしてですね。」

 

「医療機関の方々とお話ししていると、MCIという診断がついた場合に、その方をどうフォローをしていくべきかについて悩まれていると感じます。」

 

「一方、ある先生からは次のように言われました。これまでの診断は、画像診断、血液検査等の結果を材料にしつつ、最終的には問診をして診断をしてきました。症状の出方は千差万別なため、診断に関する最終の判断は匠の世界のようなところがありました。あたまの健康チェックは米国では75万件の被検を誇り、統計学的に得られた得点には客観性が担保されているため、匠の世界(問診)を代替できるくらいの価値があるのではないかと言っていただきました。

 

Q5 自治体の反応についてはどう感じておられますか?

「認知症対策というと、現状は認知症になった人にとって住みやすい社会をつくるという視点での施策が大半です。しかし、予防の領域には踏み込めていないところが多いと思います。」

一般企業への普及について

Q6 一般企業への普及についてはいかがでしょうか?

「最近は主に運輸業を中心として、一般企業からの関心も高まっていると感じます。働く人の就業寿命を伸ばすということへの関心から、定期検診の必要性を感じられているようです。」

 

「いきなり認知症検査をして、アルツハイマー病と診断されてしまうということでは先がないというように感じられてしまいがちです。それと比べれば、あたまの健康チェックには、今の認知機能を検査して、下がらないようにしていくという発想があります。そこに価値を認めていただだいているようです。」

今後の課題

Q7 認知症やMCIの検査技術については、採血での検査や網膜に赤外線を当てる検査など日夜開発されていますが、それらの検査とあたまの健康チェックとは、競合の関係になるとお考えですか?

注:検査技術の動向については週刊東洋経済2018 10/13 pp.26-27を参照しました。

競合というよりは連携すべき関係にあると考えています。例えば血液検査は(血液中の)物質量を測るもので、認知機能の検査とは種類が異なります。それぞれ判断材料になります。」

 

「また、自分で操作するタブレットで、記憶力や注意力などさまざまな認知機能を確認できるようなサービスも世に出ています。このように脳のトレーニングの要素の高いものは、学校の試験に例えて言うと、日々の勉強のチェックと位置付け、期末試験に精度の高いあたまの健康チェックを受検していただくという使い分けが考えられます。」

 

「医療機関での画像診断やアミロイドPET検査(脳のβアミロイド蛋白の蓄積状態を調べる検査)など専門的な検査との関係では、これらの検査を受ける前の初期のスクリーニングテストとしてあたまの健康チェックを位置付けていただくのが良いと思います。専門的な検査は高価ですから、あたまの健康チェックの受検により安く済む場合もあるでしょう。」

 

Q8 その他、今後の課題と感じていることを教えてください。

「医療機関の方々の悩みということでご紹介したことですが、あたまの健康チェックの受検で、MCIの疑いありとの結果が出た場合にどうするかについての情報がなければ、不安をあおって終わりになりかねません。これは医療機関のみならず、一般企業への営業においても問われる点です。つまり、どうしたら予防ができるのかと問われます。予防法も最近知られるようになってきましたから、それらの情報とセットで、あたまの健康チェックの普及を図るべきと考えています。」

最後に

Q9 お話ありがとうございました。最後にコメントをお願いします。

「生活習慣病など予防の中ですでに進んでいる領域があります。生活習慣病により認知機能が低下するというデータも出ていますから、今後はそこにあたまの健康チェックも組み込まれるべきではないかと思います。特定健診に組み込まれるくらいの施策が必要ではないでしょうか?企業での健診の推進のみならず、自治体も主導で取り組むことがなければ、すべての人に認知機能のチェックや検査が届くことはないでしょう。」

 

私たちが目指すのはあたまの健康を測ることが標準になることです。血圧や熱を測ることと同じくらいにまで当たり前のことになってもらえれば良いと思っています。

 

詳しい内容・お問い合わせは
「あたまの健康チェック®」サイトへ

あたまの健康チェック®

 

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