認知症|MCI (軽度認知障害) の研究

2018/03/30
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アメリカのメイヨー・クリニックで行われた研究では、70歳以上の534名を約5年間追跡調査したところ、153名(全体の28.7%)がMCIを経て認知症を発症するとの結果が得られました。
その5年間の追跡結果では、MCIと診断された人の37.6%は健康な認知状態(CN:Cognitive Normal)に戻り、そのうち65%は再びMCIとなりその状態を保つか、または、いずれかの段階で認知症に進行するとも報告されています。

 

さらに、認知症になるリスク因子を細分化・分析したところ、健康な認知状態(CN)よりもMCI状態である方が認知症の発症リスクは高まるという、これまで他研究でも示唆されてきたことと同様の結果が得られており、今後も依然として、臨床現場でMCIが重要な指標となるということも同時に言及されています。

 

 

一方で、やはり注目したいのは、認知症を発症せずにMCI状態を保ち続ける人々、またCN状態を保ち続けられる人々も、一部存在するということ。本研究においてはこれらの人々の追跡状況は分かりませんが、今後、対象者の追跡調査・解析がさらに進められ、介護現場におけるレクレーションやプログラム、個人向けの認知症予防プログラムなどへも、こうした研究成果が活用されていくことが大いに期待されます。

 

さらに、この研究の考察では、MCIのサブタイプ(*)によっても、認知症発症リスクが異なってくる可能性についても言及されており、今後臨床現場でのMCIのより細かな状態把握や、MCI-screenの充実と一般への普及、また、認知機能の細かな状態に合わせたプログラムの蓄積なども同時に進められることによって、認知症の早期発見や発症リスクのさらなる低減につながっていくのではと感じました。

 

MCI-screenについては、日本でも簡単に行える「あたまの健康チェック®>」などもあり、個人でも受けられますので、気になる方は是非一度、受けてみてはいかがでしょうか。 今回は、引き続き注目していきたい「MCI(軽度認知障害)」の研究についてお伝えしました。

 

* 現在よく用いられているMCIの基準は、Petersenらによって定義され、4つのタイプに分類されています。

 

 

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