新型認知症~認知症の入り口になるうつ病性仮性認知症~

2019/06/08
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認知症はその原因や症状によって、多くの種類に分けられます。最も代表的なものはアルツハイマー型認知症で、認知症患者の6~7割に達しますが、細かいものを含めると非常に多くの種類があります。
今回はその中から、ここ数年新型認知症としてTVで取り上げられているうつ病性仮性認知症をご紹介します。

認知症?それともうつ?

調べてみると、うつ病性仮性認知症はうつなのか認知症なのか、はっきりとはわかりませんでした。認知症の種類の一つとしている見解もあれば、認知症ではなくうつの一種とする見解もあります。しかしいろいろなサイトを見てみると、認知症によく似た症状を持つうつという見解が多いようです。

ネット上では10年ほど前から“新型認知症”として取り沙汰されるようになりました。物忘れや入浴の拒否と言った症状から、認知症を心配したご家族に勧められて病院を受診して明らかになるケースが多いです。
しかし日付や時間の感覚があったり、計算ができたりということで、「認知症ではない」として見過ごされてしまうことも多くあります。

認知症とよく似た症状

主には以下のような症状があります。

物忘れ、注意力の低下
身の回りのこと、家事、買い物などはできるが、前に言ったことや聞いたことを忘れたり、約束を忘れたりしてしまいます。
思考の停止
何かを聞かれても覚えられなかったり、返事までに時間がかかります。また「わからない」ということが多くなるのも特徴です。
抑うつ症状
気分がふさぎ込んだり、会話の量が減ったり、1日中何もしなくなったりします。
身体症状
食欲不振や体重の減少の他、自律神経の働きが悪くなり、不眠や便秘なども起こります。

認知症との違い

例えば、症状からうつ病性仮性認知症かアルツハイマー型認知症かを見極めるのは、素人にはなかなか難しいです。
それでも、前者はうつ、後者は認知症ということもあり、以下のような違いがあります。

うつ病性
仮性型認知症
アルツハイマー型
認知症
発症時期 特定できる いつからともなく始まっている
物忘れの自覚 ある ない
身体症状 ある ない
日内変動 朝方に悪いことが多い ない
投薬による回復 ある

ない

 

うつ病性仮性認知症には薬が効く

上の表にもあるように、うつ病性仮性認知症は抗うつ薬などの薬を投与することで治療が可能です
一方、アルツハイマー型をはじめとする認知症では、薬で症状を緩和したり進行を遅らせることはできても、根本的な回復は(現在の医学では)できません。
本当の認知症にならないためにも、早期発見と治療が重要です。

うつ病性仮性認知症→MCI(軽度認知症)→認知症

高齢者のうつと認知症には深い関係があり、うつ病の経験者は認知症のリスクが高いという研究もあります。
仮性認知症もうつの一つです。放置しておくとMCI(軽度認知症)を経て、本当の認知症へと意向してしまいやすいことがわかってきました。
早期発見と治療のためにも、「物忘れが多い」と感じたら、あたまの健康チェックを受診をおすすめします。自分と同じ年齢・性別の人たちとの比較だけでなく、定期的な受診を行うことで、認知機能の変化に気づくことができます。(文:マツ)

 

 

 

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