マサイ族の塩分とは“無縁”な暮らし

2021/05/10
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こんにちは。
認知症Cafést編集スタッフのSです。

塩分とは“無縁”…

塩分とは“無縁”…“無塩”…

 

ダジャレの書き出しになってしまいました。
無塩というのは言い過ぎなのですが、アフリカのマサイ族(東アフリカのケニアからタンザニアにかけて住んでいる)は少ない塩分で暮らしているという記事を読みましたので、ご紹介します。

 

高血圧予防のため、塩分の摂りすぎには日々気をつけていますので、
少ない塩分の暮らしというのは関心があります。

 

記事はこちらです。
現代人は「塩中毒」!? 人間が塩のとりこになる驚きの理由|NHK(2019年12月13日)

マサイ族の食事は1日2リットルのミルク

この記事では

彼らの食生活を見てみると、朝ご飯は搾りたての牛乳だけで、他には何も食べていない。そして夕飯も、搾ったヤギの乳。なんど、1日2リットルも飲むミルクが、彼らの主食なのだ。

 

と書かれています。

2グラムの塩で暮らしている

そして、1日に飲む2リットルのミルクにはわずか2グラムほどの塩が含まれているので、2グラムの塩で暮らしているということになるのだそうです。(注:ちなみに、日本人の食塩摂取量の平均値は令和元年で1日10.1グラム)

 

2リットルのミルクでの暮らし―放牧、ヨーグルト、生き血―

別の記事
野菜を食べないマサイ族の食の秘密(著者は江部康二氏)|毎日新聞(2016年9月10日)

 

では、2リットルのミルクでの暮らしがどのようなものかについて少し詳しく書かれています。

 

マサイ族の主食は現在でも牛乳とヨーグルトです。牛乳、ヨーグルト合わせて1日に2〜3Lも摂取します。毎日、牛の放牧をしながら何kmも歩き、その間、牛乳を入れた「キブユ」というひょうたんを腰にぶら下げ続けているので、数日間で牛乳は自然発酵し、ヨーグルトになります。長時間歩いていますから、主に摂取するのは新鮮な牛乳より、搾乳してから2〜3日が経過したものや、さらに時間がたってヨーグルトになったものの方が主となります。この主食だけで不足する鉄分は、牛の生き血を週に数回、牛乳に混ぜて飲むことで補います。

 

牛を放牧して、牛の乳を持ち歩いて牛乳やヨーグルトを食事として、牛の血で鉄分も補っていると聞くと、うまく成り立っているものだと思いますね。

「血はほしくなったとき飲む」

1980年代にマサイ族の食事や健康状態について調査をした家森幸男氏は、栄養学の知識を持ち合わせているわけではないマサイ族が、ときどき牛の首を矢で一突きし、ほとぼしり出る血をミルクに混ぜて飲む行為をすることに関して、次のような感想を述べています。

 

「血はほしくなったとき飲む」という説明を聞いて感心しました。私たち文明人が失ってしまった「不足している栄養素を求める感性」を彼らは備えているのです。

出典:家森幸男『ついに突きとめた 究極の長寿食』(洋泉社, 2011年)

 

知識からではなく、感性から必要な栄養素を欲するというあり方には、ある意味、羨望の念を抱きます。

塩分と高血圧の関係

もとの記事ー現代人は「塩中毒」!? 人間が塩のとりこになる驚きの理由ーに戻って、塩分のとりすぎの弊害について書かれている箇所を確認しましょう。

塩分とりすぎの状態が続くと、血液中に増えた塩分を薄めるために水分(血液の量)が増えて血管を圧迫し、「高血圧」を招く。さらに、そのような状態が長期間続くと、血管が傷つき動脈硬化になったり、脳の血管が破裂して脳卒中を起こしたりする危険が高まるのだ。

 

家森幸男氏の著書(『ついに突きとめた 究極の長寿食』)では、

塩分(ナトリウム)は摂り過ぎると血管壁の細胞の中にとどまってしまいます。すると、その塩分の濃度を薄めるために細胞内に水分が集まり、細胞は膨張して血管の壁が厚くなります。そのため、血液の通り道は狭くなり、血液が流れにくくなり、体中に血液を送らなければと心臓は圧力を高くしていき、高血圧になっていくのです。

と書かれています。

 

厳密には分からないところもありますが、塩分を薄めるために血管に水分が集まり、その結果として、高血圧を招くということは学校でも習ってきたことと思います。

 

さいごに

マサイ族の暮らしは大変興味深いものの、今すぐ真似ることができるというようなものではありません。

 

私たちは、私たちなりに、「塩分の摂りすぎは高血圧を招く」という知識から、あるいは、「薄味に慣れる」という感覚(感性)から、より少ない塩分の生活の実現に向けて取り組んでいきましょう。

 

 

 

 

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