ラジオで“認知症カフェ”を聞きながら2020年を振り返る

2020/12/25
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こんにちは。カフェスト編集スタッフのマツです。

 

これが2020年最後の記事になりそうなのでここ数日何を書こうかと考えつつ、今年を振り返っていました。
今回は、そんな折にラジオで聞いた話を紹介します。

 

(画像はiStockから)

ラジオで認知症カフェ

NHKラジオ第1放送の番組“ラジオ深夜便”には、“認知症カフェ”というコーナーがあります。
12月22日の放送では“認知症 ぼくの日常”と題して、若年性のアルツハイマー型認知症の当事者でもあるケアワーカーの下坂厚さんのお話が流れていました。

 

下坂さんは写真を通して、認知症当事者の日常や気持ちを紹介されているとのことでしたが、その中でたびたび出てきたものに“記憶や時間のつながりや流れがわからない”というものがありました。

 

バスに乗って目的地に向かうという例でお話されていましたが、要約してご紹介します。

 

我々は通常、過去の記憶の上に今があり、未来を想像したり決定します。バスの席に座っているときにも、目的のバスに乗ったという過去の記憶があるから、安心して座っていられます。

 

この記憶のつながりがなければ、“自分はちゃんと目的のバスに乗ったのだろうか”という不安を常に感じてしまうのだと思います。

 

下坂さんのお話では「考えれば思い出す」とのことでしたが、記憶や時間の流れというものは、通常ならもっと無意識に感じられるものだと思います。それが“考えなければ思い出せない”という状態は、本当に恐怖なのではないかと拝察します。

コロナがもたらす時間感覚の変容

前段のラジオを聞いて真っ先に思い出したのが、7月の私の記事「移動の快楽と不要不急なことの大切さ」で紹介した以下の内容です。

 

7/13のNHKラジオに出演した精神科医の斎藤環さんは、自粛生活で同じような日々が続くと時間の感覚が薄れ、過去の記憶や記憶の前後関係があいまいになると話していた。

 

私自身、今年を振り返ってみると、小さい出来事については何月だったのかや、出来事同士の前後関係など、かなりあいまいになっていると感じました。
こうして考えてみると今年は、認知症当事者の皆さんが感じている日常の不安を、コロナが追体験させてくれた1年だったと考えられなくもないのかもしれません。

 

勿論、前述の下坂さんがお話していた不安の大きさとは比べるべくもないはずです。私も視覚障害の当事者ですが、“あなたの気持ちがよく分かった”などと軽々しく言われたくはありません。

 

それでも……ちっぽけな理解であると知りつつも、少しでも当事者の人たちの思いを知りたいという気持ちは確かにあります。
そして正直に書くと、コロナにはそういう側面もあったとでも思わないと、この未曽有の危機を乗り切るだけの力が出ないんです。

(画像はiStockから)

 

 

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