認知症国会勉強会で「当事者を起点とした地域づくり」について話を聞く―障害福祉と比較しながら―

2019/05/24
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こんにちは。Cafést編集スタッフのマツです。

認知症国会勉強会―当事者を起点とした地域づくり―

先日衆議院議員会館で開催されました、鈴木隼人議員主催の認知症国会勉強会に、編集者Sとともに参加してきました。
当日は、認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子様の当事者を起点とした地域づくり~日本全国どの地域でも、希望のある未来を創る近道~」という講演を拝聴し、その後質疑応答となりました。

 

講演の主な内容

以下は私が感じた講演の主な内容です。
※趣旨から外れた点もあるかと思いますが、その場合の文責は私個人にあります。

 

  • 認知症になっても、認知症患者としてではなく、個人としてその人らしい暮らしがしたい
  • 認知症を予防しても、一人だったり、不安があったりしたら、良い暮らしとは言えない。予防の先にどんな暮らしがあるかがが大切である
  • 1970年代から現在まで、認知症を病気ととらえ、当事者(本人)の思いを抜きにして認知症患者としてとらえ、治療をしてきた状態から、当事者個人にフォーカスを当て、その思い・尊厳・その人らしさを大事にしながら生活の支援をする方向に変わってきている。このようなパラダイムシフトが、社会全体に一層求められている

 

障害福祉も同じだった

私が障害当事者であるため、どうしても障害福祉の取り組みと比較してしまいますが、上記のような内容は障害福祉の分野でもかなり同じことが言えると感じました。

 

一昔前まで多くの障害者は外出もできず、就職もできず、自宅で無為に過ごすだけの日々を送っていました。私は現在40過ぎですが、中高生の頃に一人でファストフード店にでも入ろうものなら、すべての店員が大わらわになっていたものでした。それだけ、社会に障害者を受け入れる度量もなく、奇異なものとして扱われていたということです。
そこから、さまざまな法律の施行、ハード面をはじめとしたバリアフリーの充実などの恩恵を受けて、徐々に社会参加や自分らしい生活を営めるようになっていきました。

 

現在は2020年の東京オリンピック・パラリンピックの追い風も受けて、障害当事者は障害者というレッテルで見られることから、徐々に、その人個人として見られるようになってきています。
とはいえ、この状況には大きな地域差があるとも感じています。上のようなパラダイムシフトが起きている地域がある一方、いまだに旧態依然として障害者を自宅でしか過ごせないようにし、個人ではなく障害者というレッテルで、あるいは保護の対象としか見ようとしていない地域も、これまた存在しています。

認知症を取り巻く今後の社会

では上記を踏まえて考えると、認知症を取り巻く社会は今後どのように変わっていくのでしょうか。以下、私なりに予想(妄想?)してみました。

 

  • TVなどのマスメディアや芸能などの分野で、いわゆるスターとなるような認知症当事者が増加する
  • 一定以上の従業員数の企業において、認知症当事者の雇用率が定められる
  • 業務の細分化(切り分け)が進み、可能なものを認知症当事者が担うようになる
  • 認知症当事者が認知症当事者に対してサービスを提供する業態の登場
  • 認知症当事者が店員となり、客が店員を少しだけサポートしながらサービスを受けるような業態の登場
  • 公共交通機関や繁華街などで、認知症当事者を見かける回数の増加

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
様々な知見から明らかなように、今後、認知症を抱えた方の数は明らかに増加します。認知症は私たちの生活の中で、ますます身近になります。
その時、認知症当事者がどうしたら自分らしく生き生きとした毎日を過ごせるか、そのために周囲の人たちはどのような考え方や接し方をしたらいいか……。
これは認知症予防とともに、とても重要な視点です。今のうちからみんなで考えたいですね。

 

 

 

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