ペットがもたらす人への効果
2024/05/27こんにちは、認知症Cafést online 編集スタッフのKです。
ここ数年、私の通勤経路で犬の散歩をしている人を多くみかけるようになりました。
毎日可愛いなーと思い眺めてますが、先日「犬の飼育は、高齢者の認知症発症の確率を低下させる」という大変興味深い記事をみかけました。
今回は高齢者がペットを飼うメリット、またその課題について書きたいと思います。
ペットと触れ合うことによる高齢者へのメリット
東京都健康長寿医療センターの研究チームが公表した研究結果によると、追跡期間の4年間に認知症を発症した人について調べたところ、
なんと犬の飼い主は犬を飼っていない人に比べて認知症を発症する確率が40%低いことがわかったそうです。
以前よりペット飼育経験者のフレイル発生リスクについては、飼育未経験者に比べ発生リスクが低いことがわかっていました。
今回の研究では、特に犬の飼い主には認知症発症リスクが低いことがわかり、犬の飼い主の特徴として次のような社会的向上がみられたそうです。
・活動量が増える
・笑顔が増える
・発言が増える
・周囲との関わりが増える
研究結果では、日常的に犬を世話することにより、
飼育者への身体活動や社会参加の維持が、飼育者自身の認知症発症リスクを低下させていると考えられているそうです。
犬の日常的な世話、と聞くとまずは思い浮かぶのは「お散歩」です。
犬のお散歩をすることで、強度ではありませんが適度な運動の継続ができ、飼育者の健康に良い効果をもたらしているのでしょう。
またお散歩中の飼い主さん同士が楽しくお話されている姿をよく目にします。
たわいもないことかもしれませんが、これは社会的孤立状態を防ぐことができていると考えることができます。
このように犬のお散歩を通じ、運動や地域住民と繋がることが認知症発症リスクの低減につながっているのではないでしょうか。
ペットへのメリット
また東京農業大学の研究では、セラピー犬35頭が高齢者施設入居の高齢者との触れ合いを通して、「幸せホルモン」と言われているオキシトシンが平均39%増加したことがわかり、犬も人と触れ合うことにより喜びを感じていることがわかったそうです。
犬と触れ合うことは、高齢者と犬の双方に良い影響を与え合っているのですね。
これは犬に限らず他の動物にもあてはまると思います(思いたいです)。
課題と多様化するペットサービス
一方で、高齢者のペット飼育については、病気や加齢などで犬猫の世話ができなくなる「飼育崩壊」や、ペットがいることで高齢の飼い主が入院や施設入所を拒むなど、さまざまな課題もあります。
その課題解決として、最近は次のようなペットサービスができているそうです。
・老犬・老猫ホーム:老犬・老猫を預かり介護するサービス
・ペット同居型サービス付き高齢者住宅:ペットと同居できるサービス付き高齢者住宅
・ペット信託:現金/ペットを信託財産として、飼育者が亡くなった際のペットの世話をするサービス
・ペット一生預かり:ペットを一生お預かりするサービス
私、「ペット信託」という言葉をはじめて耳にしましたが、
これは飼い主さんが信頼できる第三者と契約を交わし、
「自分に万が一のことがあった時に備えてペットの飼育費を管理し、その時が訪れたら飼育してくれる人(施設)に飼育費を支払う」ということを託すことだそうです。
またこの場合の「万が一」とは死亡時だけでなく、病気で飼えなくなった時なども当てはまるので、コロナ禍にはこの「ペット信託」の相談が多くあったそうです。
認知症に限らず、誰しもが「自分に何かあったら」と考えるきっかけになったのかもしれません。
さいごに
ペットと暮らすことは、高齢者とペットの双方に大きなメリットがありますが、ペットを迎える際にはその命を終えるまで適切に飼養する「終生飼養」の責任があります。
今後さらに高齢者の社会的向上を目指すためにも、ペットが生涯、継続して安全にそして安心して暮らせるための環境が整った社会になっていくことを願います。
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