スマホアプリでQOLの低下を防止
2019/02/19
こんにちは。認知症Cafést Online編集スタッフのマツです。
以前の記事でも触れられているように、視力や聴力の衰えは認知症発症のリスク要因になります。
つまり、(食事や生活習慣、遺伝的な特性が同じであれば)視力・聴力を健康に保つことで、認知症発症のリスクを下げることができることになります。
しかし、眼鏡や補聴器で補える視力・聴覚には限界があります。また装着時の違和感から、敬遠される方もいらっしゃいます。
一方、スマートフォンをはじめとする近年のICTの発達は、視力・聴力の低下を補ってくれる様々な支援技術を生み出しています。多くの支援技術によって、視覚・聴覚に障害がある方のQOLが劇的に向上しています。
たとえ視力・聴力が低下してもQOLが低下しないこと、生きることに対してポジティブでいられるかが大事なのではないかと、筆者は感じています。
そこで、今回はITで認知症の予防ができないかをテーマに、視力・聴力の低下を補ってくれる支援技術をご紹介します。
(1)Be My Eyes
視力が低い人(便宜上「利用者」とします)と支援者をスマートフォンでつなぎ、利用者のカメラに写っている状況を支援者が説明することで、利用者の目の代わりとなるためのアプリです。
使い方
- アプリの初回起動時に、利用者として登録するか支援者として登録するかを選択します。
- 利用者は「目」で何かを確認したいときにこのアプリを起動し、画面中央部の大きな「支援者に接続」というアイコンをタップします。
- すると電話の発信中のような状態になり、支援者として登録されている人に依頼が送信されます。
- 支援者は、利用者からの依頼があると通知されるので、支援が可能なら引き受けます。(引き受けたくないときには断ることができます)。
- 支援者が支援を引き受けると利用者と支援者は通話状態になり、利用者のカメラ映像が支援者に送られます。
- 利用者は支援してほしい内容を口頭で支援者に伝えつつ、見てほしいものにカメラを向けます。
- 支援者は映像の内容を言葉で説明し、利用者の問題が解決したら、通話を切ります。
特徴
- 利用者も支援者も匿名で参加できるので、プライバシーが保てます。
- コンピュータではなく人が映像の内容を説明するため、精度が高く、利用者が知りたい内容を的確に知ることができます。
- 自分の暇なときや支援できるときだけ、気軽に支援ができます。
(2)UDトーク
会話の内容を文字化してくれたり、入力した内容をスマートフォンが読み上げてくれるアプリです。
使い方
このアプリには単独で利用する場合と、複数人で利用する場合があります。
- 単独で利用する場合
- (聴力が低い人と健常者が1対1でコミュニケーションをとる際に、健常者が利用)
画面下部のアイコンを押したまま話しをして、終わったら離します。すると話の内容が文字化されるので、聴力の弱い方に見せてコミュニケーションをとることができます。 - 複数人で利用する場合
- (聴力が低い人と健常者が複数人でコミュニケーションをとる際に利用)
健常者の利用方法は「単独で利用する場合」とほぼ同じですが、各自の発言は色分けされて全員のスマートフォンに表示されるため、だれの発言かがわかります。
聴力が低い人は(声を出しての会話がむずかしいため)、キーボードから文章を入力して改行を押すと、全員のスマートフォンに表示されるとともに、その内容をスマートフォンが機械の声で読み上げてくれます。
特徴
- 多人数での利用に対応しており、だれの発言かも瞬時にわかります。
- 発声のほか、キーボード、手書きなど、多彩な入力方法に対応しています。
- 聴力が低い人だけでなく、(翻訳機能を付加して)外国の方を交えたコミュニケーション、会議の議事録作成など、幅広く活用されています。
まとめ
このようにスマートフォンやITを活用することで、視力・聴力の低下を補い、QOLの低下を防ぐ方法は、ほかにもまだまだあります。
個人的にこのシリーズは継続してお伝えするつもりですので、ご期待ください。
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<参考サイト>