加齢や認知症における視覚と色覚

2018/04/16
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冷静になりたいときは青い色、やる気を出すときはビタミンカラー・・・など、「色」は私達の気持ちに影響を与えるとよく言われます。認知症の方にとっても、「色」は大事な要素です。
認知症の方は色からどのような影響を受け、どのような空間が居心地がよいのでしょうか。

加齢と視覚

加齢によって視覚は変化します。 一般的に視力の低下は40代頃から目立ち始め、徐々に暗順応が遅くなる、視野の範囲が狭くなる、視覚処理の速度が遅くなるなどの変化がみられます。 また、色を見分ける錐体細胞(網膜にある視細胞)の感度低下や、水晶体黄変などにより、寒色系の色の見分けがしづらくなるといわれています。

 

さらに、2017年に公益社団法人 色彩検定協会が行った実態調査では、これらの色覚変化に対する高齢者自身の自覚が、年齢を重ねる毎に低下していくことがわかりました。 しかし、本人が「色の見えづらさはない」と感じているのに対して、「色の見えづらさ」や「色の見間違い」の具体的エピソードを読むと、信号機の青矢印の見えにくさ靴下の紺・黒色の違いの分かりにくさなど、高齢者は日常生活で少なからず色の見分けにくさを経験していることが、調査結果より推察されます。

 

 

 

認知症と色覚

それでは、認知症の方の色覚はどのように変化するのでしょうか? 認知症の方は環境の変化に敏感なため、様々な色が満ちている場所では落ち着かないことが多いといわれます。 よく過ごす場所では必要なもののみに色を付け、他はベージュ等ナチュラルな落ち着いた色合いにして、多くの色を使いすぎないようにするとよいでしょう。 2つのものがある場合、コントラストを付ける とわかりやすくなります(例えば、ごはん茶碗を濃い色のものにすると、白いお米を見やすくなって自分で食べられるようになる、など)。

 

加齢に伴って、視覚能力低下への本人の自覚が低くなっていく、という調査結果も踏まえながら、身の回りの物を選ぶとき、色使いの工夫にも気にかけてみると、認知症の方にとって、落ち着いて過ごしやすい空間づくりにつながるかもしれません。

 

 

 

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