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2020年度上半期に最も読まれた記事は?ベスト5の発表

 

こんにちは。認知症Cafést編集スタッフのSです。
2020年度上半期(4月~9月)でアクセス数が多かった記事のベスト5をご紹介します。
Googleアナリティクスによる集計です。

 

ベスト5の発表

第1位

『情熱大陸』でのウィルス学者の河岡義裕さんのお話―新型コロナウィルスを解明するためのアプローチ―

第2位

さまざまな支援・制度

第3位

ブレデセン博士監修の「リコード法」サプリメントが日本上陸

第4位

新型認知症~認知症の入り口になるうつ病性仮性認知症~

第5位

オメガ3脂肪酸と認知症予防

コメント

第1位の記事について

今年の5月2日に書いた、ウィルス学者の河岡義裕さんについての記事が一番アクセスされました。

 

コロナ禍と言われますが、そのなかで、新型コロナウィルスを解明してもらいたい、そのうえでワクチンを開発してもらいたいという世の人々の関心や期待の表れではないかと思いました。

 

その記事にて、

電子顕微鏡でしか見ることができないミクロの世界の解明に取り組みながら、世の中の人々には「人に近づかない」ようにしてください、行動自粛をしてくださいと伝えなくてはならないことの河岡先生の葛藤のようなものが映像では描かれていて、私にはこの番組での最大の見せ場と思いました。

と書きました。

 

新型コロナウィルスの解明というミクロの世界での挑戦に期待しつつも、現状、コロナ禍への対策は、マスクの着用・3密の回避・手洗いなどの人々の行動にかかっているという状況にあります。

 

そのことが、認知症薬の開発に期待しつつも、良質な認知症ケアが求められることに変わりはないという状況とオーバーラップして感じられたという点についてもその記事では言及しました。

河岡義裕さんの研究グループの研究のその後の展開

この5月の記事の後、河岡義裕さん(東大医科学研究所教授)の研究グループは着々と成果を挙げられております。

 

その成果は、コロナ対策の両面、すなわち、新型コロナウィルスの解明というミクロの世界での探求の領域と、人々の行動に示唆を与える領域のそれぞれで達成されております。

 

 

①新型コロナウィルスの解明に関する成果

新型コロナウィルス感染症を理解するためには、ヒトの症状を再現できるモデル動物が必要でしたが、河岡先生の研究グループは、6月にハムスターがモデル動物として有用であると発表しました。新型コロナウイルスに感染したハムスターはヒトに類似した病態を示すのだそうです後注1, 後注2

 

また、この11月には、ハムスターを用いた実験で、現在流行している新型コロナウィルスの変異型が、初期に流行していたときの型に比べ、感染力が強く(短時間で飛沫感染する)、増殖能力が高いことを発見したと発表されています後注3

 

 

②人々の行動に示唆を与える領域での成果

一方、河岡先生の研究グループは、マスクによる新型コロナウイルスの感染予防と飛散防止の効果を検討した研究の結果を10月に発表しています後注4, 後注5

 

その研究では密閉空間でマネキンの頭部を向かい合わせて、2つのマネキンのうち、片方のマネキンから新型コロナウィルスを吐き出させて、もう片方のマネキンでの新型コロナウィルスを吸い込み量を調べるということをしています。

 

その結果、吐き出す側にマスクをつければ空気中への拡散を抑制することや、吸い込む側にマスクをつければ吸い込みを抑制することを確認しています。

 

吸い込む側にマスクをつけたときの以下の知見が重要と思いました。

 

・布マスクを着用することでウイルスの吸い込み量がマスクなしと比べて 60-80%に抑えられ、性能の高いN95 マスクを密着して使用することで 10-20%まで抑えられた。

・N95 マスクは隙間をふさいだ密着条件で使用しないとその防御効果が低下した。

・また、N95マスクで、隙間を完全にふさいだとしても一定量の新型コロナウィルスがマスクを透過してることも明らかになった。

 

この結果から、マスクを密着させて適切に着用することの重要性が導かれますし、マスクへの過度の信頼を控えて、他の感染拡大防止措置と併用を考慮することの重要性も示せていると言えますね。

終わりに

5月の記事では(河岡先生の)「葛藤」と書きましたが、その後の展開を確認しますと、‘ミクロ’(≒新型コロナウィルスの挙動)と‘マクロ’(≒人々の社会生活での振る舞い方)の両面で、研究活動を行い、成果を出されているということで、「葛藤ではなかった」というのが真の姿かもしれません。

 

マネキンでの研究は、片方のマネキンに人間と同等の速度でウィルスを放出させて、もう片方のマネキンに人間と同等の呼吸をさせて吸い込ませるということをしておりまして、ミクロとマクロをつなぐ研究と言えるかもしれません。

 

新型コロナ感染の第3波が来ているとも言われております。
人間が自分たちの行動面で出来る対策はしっかり取り入れていきましょう。

(終)

 

 

 

 

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