和食 VS マインド食① 概論―認知症予防に効く!?―

2018/09/06
  • Twitter
  • Facebook
  • LINE

 

マインド食の認知症予防効果について以前の記事で紹介をしました。

認知症予防に効く!?マインド食

 

和食(日本食)はどうでしょうか。

 

本年、上梓されたUCLA助教授で医師の津川友介氏の『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』では、
日本食に近いパタンの食事をしている人ほど認知症のリスクが低いと示す研究の知見はあるものの、
まだエビデンスレベルが強い知見(複数の研究の知見を統合して得られた知見や、対象者をランダムに振り分けて
日本食に近い食事をしている人とそうでない人を比較して得られた知見)ではない
と書かれています。

また、津川氏は和食の問題点として

  1. 炭水化物が多いこと
  2. 塩分摂取量が多すぎること

の2点を挙げています。

炭水化物のうち、日本人にとって最も身近な炭水化物である白米(この本では胚芽やぬかを取り除いた精製された
「白い炭水化物」と呼ばれている。)は糖尿病のリスクを高めると指摘されています。また、塩分は血圧を高め、
心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めるとのことです。

健康に良いと知られ、研究の裏付けが得られているのが地中海食であり、地中海食は
マインド食(地中海食とダッシュ食の組み合わせ。ダッシュ食は米国発の高血圧を防ぐ食事法です。)
のもととなっているものです。

和食と地中海食との違いについて、栄養疫学の研究者佐々木敏氏が分析をしています。

具体的には、日本人の平均食事摂取量で地中海食スコアを算出し、比較検討をされています。
地中海食スコアはその人の食事がどのくらい地中海食に近かったかを数字化したものです。

<地中海食以上に地中海食的だった点>

(地中海食スコアで高得点となる日本人の食事の特徴)

  • 穀類が多い
  • 豆類が多い
  • 肉類が少ない
  • 一価不飽和脂肪酸が豊富な油(ひまわり油、菜種油)が多い(注1
    (地中海食の中心であるオリーブ油は一価不飽和脂肪酸が豊富なことを特徴とします。)

注1 飽和脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸の割合が高いことがオリーブ油の特徴で、地中海食スコアが高くなります。参考として、
油脂に含まれる一価不飽和脂肪酸の割合(括弧内は飽和脂肪酸の割合)を示すと、オリーブ油74%(13%)、高オレイン酸精製の
ひまわり油80%(9%)、菜種油60%(7%)、バター18%(50%)です。 

<地中海食と同程度>

(地中海食スコアで中程度の得点となる日本人の食事の特徴)

  • 魚介類が比較的多い
    (魚介類は摂取量が多いほど地中海食スコアとしては高得点になります)

<地中海食からは遠いところ>

(地中海食スコアで低得点となる日本人の食事の特徴)

  • 食物繊維が少ない
  • 野菜が少ない
  • 果物が少ない

佐々木氏はこの分析結果を踏まえ、和食に対して「ひまわり油と菜種油はオリーブ油に負けていませんし、
赤身肉の少なさと魚の多さ、そして豆腐と納豆による豆類の多さではそれぞれ世界のトップクラスである

と言われています。

よって、和食の良さを活かしつつ、以下の問題を乗り越えることが健康への道ということになるでしょう。

  • 白い炭水化物が多い
  • 塩分摂取量が多い
  • 食物繊維が少ない
  • 野菜が少ない
  • 果物が少ない

津川氏は、白い炭水化物に比べて、胚芽やぬかを取り除いていない(精製されていない)玄米などの茶色い
炭水化物が健康によいと指摘しています。具体的には茶色い炭水化物が死亡率を下げ、心筋梗塞や脳卒中、
糖尿病の予防効果があるとのエビデンスを紹介しています。
茶色い炭水化物は食物繊維を豊富に含むことから、白い炭水化物を茶色い炭水化物に置き換えることは、食物繊維
が少ないという問題を克服することにもなるでしょう。

塩分対策については、循環器病(心疾患と脳血管疾患)の治療と積極的な予防の観点から、
国立循環器病研究センターが開発している「かるしおレシピ」が参考になります。

「かるしおレシピ」は循環器病の原因となる高血圧の予防のために、1食の塩分2g未満・500kcal台のバランス献立
を目指すものです。昨年に上梓された『認知症リスク減!続々国循のかるしおレシピ』では、かるしおレシピに
マインド食をプラスしたレシピが考案されています。

マインド食において地中海食と組み合わされた米国発のダッシュ食は高血圧予防を目指すものであり、
かるしおレシピとの相性は良いのではないかと予想されますが、実際のところ、かるしおレシピは、魚や肉など
のたんぱく質を多く含む食材を中心にした主菜1品と、野菜をメインに使った副菜2~3品の組み合わせとなって
おり、マインド食がすすめる食材のなかでも、もともと魚や野菜、豆類を使うメニューが多いという特徴があります。

そのうえで、今回考案したレシピでは、日本人が意識しないと食事に取り入れにくい以下の4つの食材を
献立メニューに組み込む工夫をした
とのことです。

  • ナッツ類
    (アーモンド、ピーナッツ、カシューナッツなど)
  • ベリー類
    (ブルーベリー、いちご、ラズベリーなど)
  • 全粒穀物
    (玄米ごはん、全粒粉パンなど)
  • オリーブオイル

このうち、全粒穀物は津川氏が言う茶色い炭水化物のこととご理解いただけるであろうと思います。
オリーブ油については、佐々木氏の議論を踏まえ、飽和脂肪酸に対する一価不飽和脂肪酸の割合が高い油
(飽和脂肪酸が少なく、一価不飽和脂肪酸が多い油)と言い換えて応用して良いであろうと思います。

和食と認知症予防との関係についてはまだまだエビデンスが足りないということと思います。
一方、地中海食やマインド食と重なる点も多いことがご理解できたのではないかと思います。
そのうえで、地中海食と比べて不足している点や、マインド食に近づくために意識して取り入れる必要があるもの
を示しました。今後、さらなる研究と実践の蓄積を期待しています。

 

<認知症Cafést内関連記事>

 

<<参考文献>>

  • 津川友介(2018)『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』東洋経済新報社
  • 佐々木敏(2015)『佐々木敏の栄養データはこう読む!』女子栄養大学出版部
  • 国立研究開発法人国立循環器病研究センター(2017)『認知症リスク減!続々国循のかるしおレシピ』株式会社セブン&アイ出版社

 

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE