密着!「認知症と向き合う介護現場から」第5回

2018/08/30
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一か月にわたり、セントケアグループホーム鵠沼(以下、ホーム鵠沼)
の所長の井藤知美さんへのインタビューを連載してきました。

今回(第5回)がいよいよ最終回となります。

キーワードは地域との関わりです。

 

 

「地域についての考えをお聞かせください。」

「スタッフにはここが人が集まる場所にしようって発信を続けています。気軽に相談したいなって。
あの人に会いたいなって。そういう場所にするためにやはりここにいるお客様が幸せだと
思ってもらえて、スタッフもここで仕事をすることに生きがいを感じて。それが出来た
ときに自然に人が集まってくると思うんで。」

「皆さん必要とされたいと思っているんです。自分の存在意義というか、人として人から
認められたいと。誰かの役に立っていると思えると自分の存在意義を感じられたりするのと
同じように。お客様たちは地域の方々なので、地域に必要とされているっていうのを
お客様にも感じていただきたいですし、スタッフにも感じてほしい。ホーム鵠沼が地域から
必要とされているんだと感じてもらいたいんで。そのために、置き去りにされたり、
忘れ去られないようにしたいです。」

「地域についてそう考えるようになったきっかけについて教えてください。」

「地域に出て行かなくちゃいけないんだなと思ったのは、会社の研修で聞いたきたことが
きっかけでした。なんか、『地域包括?』、はじめは、うわーっと思うわけですよ。
地域に発信ってどうすればいいのって。在宅のサービスだったらそれがやりやすいと思うん
ですけど、グループホームって、その中で完結しようと思えば完結できちゃうんで。」

 

「その狭い世界しか知らなかった私がどうやって地域へ出ていけばいいのって思っちゃって
たんですけど、でもだんだんとグループホームが生き残っていくために、地域から必要だと
思っていただくためには、自分たちが認知症ケアのプロの集団だという意識をちゃんと
持って、認知症の方々と一緒に過ごせるまちづくりを、自分たちから発信していかなく
ちゃって。」

 

「藤沢市はそういう意識が高いと思います。会社が組んでくれたんですが、先進事例があると
いうことで『あおいけあ(注:藤沢市の高齢者向け介護福祉サービス。小規模多機能型
居宅介護・デイサービス・グループホームを展開している)
の見学へ行きました。
地域に溶け込む感じはこれだなと思いました。」

「あおいけあの見学で学んできた地域に溶け込む感じについて教えてください。」

「通りがかりの小学生とかが普通にふらりと寄って中にいて、『あれっこの子なんで
いるの?』みたいなこととか。どの方が利用者さんでどの方がスタッフかも分からない。
スタッフでも利用者でもないけど、なんだかいる方もいたり。」

 

「(視察に行った際)ご利用者のみなさん、中にはいらっしゃらなかったんですけど、
畑にじゃがいもを取りに行っているって。そのじゃがいもを取って、そのじゃがいもで
コロッケをつくって、収益をあげて、そのお金でみんなで温泉に行くんだって。だから、
温泉に行くために今じゃがいもを取りに行ってるんですね。それを聞いて、何か生きるって
こういうことだなって思ったんですよね。」

 

「昔、駄菓子屋だったという利用者さんがあおいけあでも駄菓子屋をやっていました。
(認知機能の低下により)計算はできなくなられているそうですが、(代わりに)買いに
来た子供たちが計算するんです、自分たちで。でも、こうして、自然と人が集まる仕組みが
つくられていて、そういうのがすごくいいなと思ったんですね。」

「良い実践の事例から刺激を受けたのですね?」

 

「はい。認知症の方への関わりにはちょっとしたコツというか、そういうのがあって、
ちょっとの助けがあれば、自宅で生活ができる方、地域にたくさんいらっしゃると思うんです。
あの人認知症かなって、もしかして道に迷ってらっしゃるのかなっていう方がきっと
いらっしゃると思うんですけど、そのような方に介護職の人でないと関われないんじゃ
なくて、介護職じゃない、街に住んでいる普通の小学生とかがお助けできるようなまちに
なっていかなければならないと思います。私たちからも、そのまちづくりの取り組みを
してければと思っています。」

数年前から交通事業者が「声かけ・サポート運動」を実施していて、駅構内でポスターを見かけます。
そこでは、「『お手伝いしましょうか』お声かけ自体がサポートです」、「『大丈夫ですか』お困りの
方にはひと言を」、「お困りの外国人には『May I help you?』のひと声を」と例が示されています。
認知症の方にどう声をかければよいでしょうか。困っているけれど、どういうことで困っているかがご自分
で整理できず、うまく伝えることもできないと聞くと難しく感じられるかもしれませんが、井藤さんが
言われるようにちょっとしたコツ、ちょっとした一歩と思います。認知症と向き合う介護現場からそういう
ノウハウを発信できたら良いと思います。

 

<<参考>>

 

記事の中で出てくる、井藤さんが見学に行かれた「あおいけあ」のホームページです。
株式会社あおいけあ

 

<<井藤さんへのインタビュー記事>>

 

 

 

 

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