40代からユマニチュードの技法を学んでいこうー未来にも今のこの時代にも役立つー

2020/09/29
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注:学会のホームページ(ページはこちら)より画像を入手しました。

日本ユマニチュード学会のオンラインイベントに参加

こんにちは。認知症Cafést編集スタッフのSです。

 

この前の土曜日(26日)は画像にて示した、日本ユマニチュード学会のオンラインイベントに参加しました。
会員ではないのですが、午前中の市民公開講座は、事前登録をすれば拝聴できました。

市民公開講座のタイトル

市民公開講座のタイトルは

「~福岡市から始まり広がる認知症フレンドリーシティ~」 です。

福岡市の取り組みー認知症フレンドリーシティとしてー

「ユマニチュード」というケア技法の名前を冠する学会で、「認知症フレンドリーシティ」という「まちづくり」の話をするのかと少し距離を感じもしたのですが、福岡市のホームページ内で紹介されているこちらの動画「福岡100 認知症フレンドリーシティ」では、次のように堂々と発信されています。

福岡市では、認知症の人と心をつなぐ、フランス生まれのコミュニケーション技法「ユマニチュード」を取り入れ、市民みんなが認知症の人にやさしくなれるまちを目指します。

 

注:「福岡チャンネル by Fukuoka city」というYouTubeチャネルのページをスクリーンショットして、画像化しました。この画像をクリックすると上記動画のページに行くことができます。

「ユマニチュード」は「認知症フレンドリーシティ」の中核にある

ですから、「ユマニチュード」と「まちづくり」は距離がある概念ではないどころか、「認知症フレンドリーシティ」のまちづくりの中核に、「ユマニチュード」が位置付けられていることが分かります。
福岡市の認知症に関するページ(←リンクあり)に行きますと、上位に「ユマニチュード」という見出しの項目があり、目に飛び込んできます。力を入れていることが伝わります。

福岡市の「ユマニチュード」の取り組み

福岡市では「ユマニチュード」に関して、実際に以下の取り組みをしています。

 

・市民向け、小中学生向け、家族介護者向けにユマニチュードに関する講座を行っている

・地域住民にユマニチュードの基礎を教える伝道師としての役割を持つ地域リーダーを養成している

・ユマニチュードを動画で学べるアプリ「CareWiz(ケアウィズ)」(株式会社エクサウィザーズが開発)を市民に紹介している

 

 

市民公開講座に参加して思ったこと①
:家族介護者が登場するのが良い

パネルディスカッションに、家族介護者向けのユマニチュードの講座を受けた、認知症の妻を在宅で介護している男性(大津省一さん)が、ユマニチュードの実践の報告者として登場しました。

 

在宅で認知症の人を介護する家族において、ユマニチュードの実践により負担軽減等の効果があったというのが公開講座全体でのメッセージの1つでした。
福岡市での「認知症フレンドリーシティ」の取り組みが、家族の負担軽減をも目指したものである(効果検証も行っている)ということが重要なことではないかと思います。

 

大津さんが言われていた言葉のメモをここで転記しておきます。

 

・認知症の本人(妻)は、視野が狭くなっている、集中力が落ちている。見えていないし、聞こえていない。

・目を見て、手を握って、話せば、伝わる。安心してもらえる。

 

 

市民公開講座に参加して思ったこと②
:ユマニチュードの技法を40代から学んでいこう

印象に残った地域リーダーの方の言葉

パネルディスカッションでは、ユマニチュードの基礎に関する地域住民への伝道師である地域リーダの方(松原弘美さん)も実践報告をされていました。
その中で、次のようなお話が印象に残りました。

 

・公民館でユマニチュードの基礎について話をすれば誰も素晴らしいと言ってくれる。

・聞き手としては親の介護を終えた世代の人たちが多く、ユマニチュードの技法は素晴らしいのだが、誰に自分は見てもらえるのだろうかとの感想を頂く。

・30~40代の男女にユマニチュードの話を聞いてもらいたい。

 

 

40代からユマニチュードの技法を学んでいこう

「30代~40代の男女にユマニチュードの話を聞いてもらいたい」という地域リーダーの松原さんのメッセージを聞き、「ここをぜひ伝えよう」と思いました。

 

当サイト(関連サイトを含む)では、将来に備えて、認知機能の検査を40代、50代から受けていきませんかと伝えてきました。
また、将来の認知症罹患に関する中年期のリスク要因についてもお伝えし、中年期からリスクを低減させる取り組み(≒セルフケア)を行うきっかけになればと思ってきました。

 

未来への備えには、これら以外に、家族の誰かを介護することに対する備えも含まれるだろうと思います。

今のこの時代にも役立つ

ウィズコロナの時代と言われるようになりました。
ソーシャルディスタンスという考え方とともに、「人と距離を取りましょう」と言われます。
社会生活においてマスクで口元を隠さなければならない状況です。

 

そういう今のこの時代にも、「ユマニチュードは有効なのではないか」と、地域リーダーの松原さんは言われました。
「マスクで口元を隠しても目を合わせる」、「マスクの下は笑顔でいる」などの具体的方法も合わせて述べられました。

 

このように、ユマニチュードを、ケア技法という以上に、コミュニケーションの技法と一般化・普遍化して捉える視点が、公開講座全体を通して感じられました。

 

認知機能が低下した人と自分との間に絆をつなぐ技法の話は、確かに、普段の人付き合いを見直したり、大切な人との絆を深めたりするきっかけを与えてくれるように思います。(終)

 

<認知症Cafést内関連記事>

1. シリーズ「ユマニチュード」第1回~注目のフランス発認知症ケア~

2. シリーズ「ユマニチュード」第2回~ケアの基本柱『見る』『話しかける』~

3. シリーズ「ユマニチュード」第3回~ケアの基本柱『触れる』『立つ』~

4. 意識のない方とも対話はできる~ユマニチュードの講演会に参加して~

5. フランス発認知症ケア「ユマニチュード」の定量化を試みているレポートから①ーBPSDの削減に寄与ー

6. フランス発認知症ケア「ユマニチュード」の定量化を試みているレポートから②ー「マルチモーダル」とは何か?ー

7. あたまの健康チェック

8. あたまの健康チェックの普及についてー営業推進を担う立場からー

9. 認知症予防は若いころから

10. 予防できる認知症、9つの要因について

11. 百寿者の科学と40代から出来ること

<参考>

A. ユマニチュードとは(2020年6月9日更新)|福岡市ホームページ

B. 出前講座に関するトップページ(2020年8月14日更新)|福岡市ホームページ

C. ケア技法「ユマニチュード」…「優しさ」伝え 笑顔に(著者は竹井陽平氏)|読売新聞オンライン ヨミドクター 2019年11月30日

D. 在宅介護者の負担を減らせ!「ユマニチュード」アプリ登場(著者は伊藤 瑳恵氏)|日経BP Beyond Health 2020.06.17

E. 簡易認知機能スケール あたまの健康チェック|株式会社ミレニア

 

 

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