VRパズルアドベンチャーゲーム「Sea Hero Quest」は認知症診断ツール

 

こんにちは。
宴会が続き、12月末のダイエット目標を達成できず肩身の狭い思いをしているCafést Online編集スタッフのHです。

Sea Hero Quest

3か月ほど前にVRヘッドセットのOculus Goを購入し、様々なVRコンテンツを楽しんでいますが、最近こんなVRソフトウェアを見つけました。

 

「Sea Hero Quest」

注:このソフトウェアを紹介しているQuartzの記事はこちら→ Dementia is difficult to spot early. Researchers think VR can help.

 

“Sea Hero Quest” はアメリカで第二位の通信キャリアであるTモバイル社が、Alzheimer’s Reasearch UK、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン、イースト・アングリア大学、およびゲーム開発会社 Glitchersに協力を仰ぎ、「認知症診断に役立つモバイルアプリ」をコンセプトに開発されたものだそうです。

認知症診断に役立つモバイルアプリの中身は?

ゲーム自体は、海や陸に点在しているアイテムを手がかりに、プレーヤー自らが乗る船を操縦してゴールまでたどり着くという比較的シンプルなものですが、「空間認知能力と短期記憶能力の衰えを計測し、認知症の早期発見につながるデータを取得」できるようです。

 

但し、ここでデータを取得する目的は「自分が認知症であることを計測できる」というよりは、健康な人のデータをたくさん集めて、それをアルツハイマー患者の視空間認知能力と比較することで、早期認知症の兆しをとらえる研究に役立てたいということのようです。

 

このゲームが画期的なのは、プレーヤーが2分間のゲームをすることで従来の科学実験5時間分のデータが得られるようで、例えば10万人の人が一人あたり2分間プレーすれば、過去50年間分のデータを集めることができるのだそうです。
ちなみに現在300万人を超えるゲームユーザーがこのゲームをダウンロードしているようです。

 

VRヘッドセットをお持ちの方はそれほど多くはないかと思いますが、スマホでもプレーが出来るようですので、ご興味ある方は年末年始是非トライしてみていただければと思います。

アプリへのリンク

 

それでは皆様、良いお年をお迎えください。

 

 

あたまの健康チェックの普及について―営業推進を担う立場から―

 

今年、最後のインタビュー記事をお送りします。

 

認知機能の検査の1つであるあたまの健康チェックの販売代理店として営業推進を担われているセントケア・ホールディング株式会社の事業開発部の溝江洋司次長にインタビューを行いました。

注:あたまの健康チェックはアメリカのMedical Care Corpolationが開発し、株式会社ミレニアが2005年に日本国内での独占販売権の許諾を得ました。2018年12月現在、ミレニアは4社と販売代理店の契約を締結しており、そのうちの一社がセントケアです。

 

(セントケア・ホールディング株式会社の事業開発部の溝江洋司次長)

あたまの健康チェックのユーザーとして

Q1 ミレニア(上記注を参照)との関係について教えてください。

「もともと創業者同士に関係があり、つながりがありました。販売代理店として契約を結んだのは2017年8月です。販売代理店としてだけではなく、セントケアは自社内に介護事業を行っておりまして、2017年10月からはユーザーとしてデイサービスを利用しているお客様にあたまの健康チェックを受けていただく取り組みもしています。

 

「2013年6月にMCI(軽度認知障害)がメディアに取り上げられたことの影響が大きく、それ以降にあたまの健康チェックの普及が加速したと聞いています。」

 

Q2 ユーザーとしてはあたまの健康チェックについてどのような印象を持たれていますか?

「あたまの健康チェックの受け入れにおいては、デイサービスの間に温度差がありました。認知症加算(認知症高齢者の割合を加算の要件とする)を算定している事業所は、MMSE(世界的に活用されている認知症のスクリーニングテスト)で利用者を検査する体制ができていましたので、認知症の方に対してMMSEで検査をするのに加えて、認知症以外の方にはあたまの健康チェックで検査をするというように棲み分けがなされて、比較的すんなりと導入が進みました。そうでない場合は認知機能を測ることに対するプライオリティがそもそも高くないのが現実でした。」

介護事業者への普及について

Q3 他の介護事業者への普及についてはいかがですか?

「介護事業者への普及は自社からスタートして、他社の事業所にも横展開で営業を試みました。社内外のケアマネから、これまではMMSEなどはあったものの、それ以外に認知機能をチェックするものがなかったのでありがたいと言われました。認知機能の状態や変化は介護記録のエピソードから読み取るしかありませんでした。それが数値化されて、時系列で確認できるようになったのはアセスメントとしてありがたいと言っていただきました。」

 

「その一方、付加価値のサービスの1つにはなりうるものの、すぐさま加算につながるというわけではありません。この状況では費用でしかありませんから、導入は難しいとの声も聞かれました。」

医療機関・自治体への普及について

Q4 その他の営業先や販路について教えていただけますでしょうか?

「われわれが販売代理店になる前から、医療機関や自治体はあたまの健康チェックの営業先でした。診断のツールとしてですね。」

 

「医療機関の方々とお話ししていると、MCIという診断がついた場合に、その方をどうフォローをしていくべきかについて悩まれていると感じます。」

 

「一方、ある先生からは次のように言われました。これまでの診断は、画像診断、血液検査等の結果を材料にしつつ、最終的には問診をして診断をしてきました。症状の出方は千差万別なため、診断に関する最終の判断は匠の世界のようなところがありました。あたまの健康チェックは米国では75万件の被検を誇り、統計学的に得られた得点には客観性が担保されているため、匠の世界(問診)を代替できるくらいの価値があるのではないかと言っていただきました。

 

Q5 自治体の反応についてはどう感じておられますか?

「認知症対策というと、現状は認知症になった人にとって住みやすい社会をつくるという視点での施策が大半です。しかし、予防の領域には踏み込めていないところが多いと思います。」

一般企業への普及について

Q6 一般企業への普及についてはいかがでしょうか?

「最近は主に運輸業を中心として、一般企業からの関心も高まっていると感じます。働く人の就業寿命を伸ばすということへの関心から、定期検診の必要性を感じられているようです。」

 

「いきなり認知症検査をして、アルツハイマー病と診断されてしまうということでは先がないというように感じられてしまいがちです。それと比べれば、あたまの健康チェックには、今の認知機能を検査して、下がらないようにしていくという発想があります。そこに価値を認めていただだいているようです。」

今後の課題

Q7 認知症やMCIの検査技術については、採血での検査や網膜に赤外線を当てる検査など日夜開発されていますが、それらの検査とあたまの健康チェックとは、競合の関係になるとお考えですか?

注:検査技術の動向については週刊東洋経済2018 10/13 pp.26-27を参照しました。

競合というよりは連携すべき関係にあると考えています。例えば血液検査は(血液中の)物質量を測るもので、認知機能の検査とは種類が異なります。それぞれ判断材料になります。」

 

「また、自分で操作するタブレットで、記憶力や注意力などさまざまな認知機能を確認できるようなサービスも世に出ています。このように脳のトレーニングの要素の高いものは、学校の試験に例えて言うと、日々の勉強のチェックと位置付け、期末試験に精度の高いあたまの健康チェックを受検していただくという使い分けが考えられます。」

 

「医療機関での画像診断やアミロイドPET検査(脳のβアミロイド蛋白の蓄積状態を調べる検査)など専門的な検査との関係では、これらの検査を受ける前の初期のスクリーニングテストとしてあたまの健康チェックを位置付けていただくのが良いと思います。専門的な検査は高価ですから、あたまの健康チェックの受検により安く済む場合もあるでしょう。」

 

Q8 その他、今後の課題と感じていることを教えてください。

「医療機関の方々の悩みということでご紹介したことですが、あたまの健康チェックの受検で、MCIの疑いありとの結果が出た場合にどうするかについての情報がなければ、不安をあおって終わりになりかねません。これは医療機関のみならず、一般企業への営業においても問われる点です。つまり、どうしたら予防ができるのかと問われます。予防法も最近知られるようになってきましたから、それらの情報とセットで、あたまの健康チェックの普及を図るべきと考えています。」

最後に

Q9 お話ありがとうございました。最後にコメントをお願いします。

「生活習慣病など予防の中ですでに進んでいる領域があります。生活習慣病により認知機能が低下するというデータも出ていますから、今後はそこにあたまの健康チェックも組み込まれるべきではないかと思います。特定健診に組み込まれるくらいの施策が必要ではないでしょうか?企業での健診の推進のみならず、自治体も主導で取り組むことがなければ、すべての人に認知機能のチェックや検査が届くことはないでしょう。」

 

私たちが目指すのはあたまの健康を測ることが標準になることです。血圧や熱を測ることと同じくらいにまで当たり前のことになってもらえれば良いと思っています。

 

詳しい内容・お問い合わせは
「あたまの健康チェック®」サイトへ

あたまの健康チェック®

 

あたまの健康チェックを受けてみました!

 

こんにちは、Cafést編集スタッフのSです。

 

先日の記事でご紹介した多摩大学のレポートには、定期的に認知機能の検査を受けるべきというメッセージがありました。

愛知県尾張旭市の事例

多摩大学のレポートでは、認知機能検査の導入の事例として愛知県尾張旭市の事例が紹介されています。

積極的に認知症予防を推進している愛知県尾張旭市では、要介護・要支援認定を受けていない40歳以上の市民を対象に無料でMCI検査を提供している。検査結果に応じて、保健師による生活習慣のチェック・アドバイスを実施するなど、MCIの段階から認知症予防に取り組んでいるのだ。

 

あたまの健康チェックとは?

愛知県尾張旭市のホームページ(こちらをクリック)を見てみると、このMCI検査は脳の健康チェックテスト「あたまの元気まる」と紹介されていますが、このMCI検査に採用されているのが、こちらのサイトからもリンクを貼っている「あたまの健康チェック」です。

 

あたまの健康チェックはアメリカのMedical Care Corporationが高度な統計学的・数学的手法を用いて開発したツールです。日本語版も開発されています。

注:詳しくはこちらのページをクリックしてください。

あたまの健康チェックを受検

まずは何事も経験ということで、リンクをたどって、受検証を購入(1回3,500円)しました。
受検証書には以下の手順が示されています。

 

PIN番号は私の場合、「S7●●-2●●0-00●3」(●の部分に数字が入る)と記載されておりました。

 

私は土曜の午後に自宅からフリーダイヤルへ電話。
10個の単語を想起するテストを4回行います。
1~3回はコールセンターの人が10個の単語を読み上げた直後に、想起を行います。その後に別の課題が与えられて時間の間隔を空けてから、最初の10個の単語を思い出すように言われて、4回目の想起を行います。

 

1週間後に結果が送られてきました。
無事、「問題は見つかりません」との結果で、一安心でした。

感想

誰にも見られずこっそり受けたいと思い、自宅から電話をかけて受検しました。

 

確かに誰にも見られずという思いはかなえられました。
しかし、実際受けてみると、難易度、出来などの手ごたえを年齢など自分と状況が近い人と確認しあいたいなど思ったのですが、自宅からですと、その確認ができず、孤独な思いがしました。

 

10分と短いですが、できるだけ多くの単語を覚えたいと頭を使いますので、受検後はどっと疲れました。もし、公民館などの公共施設で仲間と受けたならば、ぱっと皆でご飯を食べに行きたいと思うかもしれません。受検の感想やあたまの健康のことを皆で話したくなるのではないかと思います。

 

下にリンクがありますので(笑)、ぜひみなさんも受検してみてください。
私も今後、定期的に受検をしていきたいと思います。

 

詳しい内容・お問い合わせは
「あたまの健康チェック®」サイトへ

あたまの健康チェック®

 

弱視者向け商品で認知症予防

 

こんにちは。認知症Cafest編集スタッフのマツです。

 

以前の記事にもあるように、視力や聴力が低下すると、認知症発症のリスクが増大すると言われています。 脳に入る情報の80%は視覚から入ると言われています。白内障などにより視力が低下すると、それを処理する脳の活動自体が低下してしまうというわけです(注1)。 また別の調査では、アルツハイマー型認知症者の聴覚障害罹患率は96.1%との報告もあります(注2)。 実は筆者の父も認知症を患っていますが、聴力が低下してから認知症の傾向が表れたように感じています。

注1:視力の悪い人は認知症になりやすい!? 白内障手術で認知機能が改善することも(AERA dot.) 注2:聴力低下がアルツハイマー型認知症者の認知機能,言語機能に及ぼす影響(言語聴覚研究 9巻2号 2012年7月)

 

視力や聴力を下げないこと、早期治療が何よりも大切なことは言うまでもありませんが、同時に、いかに見やすい環境、聞き取りやすい環境を作るかも、また大切です。 そこで今回は、普段から見やすい環境づくりを行っている弱視(ロービジョン)の方が日常的に使っている商品を、いくつかご紹介します。

弱視者向け商品

見やすい抗菌まな板
黒いまな板の上に白い食材をのせると、コントラストがはっきりし手元がよく見え安心して使用できます。
立つしゃもじ
黒いしゃもじなので、どのくらいご飯をよそったかがわかります。
黒いお茶碗
ご飯の一粒一粒が見やすくなるので、どこにどのくらい残っているかがわかります。
おかるのキモチ。六兵衛茶碗(粒々)
ご飯や食材の色を引き立てる色を取り入れた器なので、食べ残しに気づきやすくなります。
TONE REVERSAL DIARY
黒い用紙に白いペンで書き込む手帳です。通常の手帳では見づらい方でも、文字がはっきり見えるようになります。

いかがでしたでしょうか。弱視(ロービジョン)の方にとって見やすい商品には、認知症予防にも利用できそうなものが、まだまだ多くありそうです。 これからも、折に触れてご紹介していきます。

 

 

 

☆☆イベント情報☆☆ オレンジカフェ(春日部)

 

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのSです。

 

ここでは地域での認知症関連のイベント情報をご案内します。

 

今回は埼玉県春日部でのオレンジカフェのご案内です。

 

 

オレンジカフェ(春日部)

 

開催日
12月21日(金) 14時~15時30分
場所
小規模多機能 ふくしのまち春日部
埼玉県春日部市金崎982-1(地図
料金
無料(飲み物付き)

どなたでもお気軽にお立ち寄りください!

 

問い合わせ先:春日部市第8地域包括支援センター(TEL:048-746-5190)

 

 

オレンジカフェでは「地域の場作り・地域連携」をコンセプトに介護サービスの紹介や歓談、介護相談を行っております。
是非一度、足を運んでいただければ幸いです。

 

 

認知症と加齢性難聴について

 

こんにちは。
認知症Cafést編集員のクロです。

 

12月も半分を過ぎ、平成最後のクリスマスを目前に先週末にはインフルエンザの流行も発表されましたね。
予防接種をされていない方はいち早く接種された方がいいかもしれませんね。

認知症と加齢性難聴について

本日は認知症と加齢性難聴についてご紹介します。

 

加齢性難聴と聞くと、高齢になってから発症するものだと考えてしまいがちですが、実は20代から始まっているとも言われ、40代から徐々に低下すると言われているそうです。

 

加齢性難聴は、老化に伴い少しずつ進行するため気が付きにくいのが特徴になるそうです。
日常生活の中でテレビの音量のボリュームを上げるなど、テレビの音が大きいと言われるのは一つのサインかもしれません。

 

加齢性難聴によってコミュニケーションの減少などにより、会話によって入ってくる情報が少なくなることで、脳機能の低下に繋がり、うつや認知症に繋がるのではないかと考えられている中、2017年には世界5大医学雑誌といわれる「ランセット」に掲載された論文を分析・評価する専門家組織である、ランセット国際委員会は「難聴は認知症のもっとも大きな危険因子」と発表しているようです。

 

加齢性難聴は治すことはできませんが、補聴器を使用するなどで「聞こえ」の機能を失わずに生活の質を保つことで、認知症の予防にも繋げられるのではないでしょうか。

参考

難聴で認知症に?加齢性難聴は早期に対策を(オムロン ヘルスケアのHPより 健康コラム>はじめよう!ヘルシーライフ)

 

 

トランスポーター

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのUです。

アクション映画の話ではありません。

 

アルツハイマー型認知症の発症には、脳の中のアセチルコリンやドパミン、セロトニン、グルタミン酸などの神経伝達物質の異常が大きく関わっているとも言われています。
この中でセロトニンという神経伝達物質は人の気分に大きく関係しており、これが不足すると不安を感じるようになったり、時にはうつ病の症状が出たりします。このセロトニンの量を調節しているのが、セロトニントランスポーターというタンパクで、神経細胞から出たセロトニンを再び細胞内に取り込む役割を担っています。

 

 

セロトニントランスポーター遺伝子は長さによって、短いS型と長いL型の2種類に分かれています。遺伝子は父親と母親から1つずつもらってできていますから、人はS型を2本持つSS型、L型を2本持つLL型、そしてS型とL型を1本ずつ持つSL型に分類されます。

 

さらに、比率は人種によって異なり、中でも日本人は、S型を持つ人の割合が高いと言われています。S型はL型よりも遺伝子の発現量が少ない、つまり、セロトニントランスポーターを生み出さないため、その結果として、SS型の人はSL型、LL型よりも不安を感じやすい傾向にあることが分かっています。

 

セロトニンを増やすには、太陽の光を浴び、適度な運動、バランスの良い食事、と毎度お馴染みの話になってしまいました。

 

ちなみに、明石家さんまさんはSS型木村拓哉さんはSL型だそうです。

 

 

認知症予防の推進と認知機能検査の普及の提言―多摩大学 ルール形成戦略研究所のレポートから―

 

本日は、今年(2018年)7月に出された、多摩大学ルール形成戦略研究所「認知症の発症遅延策の有効性と普及を加速するために必要なルール形成 提言レポート」を紹介します。
認知症予防の推進と認知機能検査の導入を提言しています。

認知症の発症を5年遅らせることができた場合の試算

このレポートで肝となっているのが、認知症の発症を5年遅らせることができた場合の試算です。
現在の認知症有病率(表1)と、認知症発症が5年遅らせることができた場合の有病率(表2)について図のような仮定を置いています。

 

 

表を見ればわかるように65-69歳の有病率(表1)の水準が、5年遅れの場合では70-74歳の有病率(表2)の水準になるというような仮定を置いていることが分かります。

 

認知症の有病率が5年遅れた場合(表1から表2へと変わった場合)に、

・2025年に認知症高齢者は670万人程度から400万人程度に減少
・これに伴い2兆円分の医療費・介護費が削減

という試算結果を算出しています。

 

この試算に基づき、認知症発症を遅延させることは多くの社会的問題の解決に貢献し得るので、認知症予防に向けて、政府や自治体は認知機能検査を広めていくべきと提言しています。

 

認知症発症の遅延や予防ができるのかということですが、以下の朝日新聞の記事では、軽度認知障害を意味するMCIと診断を受けた方の一定の割合が正常な認知機能を取り戻すことができること、有酸素運動や良質な睡眠など適切な予防に取り組むことでMCIから認知症へのリスクを低減することができると書かれています。

軽度認知症障害での予防策、認知症への移行リスク減に(朝日新聞デジタル 2018年12月1日付)

 

多摩大学の提言レポートでの主張―「50歳ごろからの認知機能の検査を広めていくべき」―も、上記に紹介したような社会的に確立されてきた知見を踏まえたものと理解することができます。

多摩大学ルール形成戦略研究所の提言レポートの全文

こちらをクリック(多摩大学ルール形成戦略研究所のページ)してください。

 

厚労省の試算

関連して、厚生労働省から出されている試算の数字についても紹介します。
厚生労働省の科学研究費補助金に基づいて行われた「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(研究代表者二宮利治教授)にて試算されており、多摩大学の提言レポートもこちらの研究を参考にしています。

注:この研究(研究年度は平成26年度)の報告の詳細はこちらをクリック(厚生労働科学研究成果データベースのページ)してください。

 

この研究では認知症有病率に関連する要因として、以下の結果が得られました。

  • 年齢(年齢が上がるほど有病率が増す)
  • 性別(女性の方が有病率が増す)
  • 糖尿病の頻度(頻度が高まると有病率が増す)

 

そして、年齢、性別、糖尿病の頻度に基づき、認知症有病率を算出しています。
表3は2012年時点の認知症有病率、表4は2012年から糖尿病の頻度が増加した(糖尿病にかかった人の割合が増えた)との仮定に基づく認知症有病率です。表3、表4からは糖尿病の頻度が増加した場合に有病率が高まることを読み取ることができます。

注:実際は「1.4%-2.6%の間に収まる。その中で1.9%」というように幅をもった数字(信頼区間)の中で上記の数字が計算されています。

 

この数字に基づき、認知症有病率が2012年以降一定であると仮定した場合(表3)の認知症高齢者は675万人、糖尿病にかかっている人の割合が増えると仮定した場合(表4)は730万人(表3の場合からは55万増)と推定されています。

 

多摩大学の提言レポートの試算でも、年齢が高まるほど有病率が増すことや、女性で概ね有病率が高いなどが確認され、基本的には同じ視点が踏襲されていると言えます。

 

ただし、多摩大学の提言レポートの試算では、糖尿病にかかっている人の頻度については言及がありません。
また、多摩大学の提言レポートでは発症を遅らせるという有病率を減らす試算ですが、厚労省の試算では糖尿病の人が増えることで有病率が増える試算の数字となっています。

 

しかし、この厚労省の試算でも、報告書で示されている結果―「糖尿病の頻度が5%上昇するごとに有病率が高まる」―を踏まえると、糖尿病の頻度を減少させることができるならば、有病率を減らすことができると逆に読み解くことも可能であると思われます。

 

糖尿病については、日本人を対象とした疫学研究にて、加齢、家族歴、肥満、身体的活動の低下(運動不足)、耐糖能異常(血糖値の上昇)、高血圧、高脂血症が危険因子であるとする知見があります。
これらの危険因子のうち、加齢と家族歴は改善が不可能ですが、肥満、食事(過食や脂肪の過剰摂取是正)、運動量の不足は改善できることであります。
つまり、生活習慣の改善により、糖尿病の発症率の低下を介して(間接的に)、認知症の発症率が低下することが期待できます。

注:糖尿病の危険因子に関する知見は こちらをクリック(厚生労働省のホームページ)してください。

 

認知症の危険因子についての知見(危険因子を取り除けば認知症発症のリスクが減る)、認知症への移行を防ぎ、認知症にならずに済む保護因子(保護因子を取り入れれば認知症発症のリスクが減る)についての知見が(まだまだエビデンスのレベルは高くないかもしれないですが)知られるようになりました。それらを踏まえれば、定期的に認知機能の検査をすべきというメッセージに重みが増してくると感じられます。

 

 

☆イベント情報☆ 第1回みんなの認知症情報学シンポジウム―東大本郷キャンパスにて―

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのSです。
下記シンポジウムに参加の申込をしました。皆様にもご案内します。

 

そのシンポジウムは今週末の12月16日(日)に東大の本郷キャンパスで開催される第1回みんなの認知症情報学シンポジウムです。
主催団体の一般社団法人みんなの認知症情報学会は、人工知能(AI)と情報技術(IT)の研究開発と利活用を推進し、市民のみなさまが世代や職種を超えて「ごちゃまぜ」で研究に参画することにより、認知症に関する「多面的な知」を創りだすことを目指しています。

注:みんなの認知症情報学会についての詳細はこちらをクリックしてください。

注:この画像をクリックしますと、シンポジウムのスケジュールなど詳細を確認できます。この画像は一般社団法人みんなの認知症情報学会のホームページより取得しました。

第1回 みんなの認知症情報学会 シンポジウム

日程:2018年12月16日(日)10時~16時

注:第一部(10:00~11:15)は講演、第二部(11:25~12:25)はみんなの認知症情報学会の取り組み紹介、第三部(13:30~16:00)はワーキンググループ交流会となっています。

 

テーマ:みんなの認知症情報学が拓くこれからの自立共生社会

 

会場:東京大学本郷キャンパス 工学部2号館221号講義室

注:本郷キャンパスへのアクセスはこちらをクリック。キャンパスマップはこちらをクリック 

 

参加費:会員無料、非会員5,000円

 

 

 

スマホ認知症

 

こんにちは、認知症Cafést編集スタッフのMです。

 

ノーベル生理学・医学賞を授賞した京都大学の本庶佑特別教授が先日の会見にて、「30年後にはほとんどのがんは治せるだろう」と強調していました。
多くの研究や医学の発達により、治すことができる病も増えてくるのだと思います。

 

しかし、逆に昔と大きく異なる生活習慣によって増えている病もあります。認知症もその一つと言えるでしょう。
中でも下の記事に書かれている「スマホ認知症」などは、まさに現代の生活習慣が要因となっているもので、誰しもが当てはまってしまうものではないでしょうか。

 

あなたの「スマホ認知症」危険度チェック(1)脳にゴミをためているような状態アサ芸プラス

 

アウトプットがきちんとできていない状態で過剰なインプットを繰り返すことにより、
「極端な話、脳にゴミをためているような状態になっている」(奥村医師)というのだ。

 

自分自身の事だけではなく、子供たちの未来のためにも便利になった生活習慣のもたらす弊害も真剣に考える必要がありますね。

関連のツイート

働き盛り世代も対象!?身近に潜む〇〇〇認知症(2018年7月24日投稿)

 

 

☆☆イベント情報☆☆ てんのうだいおれんじカフェ(我孫子)

 

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのSです。
ここでは地域での認知症関連のイベント情報をご案内します。

 

今回は『てんのうだい おれんじカフェ』のご案内です。

 

 

 

てんのうだい おれんじカフェ

 

開催日
12月19日(水) 17時~20時
場所
セントケア我孫子デイサービス(千葉県我孫子市天王台4-5-1 シャトー天王台1F)
内容
フラワーアレンジメント
講師
福井 奈美子 氏
料金
500円(軽食、飲み物付き)
持ち物
上履き

 

どなたでもお気軽にお立ち寄りください!

 

問い合わせ先:田中(たなか)090-3427-7466

 

 

おれんじカフェでは、『みんなで地域を支え合える住みよいまち作り』をコンセプトに
毎月第4水曜日に開催しています。

※12月は19日(第3水曜日)の開催となっておりますのでご留意ください。

 

是非一度、足を運んでいただければ幸いです。

 

 

コミュニケーションロボットBOCCO体験レポート

 

こんにちは、本日は認知症Cafest Online編集スタッフのKがお届けします!

以前の、認知症Cafest Onlineの記事で紹介させて頂いた、コミュニケーションロボット『BOCCO』を11月末から自宅に設置しています。

 

BOCCOは本体と4種類のセンサ(人感センサ、部屋センサ、鍵センサ、振動センサ)があり、各センサと連動し様々な検知情報がスマホに通知されます。

また、YAHOO天気や防災情報との連動も可能で、今日の天気や降雨情報、防災情報をBOCCOがお知らせしてくれます。

私が使ってみて特にオススメの機能は、『鍵センサ』です。
外出をする際に『自宅の鍵をちゃんと閉めたかな?』なんて気になった事がある方もいるのではないでしょうか。
そんな時でも、BOCCOの通知機能で鍵の解錠、施錠が通知されるので、鍵の状況も一目でわかります。

このように、自宅の状況を把握できる機能はとても有効だと感じました。
他にも、離れて暮らすご家族がどう過ごしているかも知ることが出来、安心感につながるのではないかと思います。

しばらく使ってみての感想をまたお届けできればと思いますので、
乞うご期待!!

参照

BOCCO紹介ページ
↑ 詳しい製品情報はこちらのHPをご覧ください。

 

 

☆イベント情報☆ 健康関数シンポジウム―理化学研究所(神戸)にて―

 

こんにちは、認知症Cafést Online編集スタッフのSです。
本日は、理化学研究所 健康“生き活き”羅針盤リサーチコンプレックス主催の健康関数シンポジウムのご案内です。
健康“生き活き”羅針盤リサーチコンプレックスは理化学研究所が中核機関となり、兵庫県及び神戸市、大学・研究機関(京都大学、神戸大学、兵庫県立大学等12機関)、企業等(阪急阪神ホールディングス等31社・団体)のそれぞれの活動を融合させた、研究開発や実証のプログラムです。神戸に研究人材を結集させ、ライフサイエンス、計測科学、コンピューターサイエンス等を融合させることで、将来の自分の健康状態を予測するツールの構築を進めています。

注:この画像をクリックしますと、シンポジウムのスケジュールなど詳細を確認できます。

健康関数シンポジウム

日程
2018年12月26日(水)13時~18時
注:13:00-13:55は基調講演。13:55からは前半と後半の2部に分かれて、企業から取組み紹介がなされます。
シンポジウム後、18時10分-19時30分は交流会(会費はお一人1,000円)となっています。
また、13時~19時30分は企業パネルの展示もされています。
会場
理化学研究所
融合連携イノベーション推進棟8F
神戸市中央区港島南町6-7-1

参加申込はこちらをクリックしてください。

 

 

☆☆イベント情報☆☆ やさか町オレンジカフェ

 

 

こんにちは、認知症Cafest Onlineイベント情報担当スタッフのSです。

 

ここでは地域での認知症関連のイベント情報をご案内します。

 

今回は『やさか町 オレンジカフェ』のご案内です。

 

 

 

 

やさか町 オレンジカフェ

 

開催日
12月19日(水) 14時~15時30分
場所
セントケア八坂東 小規模多機能
静岡県静岡市清水区八坂東二丁目7-1
講師
たんぽぽ診療所 遠藤博之先生
講演

テンダーラビングケア

料金
無料(飲み物付き)

 

 

どなたでもお気軽にお立ち寄りください!

 

問い合わせ先:セントケア八坂東 小規模多機能(TEL: 054-371-5960)

 

 

是非一度、足を運んでいただければ幸いです。